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おっさん

「おう!大丈夫か!いま助けてやる!」


この状況に一番混乱して出したのが、小鬼達だ。まさか、急に現れたおっさんに仲間が殺られるとは誰が思ったであろう。直ぐに、怒りを表し、狂声を上げながらおっさんに襲いかかっていく。


「ふんっ!はぁ!おりぁ!」


かなり気合の入った、野太く低い声を出しながら槍を振るう。そんな、声の通り結果はかなりエグい内容となった。一匹は頭を比喩表現無しで潰され、二匹同時に串刺しにされ、三匹程は槍を振った直後何か空気の刃のような物が飛んで行って、少し離れた距離でクビが飛んだ。逃げようとした小鬼をさらに二匹遠い位置から胸に穴を開ける。残りの二匹は上手いこと、草むらに隠れておっさんが諦めた。


「ふん、まあいいか。大丈夫か?」


「は、はいっ!大丈夫でこざいまするです」


「助かったぁ。ありがとうございます、正勝様。」


「お主、確か伊吉か?おお、今まで何処にいたんだ?皆心配していたぞ」


「いや、実は此処に最近住み着いた賊の連中に捕まりまして。そっちの奴と少し前に逃げ出した所です。」


「ほう、お主とか?何処かの商家のご子息という所か?なかなか、贅沢な身体をしてるな」


「あ、いや、自分は、商家の息子とかじゃ」


急に話を振られてドモリながら話す。


「まぁ!疲れているだろ。俺もここら辺の妖怪を狩っていたので疲れた。出石村に帰ろう」


そういって、ドモリながら話す直家の言葉を聞かずに歩いて行った。そこに、伊吉がついていく。


「おい、行くぞ!お侍様は待たせれないぞ!」


なんか少し理不尽な感じがして、心の中で不貞腐れる。


「わかってるよ…でも、置いてくなよ!」


途中、3体程小鬼が出たがクビを跳ね飛ばし。村に近づいていくのに従って、妖怪を見なくなっていく。


「ひぃひぃひぃひぃ、つ、ついたぁ!」


「あぁ、帰ってこれたぁ。何度もうだめだと思ったか…。早く家族に会いてえ」


山を下りながら、村が見えてきた。少し日が暮れて来て空が赤く染まりつつある。計画的に建てられた訳では無いのだろうバラバラに100棟はあるだろうか、木でできた現代の基準で言えば簡素な作りの家からいくつもの炊煙が村かのぼっている。その村の奥には田園が広がっている。夕飯どきなのか人通りは少ない。


「伊吉、今日は家族に会いに行くのが良い。喜ぶだろう。しかし、お主が捕まっていたという賊の話が聞きたい。明日俺の所に来い、よいな?」


「わかりました。気を使って貰ってありがとうこざいます。」


「俺はしばらくこの村に入る、村長の家に泊まっているだろうからそこに来い」


そういって、村の方に歩いていくが途中で泊まり、こちらを向き直家に向き直る。


「お主も明日来い。お主からも少し話を聞きたい」


「わ、わかりました」


うむ、と満足そうに頷き。今度こそ村の方に歩いて行った。あの人には逆らってはいけない、本能でもわかるしあの戦いを見て、かなり強いというのと、かなりの地位にいるのだろうから、緊張して声が震えたりするので、あまり気乗りしない。それにあのおっさん、正勝とか言ったか?話を聞かないし、表情がよく変わるので苦手なタイプだ。


「でも、今は疲れたぁ!」


「そうだな疲れたな、俺は早く家族に会いてぇ、お前はどうする?」


そうだ、問題はこれからだ。いま今の問題は解決したが、本当の問題はこれからなのだ。どのようにこれから生活していけばいいのか、まったく見当がつかない。まず、この村の何処に泊まればいいのかわからない。


「……………」


「急に黙ったな…、お前どっかの商家の息子かと思ったけどそれともなんか違うな。今日泊まるあてがないのであればウチに来い。そんなに余裕がある訳じゃないが一人を1日ぐらいならなんとかなる」


「本当!ありがとう!ありがとうぉ!」


頼るべき所が何処にも無いこの世界で精神的ににも少し参っていたのだ。ありがたい事この上ない。そういえば、伊吉はなんだかんだ言いつつ小鬼に、追いつかれそうになった時も助けてくれたし、凄くいい奴だ。


「お前がどんな状況にいるのかよくわからん、そこの所を家に着いたら教えてくれ。ここまできたらなんかの縁だろうよ、ある程度は力になれるかもしれん。だが、しつこいようだが、ウチにはあんまり余裕がないからな、あんまり長居はでき無いぞ」


「わかった!助かるよ!本当に!命の恩人だ!」


大袈裟な奴だなと、少し笑いながら伊吉の家へ案内してもらう。伊吉の家は、自前の田んぼを持ってはいるがそれでは全然足りなく、他の手が足り無い田んぼを手伝ったりして収入をまかなっているそうだ。あくまでも手伝いなので、収入は自前の田んぼより少ない。生活が苦しいのということを道中聞いた。


「とは言っても、この村の半分位がそんな状況だ。田んぼ持ってる奴だって耕しきれ無い分は俺らが耕しているから、持ってる奴だってマシだとは言ってもあんまし変わりはしない。もうちょい、田んぼが増えてくれればなぁ」


「なんか、悪い。そんなに大変な状況なのに…」


「あぁ、そういうつもりで言った訳じゃないんだ。すまんな、忘れてくれ」


そんな会話をしている内に伊吉の家が見えてきた。ほとんどの家が日も暮れて暗くなって来たので家にこもっている中、伊吉の家ではまだ幼い子供、10歳くらいが薪割りをしている。歩いてくる二人に気が付いたのだろう、暗くて誰かわからずに少し警戒していたようだが、途中から伊吉だと気が付いたのだろう、大きく手を振りこちらに駆け寄ってくる。


「伊吉兄ちゃん!?伊吉兄ちゃんだ!伊吉兄ちゃーん‼︎」


「おお!与吉!与吉か!心配かけたな!今戻ったぞ!」


そう言いながら与吉と言われる伊吉の弟が、伊吉に飛びついた。それを少しよろけながら伊吉が受け止める。ひとしきり喜んだあと、与吉を地面に下ろす。


「母ちゃんも父ちゃんも喜ぶよ。俺もかなり心配していたんだぜ?無事でよかったよ、本当に。うん」


「お前の場合は、自分の仕事が増えるからだろ?」


「ばれたか。まぁ皆んな喜ぶよ!それで、そこの人は誰なの?…お金持ちの人?」


そこで、話題が自分に移る。なんとなく、いい場面だったから黙っていたが、流石にそろそろ無視できなくなったのか与吉の方から何者か聞いてきた。


「え、えっと、俺は、直家っていうもので、えと、伊吉の知り合い、です」


「まぁ、色々とあったんだよ。それで、今日こいつを泊めようと思っている。親父に頼むつもりだ。どうせ、この何日かの俺のいなかった分の飯ぐらいはあるだろう」


「え、えーと、あるはず。わかったよ。俺からも親父に頼んでみる」


ありがたい事に、与吉も家に泊めてくれるように親父さんを説得してくれるようだ。説得できなかったら野ざらし確定なので頼む声にも力が入る。


「本当か!助かるよ!ありがとう!ありがとう!」


「う、うん、頼んでは見るけど……」


がしりと与吉の両手をつかみ、半分泣きそうな必死な顔で頼み込む。それに対して与吉は少しのけぞりながら、少し困ったような顔で了承する。


「どちらにせよだ、早いことに越したことはないだろ。与吉、家に…」


そういい終える前に、伊吉の家の扉がガラッと開きガタイのよい白髪の多い少し高齢の男が出てきた。


「さっきからなんだ!うるさい!与吉!誰と話しておる!……………っ!伊吉か?伊吉!」


「おお!親父!元気か!」


「元気か、ではない!馬鹿者!!親に心配かけさせるな!」


そう怒鳴りながら、顔は嬉しそうに伊吉を向かいいれる。しかし、すぐに真面目な顔に戻し


「何があった?町に買い出しにいっていた道中道に迷ったわけではないだろ?」


「それは、家に入ってから話す。親父、まず家に泊めて欲しい奴がいるんだが、いいか?」


その時初めて伊吉の親父さんの意識がこちらに向い。直家をじっと見つめて、眉をしかめる。


「おい、伊吉。どういうことだ?なぜ、商家のボンボンがこんなところにいる?お前とはどんな関係だ?」


「親父、それ含めて家で話す。だから、こいつを泊めてやってもいいか?こいつ、泊まるところがないんだよ、いいだろ?」


「あ、あの、お願いします。泊めてもらえないでしょうか。お願いします」


そういい、頭を下げる。ここで泊まれるかどうかは本気で死活問題だ。野宿の経験ないし、体もいままでの人生の中で多分一番疲れきっている。ここはどうしても、休みたい。


「はぁ、伊吉。厄介事じゃないのだな?」


「ああ、多分」


「多分って、お前……、まぁいい、おいお前、名前は?」


「は、はい!お、俺は直家といいます」


いくらか訝しげに直家を見つめて、はぁ、とため息をつきまぁ、いいだろと言い、少し苦笑した。


「ありがとうございます!本当に!ありがとぅ…」


「わかった、わかった。いいから入れ。外も暗くなってきた、早く飯を食べるぞ」


そう言って、家の方に歩いていった。与吉もそれについていく。そこに、伊吉が行くぞといい直家も伊吉の後ろをついていく。


「積もる話は後だ、まず日が暮れる前に飯を食うぞ。おい!かかぁ!伊吉が帰ってきた!お客さんも来たぞ!飯を増やしてくれ!」


「あぁ!そんな大きな声で喋らなくても分かるよ!うるさいねぇ!外の声が聞こえてたよ!増やせと言われても今からじゃ無理だよ!」


「お前こそそんなに大きな声出すな!何とかならんのか!」


「無理なもんは、無理だよ!お客さんの分は与吉とあんたの分を減らすよ!」


「なっ!母ちゃん!嘘だろ!俺今日メッチャ疲れて、腹が減ってるんだぞ!」


「うるさい!それ以上騒ぐと、今日飯抜きにするよ!」


「うぐっ…」


「し、仕方がないな」


いかにも、肝っ玉母さんと言った感じの会話が聞こえてきた。家に先に入った伊吉の父親が横柄な態度で伊吉の母親に頼み込んでいたら、あっさりと断られて、更に与吉までもがその余波をうけていた。


「うちの母ちゃん、すげぇだろ?この村で1番気が強いんだよ。いつもは親父が尻に敷かれてるけど、お前が来たから少しカッコつけたんだよ、あっさりやられてるけど」


「す、凄いね。でも、なんか悪いな。自分のせいでご飯減らされて」


「いいんだよ、あいつら多分俺が捕まっていた時に俺の分も食べていたろうし、少し減らしてやるくらいが丁度いい」


「ほら!いつまでぼーっと、突っ立ってんだい!早く入りな!暗くなる前に食べちまうよ!」


「は、はい!し、失礼します」


伊吉の母さんが家から出てきて、直家を家の中に誘う。伊吉の父親の細い体とは対照的に少し太い体に、気の強そうな顔、ここら辺は伊吉に似ている。


「ご飯はもう出来てるんだ。狭いけど、とりあえず座りな。」


「は、はい!」


家の中に入ったが、確かに狭い。広さで言うとだいたい八畳間に少し届かない位で、真ん中に囲炉裏がある。家の中の端っこの方に竈もあった。多分、竈で米を炊いて、真ん中の囲炉裏で鍋でも作るのであろう。天井は茅葺き屋根の様な感じであった。壁は土壁に木の柱、博物館にあった日本の昔の家の展示物に近い。こちらの方が遥かに生活感があるがそんな感じの内装だ。


「さあ、食べるよ。直家も早く、遠慮しなくてもいい。俺は腹減ってんだよ」


「あぁ、そ、そうだね。」


木を削って作ったであろう粗末なお椀と箸を貰い、中に玄米と色々な雑穀が混じったご飯を受け取る。予想はしていたが、正直少しがっくりきた。食べれるだけで幸運だということは分かってはいるが、やはり人間というのは簡単には生活レベルを落とすことが出来ないと言うがその通りだ。そして、何より量があまり多くない。竈の中には2杯分の雑穀飯しかないし、鍋はほとんどが野菜でたまによく分からない肉も入ってるが、5人で食べればすぐ無くなる量だ。


「全員に渡ったようだし、早速食べよう」


「じゃあ!貰うぜ!」


与吉が、早速鍋の中の物を自分のお椀に盛り付ける。あれ?こういうのって、確か伊吉のお父さんが最初じゃなかったってけ。


「こら!与吉!ワシが最初だろうが!順番を考えろ!」


「うるさい!黙ってな!」


「はい…」


お父さんの抗議を肝っ玉母さんが叩きは潰す。与吉が鼻歌混じりで自分のお椀に盛り付け、次に杓子を母親に渡す。杓子を持ちながら、直家の方に手を差し出した。よそってくれるのであろう、お椀を渡しよそってもらった。


「気にせず食べな。与吉ももう食べてるよ」


「は、はい!ありがとうございます」


次に伊吉の分をよそい、自分の分。ほとんど具が無くなった鍋を恨めしいそうな涙目のお父さんに譲る。本来は1番最初なのに、悲惨だ。すこし、苦笑しながら早速食べてみる。味は少し、しょっぱいが、疲れた汗を書きまくった身体はからすると丁度いい。野菜の類も良く煮られてて美味しい。味は父親の作るものの方が美味しいが、これも素朴な味で美味しい。


「どうだい、口に会うかい?商人様が一体何を食べているか分からからね、不味くても我慢しなよ」


「いえいえいえ!すごく美味しいですし、食べさせてもらえるだけで助かります!」


「礼儀正しい子やねぇ、やっぱり育ちが違うのかね…」


何かを考え出した伊吉母と、最初からいじけている伊吉父、無心で少しでも沢山食べようとする成長期真っ盛りの与吉、久しぶりのご飯をうめぇ、うめぇと言いながら食べる伊吉。家の窓から赤い光が無くなり、日が完全に沈んだという事がわかる。外の光が無くなり囲炉裏から出る淡い火の光だけとなる。もともとあまり量が多くない上に、直家が加わった分、少なくなっているので食べ終わるのも早かった。


「じゃあ、あたしと与吉は先に寝てるよ」


「ああ、すまんな」


何か話があるということをとくに言って無いはずだが、何となく察しているのか半分寝ている状態の与吉を引っ張って行って、家の端っこの方に大量に置いてある藁の中に潜り込みすぐに寝息が聞こえてくる。…というか、布団とか無いんだな。当たり前か。しかし、藁の中に潜り込んで寝れるかな。


「さて、そろそろ理由を聞こう。飯を食っている間少し見ていたが、お前さん、一体どこから来た?山城国の人間じゃないだろ?立見城下町にはお前さんのような人を作れるだけの余裕のある商家は無いはずだ。だからといって、他国から流れてきたにしてはずいぶんと小綺麗だ」


「まぁまぁ、親父。その話を今聞くんだろ?話を聞こうぜ」


いきなり伊吉父に質問攻めを受け、聞いた時のない国の名前と地名が出て来てかなり戸惑ったが、伊吉が途中で話を止めくれた。まだまだ短い付き合いだが、あんまり話が得意ではないと察して、気を使ってくれた。すごく助かる。

しかし、どう話したものか…。ここはうまく誤魔化したいが、この世界の事をほとんど分かっていないので、誤魔化しきれないと思うし、馬鹿正直に全て話しても多分信じてくれないか、頭がおかしいと思われるだろうし、思い切って記憶喪失とでも言うか?色々と説明を投げ捨ててるような気がするが、これが1番いいかもしれない。何も知らないというのは、嘘ではないから辻褄もあうかな?伊吉父の疑問にはなんにも答えてないが…。


「あの…実は、名前以外何にも覚えてないんです。気がついたら山賊に捕まってて、俺も何がなんだか分からないんです」



















「なるほどな…。記憶喪失とな。しかし、不可解な点も多い…」


「恐れながら…、初めて直家と会ったときは、直家は妖気を知りませんでした。簡単な妖術も使えませんでした。まるで、生まれたての赤子の様な状態で、妖気への抵抗力もありませんでした。記憶喪失になると、そのようになるとは聞いたことがありませんが、やろうと思って出来ることではないと思います。おそらくは、本当の事かと」


昨日の伊吉の家で喋った事と同じことをいい、伊吉がそれに対し、直家に有利な根拠を語ってくれる。あのあと、伊吉父は一応納得をしてくれて、よほど酷い事をされたのだなと思い、心配してくれた。何か困ったことがあったら相談にも乗ると言ってくれた。誰も頼る相手のいないなか、とても心に来る言葉で少し泣き出しまった。そして、翌日正勝様へあったことをご報告をしにきていた。


「ふむ…、確かに聞いたことが無いな。まぁ、わかった。すまんな、直家というたか?何も覚えてないという状態、心中穏やかではないだろう。暫く、養生するが良い。」


「は、はい!か、かだじけのうございますりまするぅ!」


小鬼達から助けてくれた筋骨隆々の、お侍様。出石 正勝様と言うらしい。この村の支配者で、1番偉い人で、村の中心にある少し立派なお屋敷に住んでいる。この村の地主でもあり、他の人に畑を貸し付けている。半農半武士の人。この村の、若い戦える人達を引き連れて、田んぼに悪さ等をする、小鬼などの妖怪を退治して回るのが主な仕事らしい。俺達を助けた時は、1人で回っていた。山城国の立見城にいるこの国の守護大名、柳川家に仕えているらしい。正勝様自身は、この村を含めた6村を所有している中島という地頭の武士様に仕えているので柳川家からすると、陪臣だという。ふむふむ、なるほど、何言ってるか全くわからないな。


「ああ、そういえば。何故お前達は、あんな沢山の小鬼に囲まれておったのだ?いくらで山の奥とはいえ、あのように囲まれるなどはないと思うのだが」


「あ、それは伊吉が小鬼と遭遇した時に大声を上げて威嚇しろと教えてくれたからです。おかげで、小鬼達が少し怯んでくれました」


と、直家が言う。伊吉も少しどうだ!っと言った顔をしている。それを聞いた、正勝様は急に怒鳴り声をあげた。


「馬鹿もの!!それは村に悪さをしに来た小鬼を退治する時だけの方法だ!森の中でそんな大声を出したら下手したらもっと沢山の小鬼に囲まれておったぞ!」


今回ばかりは俺が近くにおったからいいものを、と言われ。伊吉はかなり落ち込んだようだ。顔が褒められた時は少し赤かったのに、今はかなり青い。可哀想に。


「ま、正勝様!今回は伊吉がいなかったら私は間違いなく死んでいたと思うので、それくらいで…」


直家が良いのであれば良いが…、と矛を収めてくれた。自分が怒られている訳では無いのに、物凄く怖かった…。


「あぁ、そうそう。養生しながら記憶が戻るまでどのようにするか考えなければならんな。どうするか」


「正勝様、それに関しては家で預かりたいと思っています。家の人とも仲良くやっているので、家で仕事を手伝って貰いながらしばらくは」


「ふむ、そんな所が妥当だろうな。よし、わかった。伊吉に任せよう。だが、そなたの家も一人増えたら大変だろう。米を少しやろう。その代わり、私の土地を貸し付ける。そこを耕せ。それと、近々直家から聞いた山賊の討伐もやる予定だ。それに参加しろ。良いな?」


「分かりました。ご配慮感謝いたします」


流石この村の支配者なだけあり。色々と条件を付けてきた。この条件がどのような条件かわからないが、多分大変なんだろう。ただでさえ、返しきれないだけの恩があるのに益々頭が上がらなくなってくるな。少しでも負担が軽くなるように頑張ら無ければ。


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