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なますの先付に黒豆の小鉢、貝と青物の吸物に、鳥肉、筍、人参、お芋の炊合せ。
そのあとお目当てのアユ、それに、小エビ、野菜や山菜、お豆に穀類などの天ぷらがぞくぞくとやって来て、チャコとシンディは大満腹。最後は雑炊で閉めたのだった。
一息ついていると、おおっ、野いちごのシャーベットが出てきた! あっという間にお腹の中に入ってしまう。
喉にさらりとした飲み物の欲求を覚えると、魔法のようにラモスおじさんがお茶を持って現れたのだった。
「ラモス様、すっごくおいしかったわ!」
シンディが手放しで褒め称えた。これはチャコもまったく同じ思いである。
「本当、とてもおいしかった。あれほどの天ぷらなんて、生まれて初めて食べたと思う! それに、今の、特別料理だったんじゃないの? 品数が多かったし……」
「実は、僕もはじめてだよ。こんなに気合いが入ったの……」
とハリーも同意する。あいかわらずラモスは
「フッ……」
と笑うだけで、ムダ口は一切叩かない。シンディは、その顔を引っ掻いてやりたいっ、て表情をした。
「達人の魅力ね。シブいわ?」
「…………………………………………」
……シンディは、口をへの字にして上目になり、両手をあげて降参ポーズをとった。チャコとハリーは笑ってしまう。
笑いながら――
――チャコは?
いつしかチャコは、ラモスの手元を、熱心に注視していたのだった――