表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/40

二日目・1

 目が覚めると、隣のベッドにシンディが戻っていた。満ち足りた、安らかな寝顔をしている。一体いつまで遊んでいたのだろう、タフな子だった。

 遠慮なくたたき起こす。

 朝食を取るためホテルのレストランに入った。

 昨夜は何をしていたのか聞いたところ、案外すなおに答えがあった。これはこれは! 「今回は事前になんでも打合せする」と昨日彼女自身が言ったことをちゃんと守っている。さすが、と少し見直したが、

「う〜ん……結局、踊っただけで終わったわ」

 ……まあ、こんなオチだったけど。

 逆に、「チャコの方は?」と訊かれる。

「部屋から出ていない」

 と答える。今夜はどうかわからないけど、とこっそり思う。

 ハリーとの、昨日のことを思い出し、ぼうっとなりかけて、慌てて話題を探し、火事を目撃したことを喋った。

「へえ……で、場所はどこ?」

「そうね、部屋もこのレストランも、同じ湖の方を向いているから……あっち」

 チャコは南を指さす。湖の左の方向である。とたん――

 シンディがいきなり厳しい顔になり、コーヒーカップを静かにソーサーに戻した。

「念のため聞くけど……距離は、どれくらいだった?」

「かなり遠かった。水平線の向こうだった」

「――出ましょう」

「シンディ?」

「――」


 事情がわかったのは、それから一時間後のことだった。

 まず、ホテルを出た二人は湖に来て、貸しボートをレンタル。目立たぬよう、オールを漕いで沖に出る。これで三十分。そこからは魔法力全開――水面すれすれを滑空する。コントロールはシンディが受け持った。そのスピードはハンパでなく、ハリーのパワーボートを凌ぐという凄まじさで――三十分。計一時間。到着した場所は――

「……」

「……」

 ラモスおじさんのお店。


 ラモスおじさんのお店が、全焼していたのだった。












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ