怒りの制裁
前回からの更新がだいぶ遅れてしまいました。申し訳ないです。m(_ _)m
割と多忙な日々故気長に待っていたたでければ幸いです。
それでは、第5話お楽しみに。
悪魔になってから初めて爺さんとは違う相手と戦うことになったのだが、特に緊張はしていなかった。俺はただ、あいつに一矢報いてやりたいだけなのだ。でも、どうせやるなら勝ちたいと思っているのも事実だ。俺にとって黒川家のメンツとかはどうでもいいのだ。単にあいつが気に入らないそれだけで戦う理由は十分だ。
決戦の日の朝、俺はいつも通り爺さんと組手をしていた。爺さんは俺に相手の貴族がどれくらいの強さなのか教えてくてた。
「透殿、例の対戦相手ですが決して油断はなさらぬように。」
「そんな強い相手なのか?」
「私めと同程度にはやると思って頂いて結構ですぞ。」
「流石、あれだけ踏ん反り返っているだけの事はある。」
意外と強いんだなアイツ。まぁそう簡単に負けるつもりは無いけどね。ただ相手の能力が分からないんじゃ対策のしようがないからなぁ。どうするかなぁ。
「迷った時は考えずに直感で動いたりした方が良いですぞ。」
「考えるより、感じろってやつか。」
「左様ですぞ。」
爺さんにはまだまだ敵わないな。俺が行き詰まっているのをすぐに気付くんだもんなぁ。俺の考えなんてお見通しか。そうこうしているうちに組手の時間が終わった。無心で直感で動いた方がいい時もあるのか。実戦でヤバくなったらこの言葉を思い出そう。さて、汗を流してささっと雅の特訓に移りますか。
今日能力が発動してくれれば、大分勝ちに近づくんだけどなぁ。そんな都合よくはいかないよなぁ。頼むよ俺の力目覚めてくれよ。ってなんで俺の事なのに自分自身に聞いてんだよ。何とかしなきゃいけないのは俺自身だろうが。っと考えていると雅が自分の能力の八咫烏で俺の頭を殴ってきた。
「いって!!!何すんだよ!」
「眉間にシワが大分寄っていたのでな。少し休憩にするか腹も減っただろう。」
そして昼飯を挟んでまた、能力を発現させる為に雅の特訓に戻った。
「だぁーーーー。分んねぇ。どうすれば出てくるんだ俺の能力。」
「考えて発現するなら誰も苦労はしないんじゃないか?今の君の格闘能力ならなんとかなるだろうし、そこまで焦る必要はないと思うんだが。」
「格闘だけなら俺も負ける気はしないよ。でも相手が能力使ってくるなら俺も能力使えないと大分不利だと思うんだよな。」
なるほど、と言うように頷くのやめてもらっていいですかね。一応俺にもプライドというものがあるんで。言わないけど。この人に言ったら絶対笑われるだけだし、さらに傷付くとかいう、ダブルパンチ喰らうだけだもんな。これは言わないでおこう。うん、そうしよう。
午後三時を迎えていた。修行をやめて決戦の準備をしていると、俺の部屋に雅の父親が入ってきた。チラッとしか見た事がないがまず間違い無いだろう。突然の訪問に驚きを隠せずにいると、雅の父親が俺にこう言った。
「今回の件、我々黒川家は一切の関与をしないからな。」
「そんな事を言いにわざわざ俺の所まで来たのかよ。あんた自分のメンツの事しか考えてないのかよ。」
「貴様には分からんさ。」
「確かに分かんねぇな俺は平民育ちなんでな。」
「話はこれだけだ。」
「そうかよ。」
多分雅の方にも問題はあるんだろうけど、この父親にも問題はあるだろ。この頑固さは絶対不仲になるよ。俺だって一方的に考えを押しつけられたら嫌いになるからな。まぁ今そんな事を考えてもしょうがないからな。それに俺はこれから戦うのだから余計な事は忘れよう。
「俺様がわざわざ来てやったぞ。」
「よくいらしてくれました。」
気付くと例の貴族様が来てたらしい。到着するなりペラペラ喋ってうるさい奴だな。聞かされるこっちの身にもなれよな。爺さんもあんなやつに頭下げなければいいのに。てか下げる価値なんて無いと思うんだけどな。まあいい、これからぶっ倒す相手のことを気にしてもしょうがないからな。ささっと終わらせて気持ちよく寝よう。
「ルールは格闘、能力の使用あり。殺すつもりの攻撃は私めが止めさせていただきますので、ご容赦下さい。気絶または、戦闘続行不能と判断した場合負けとみなします。立ち会いは黒川家執事の私がやらせてもらいます。それでは、始め!」
始まった瞬間一気に間合いを詰めて俺は相手の顔面めがけて蹴った。相手は俺の蹴りを難なく躱すと思いきや、咄嗟に顔の前で両手をクロスさせて防御の構えをした。あれ?俺そんなに全力で蹴ってないぞ。敵さん大分焦っているんだけど。
「お前いきなり蹴るなよ!当たったらどうするんだよ。」
「当てにいってんだから当然だろ。」
「平民ごときが俺の顔に泥を塗ろうと言うのか!今から謝っても許さないからな。」
「安心しろ。謝ったりしねぇから。」
「これは使う気なかったんだけどな。貴族が平民に負けるなんて許されないから仕方がない。」
どうやら敵さん能力を使う気みたいだな。俺的には能力使われる前に倒したかったんだけど、簡単にはいかないみたいだな。敵さんの能力が分かるまでは下手に出れないからな。
「俺が能力を使えばお前なんて瞬殺だからな。」
一々なんか言わないとお前は動けないのかよ。とか言ってるうちに敵さん気付いたら姿消してるんだけど。さっきまであそこでしっかり、無駄口叩いてたのにな。姿を消せるのが敵さんの能力か。これはまた厄介な能力だな。さて、どうしたものかと考えていると突然顔面を殴られた。爺さんのに比べるとそこまで重くはないが、流石にくらい続けるのは身がもたないな。とか、考えているすきボディに一発かまされた。これはだいぶ痛いな。ダメージで体がすこしふらついた隙に俺は背後から羽交い締めにされた。すると敵さんが俺に囁いてきた。
「実はな、俺の部下が数キロ先からいつでもお前の主人を狙撃できるように狙っているんだ。分かったなら早く降参することだ。」
「お前とことんクズだな。」
「クズで結構それでも俺の体裁を守れるなら俺は何でもするさ。」
何だよどいつもこいつも、自分の事ばっかで人の事を考えられないんだ。もっと周りの人を大切にしろよ。何でそれが出来ないんだ悪魔の貴族様方は。俺の堪忍袋の尾が切れるのも時間の問題だったのだが、この貴族様は調子に乗って死に急いでしまった。
「俺がこの勝負に勝ったらお前の主人にどんな事をしてやろうかな?それか、俺が手取り足取り男のよろこばせ方を教えてやろうかな?グヘヘ。」
この時俺の怒りは頂点に達した。そしてそれに呼応するように俺の能力が発現した。その時俺はこいつの生き方も、こいつ自身も、こいつの価値観も、何もかもをぶった切ってやりたいと思った。そしてその怒りに呼応するように俺の能力は真っ黒い鞘に収まっている日本刀だった。そして、俺の能力の発現に驚いたのか、俺を背後から羽交い締めにしていた敵さんはいつの間にか離れていた。そして俺が降伏の意を示さなかったから敵の狙撃が雅を襲った。だがその銃弾は難なく俺の日本刀に真っ二つに斬り落とされた。
俺の日本刀は鞘と柄が真っ黒なのだが刀身は血のような真紅の色をしている。そしてこの刀の能力は鞘から抜かなければ発動しないようで、一瞬分からなかったがどうやらこの刀を鞘から抜くと俺の体感の時間はとてもスローになり、スナイパーライフルの弾丸ですら視認からの反応が余裕である程だ。あれ?これチート能力じゃね?
スナイパーライフルの弾丸を切り落としたのはいいのだが、気づくと体が思うように動かない。それでも敵は諦めていないようなので俺は再度能力を使った。だがこの能力はスナイパーライフルの弾丸を切った時に比べるととても早かった。そのせいで一瞬慌てたが、敵さんがビビったのか無意識に能力を解除してしまったみたいだ。これが運の尽きだな。
「そこから一歩でも雅に近づいたらお前の頭から上は無いと思え。そして、二度と雅に近づくな。」
「は、はい!」
敵さんは自分の命が容易く無くなることを理解したのか、一度尻餅をついてから屋敷の廊下を走って大急ぎで帰って行った。
俺は雅の安全をもう一度確認して、無事なのが分かった瞬間俺は体から力が無くなりそのまま気絶してしまった。
「透!!」
「透殿!!」
初めての戦闘にしては上々だったのではないだろうか。そんなことを考えながら俺の意識は完全に暗闇の中へと消えていった。
今回は、主人公の覚醒するのがメインと言うわけで主人公の能力はだいぶ前から決めていたので何処で発現させようかと悩んでいたのですが、どうやらあの貴族君が生贄になってくれたので、大分助かりました。
次回はもう少し早めに投稿出来たらいいなとは思っていますが、どうなるかは全然分からないので気長に待って頂くと丁度良いぐらいかもしれません。
それでは次回の投稿で会いましょう。