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4・特訓


 その後、ローラたち3人以外は解散となり、俺は1人で大聖堂の外にいた。

 勇者の話が真実なら、これからローラたちは龍退治の旅に出ることになる。

 それはつまり、戦いに出ることだ。


 「ちくしょう、俺は何も出来ないのかよ······」


 俺の力はただの盾。

 強度もそんなに強くない。


 そして大聖堂からローラたちが、そして勇者ユウヤが現れた。


 「兄さん、待っててくれたんですね」

 「あの、アーク······」

 「アーク〜っ」


 3人が俺の傍に来た。

 俺はじゃれつくファノンの頭をなでる。


 「キミがアークか。ちょうどいい、キミに頼みがある」

 「······勇者サマが俺みたいな平民に頼みですか?」

 「ふふ、そう自分を卑下しないでくれ。キミのスキルである《輝く盾》は、なかなか便利なスキルだ。良かったら8龍退治に同行してくれないか?」

 「······え?」


 俺は耳を疑った。

 まさかのパーティーのお誘いかよ。


 「兄さん、私からもお願いします」

 「お願い、アーク。アタシたちだけじゃ不安なの、いくら強いスキルでも、どうなるかわからないから······」

 「アーク、お願い〜っ‼」

 「みんな······」


 この瞬間、俺は決意した。

 かわいい義妹に幼馴染姉妹の頼み、しかもシャオは俺の嫁だ。

   

 「わかった。俺も同行させてもらうよ」

 「よし決まりだ。ではこれから1ヶ月、城でスキルを磨く訓練に参加してもらう」

 

 

 そして、俺の勇者パーティー編入が決まった。



 ********************



 もしかしたら、この時から始まってたのかもしれない。


 「いいね、その調子だ。そのまま意識を集中して······」

 「う、うん」


 シャオの手を取り、勇者は優しく微笑む。

 何でも、スキルを発動させて、《斬姫王》のスキルに眠る武器を覚醒させるとか。でも、あんな手を握らなくてもいいじゃねーか。


 「おら小僧、よそ見するなっ‼」

 「ぐっはぁっ⁉」


 俺はというと剣術の稽古。

 今までのほほんと暮らしてた俺は、当然ながら武器など握ったことがない。

 騎士団の兵士に思いっきりしごかれていた。

 ボコボコに打たれながらなんとか剣を振る。

 同じ修練場にいるのに、この差は何だよ?

 

 「さぁ集中して······、そう、キミの中に眠る武器を開放するんだ。······今だ‼」

 「はぁぁぁっ‼」


 修練場に旋風が巻き起こり、シャオを中心に風が舞う。

 するとシャオの目の前に光が集まり、1本の太刀が現れた。


 「で、できた······。できたぁっ‼」

 「おっと、ははは、おめでとう」


 なんとシャオは勇者に抱き着いた。

 あの野郎、俺のシャオに何しやがる。


 「あっ、ご、ゴメン」

 「いいよ。仲間のスキルを覚醒させるのも、勇者の仕事だしね」

 「え、あ、その······、うん」


 シャオ、何で顔を赤くする。

 

 「だからよそ見するなっ‼」

 「あだぁっ⁉」



 木剣を横っ腹にくらい、俺は地面に倒れた。



 ********************

  


 勇者は、ローラとファノンのスキルも同じように覚醒させた。

 俺のスキルに関しては、盾を出せるだけなので、スキルを得た瞬間に自在に行使出来るから必要ない。


 戦闘訓練も、勇者自らローラたちを指導し、俺はというと騎士団の訓練に放り込まれただけで、この1ヶ月ローラたちに会うことすらできなかった。


 だが、全くの素人が1ヶ月で強くなれるわけがない。

 スキルと才能があり、メキメキ強くなったローラたちと違い、俺は多少の筋肉が付いたくらいに終わった。


 そして出発の日。


 「あ、久しぶりアーク、ちょっとは強くなった?」

 「さぁ、どうだろうな」

 

 勇者の隣にはシャオとローラ。

 ファノンはいない。どこ行ったんだ?

  

 「ファノンなら、フィオーレ姉さんを迎えに行ってますよ」

 「え、何で⁉」

 「フィオーレは薬師として旅に同行するのさ。回復薬のエキスパートがパーティーには必要だからね」

 「あ、そ」


 呼び捨てかよ。

 

 「ねぇユウヤ。最初の目的地は?」

 「最初は赤龍の巣を目指そう。シャオ、ローラ、頼りにしてるよ」

 「任せて下さいユウヤ。私の魔術で、貴男をサポートします」

 「あ、アタシだって強くなったもん‼」

 「ははは、頼りにしてるよ2人とも」


 何だよコレ。

 何で勇者がローラとシャオの肩を叩いて激励してるんだ?

 それに、ローラたちも頬を染めて満更でもなさそうだし。

 ローラたちと勇者の距離が近い。俺がいない間に、何があったんだ?

  

 「お〜いユウヤ〜っ‼」

 「遅れてすみませ〜ん」


 ファノンとフィオーレ姉さんが来た。

 フィオーレ姉さんはデカい荷物を持ってる。恐らくは薬の類いだろう。


 「ねぇユウヤ、フィオーレ姉さんを連れて来たよ」

 「ああ。ありがとうファノン」

 「えっへへ〜」


 勇者はファノンの頭を優しくなでる。

 ファノンは嬉しそうに笑い、俺の方なんて見やしない。


 「アークくん」

 「あ、フィオーレ姉さん。姉さんも旅に」

 「荷物をお願いしていいですか? 馬車がありますので」

 「え、あ、うん」


 フィオーレ姉さんの荷物を受け取り、近くに停まっていた幌付き馬車に入れる。

 フィオーレ姉さんは勇者の元に向かい、楽しそうにお喋りを始めた。


 「何だよ、これ」

  

 その光景を見ながら思わず呟く。

 1ヶ月前とはまるで違う。ローラたちの位置はかつての俺がいたポジションだ。


 「さぁ出発しよう。アーク、御者は出来るね?」

 「え? あ、ああ」


 この1ヶ月、騎士団の訓練以外に、御者としての腕も磨いた。

 最初はわからなかったけど、このためかよ。


 「最初の目的地は赤龍の巣だ。王都の南にある火山へ向かおう‼」

 「オッケー、アタシの剣を見せてあげる。任せてよユウヤ‼」

 「どんな敵でも魔術で吹き飛ばして見せます。見てて下さいユウヤ」

 「あたしの矢は絶対命中〜っ‼ ユウヤのアシストはお任せ〜っ‼」

 「薬に関しては私にお任せ下さい。ユウヤにそんな心配はなさそうですけどね」


 俺以外、心が1つになっている。

 当たり前のように馬車に乗り込み、誰がユウヤの隣に座るか揉めている。

 俺は半分放心状態で御者席に座り、火山に向けて馬を走らせた。





 こうして、俺の冒険じごくが始まった。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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