表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/40

 ハリーがいた。

 呆然と、立ち竦んでいた。


 チャコはその横を通り過ぎた。


「あ……チャコ!?」

 返事もできずにチャコは、お店の火事跡の中に入って行く。

「……」

 ハリーとシンディの会話が、後ろに聞こえる。

「ラモスは?」

「病院……重傷……面会謝絶……」

「放火のようね?」

「……! ……! ……!」

「……」

 声が、聞こえなくなった――


 チャコは裏庭――の跡――に出た。


 チャコは見た。


 土蔵――お茶の、保存倉。外壁が煤だらけ。なかばすがるように屋根の上を見るも、水タンクは跡形も無く――


 外戸は一見、火に耐えられたように見える。

(もしかして――)


 取っ手に触れると、脆くもぼろっともげた。

(万が一の可能性が――)


 チャコは魔法で戸を外す――

(おねがい――)


 二重扉の、中の扉は、一見、まったくの無事でいて――

 チャコは──

 息を詰めると、ゆっくりと、引き開いた──

「――」


 そこにあったのは、光だった。

 朝の、光。

 見上げると──

 天井が、ない。

 屋根が、ない。

 それは、朝の青空──


 そして。


 顔を正面に戻す。

 見たくなかった。

 ラモスおじさんが、丹誠込めて養生させた、お茶――

「――」


 お茶が――ウジのお茶が――ジャクリーヌが――焼け死んでいた。


「――! ――! ――!」


 ラモスおじさんは、重体だという。

 おそらく、助けようと、火を消そうと、無理に体を張ったのだろう……へんくつだから。


 それを――わたしは――


 のほほんと火事を見ていたわたしは――


 なんて節穴で、愚かだったんだろう――!


 わたしは――救いようのないバカだった――


 頭に血が上った。












評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ