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元勇者と女神たち

「……何のつもりだ?」


既に体は自由を取り戻している。


『あなたに興味があるので残って頂きました。』


俺は水晶玉の言葉を聞き思わず細めていた目を見開いた。


『一乃瀬凍夜君。いえ、神導の勇者と呼びましょうか?』


俺はかつての二つ名を聞き顔を顰める。


「‥‥凍夜で頼む」


『分かりました。私は女神テルミュースと申します。』


「2度目でやっと名前を聞けたな」


『ウフフ、誇って良いですよ。』


クラスの連中がいた時とは別人の様に言葉には感情が込められ、声が女性のものであるとはっきり分かった。


こんな状況でなければ聞き入ってしまう様な美声だった。


「そうさせて貰うよ。‥‥で、俺に何のようだ?」


『それはー』


俺がそう水晶玉に問うた時、背後に光の柱が立ち上がり、純白の白衣を纏った幼女が現れた。


『なぁ!?アスレティア!貴方何をしてー』


水晶玉が叫び終わるより前に、幼女ーアスレティアーが俺の腕に抱きつく。


「うわー!生勇者だー!」


困惑する俺。


『アスレティア!今すぐ凍夜君から離れなさい!』

「いーやー!!」

『神たる者が人間にベタベタとっ!』

「えー、とー君には私の力を上げたんだからこれくらい良いじゃーん」


‥‥そう言えば、極限エクストリームスキルと称号に『医神の波動(アスクレーピオス)』と『医神の恩恵』があったな。


それはこの幼女の神様のおかげだったのか。


っていうか、とー君って.....。


俺が何とか幼女神アスクレティアを引き剥がそうとしていると、今度は水晶玉が光に包まれ、そこに蒼く清楚なドレスを纏った女性が立っていた。


まるで、美の化身のような姿をしており、それでいて人外の圧力を感じさせる神々しさを纏っている。


「レティ!良い加減にしないと怒るわよ!」


「もう怒ってるじゃーん!」


そう言うなり俺の背後に隠れる幼女神ーアスレティア。

それを睨み付けるテルミュース。


「‥‥なぁ、喧嘩なら他所でやってくれないか?」


俺の言葉を聞いたテルミュースは「ゴホンッ」と一度咳払いをする。


「失礼しました。一乃瀬凍夜」


「あーれー?さっきは凍夜君って呼んでなかった?」


「そ、それは....」


「神様が人間とそんな親しげに話し何かして良いのかなー?」


先ほどのテルミュース自身の言葉を使い更に畳み掛けるアスレティア。


「うぅぅ、あれは、その....」


テルミュースは頬を赤く染め、チラチラと俺の方を見て来る。その様子を、アスレティアが楽しそうに笑っている。


話が進みそうにないので今度は俺が咳払いをする。


「話しを続ける前に、この幼女(?)は何者だ?」


「彼女は、血と医療の神 アスレティア。私の妹に当たります」


あらためてアスレティアの見た目を見ると、肩の辺りで綺麗に切られた桃色の髪に神秘的な光を宿すサファイアのような瞳。そして、キッチリ身長に合わせて作られた小さめの白衣には、所々にリボンなどの装飾が付いていてアスレティアに不思議と似合っている。


しかし、テルミュースのような神々しさは感じない。


どちらかと言うと、神秘的な雰囲気だ。


「あはははは!よろしくねー!」


アスレティアは本当の子供のような笑顔を見せる。


しかし、神と言う事は中身は俺の何百倍の歳をとったロリ婆だ。


「ぶぅー、外れてないけど女神様に失礼だよー」


ぷくーっと頬を膨らませて俺に抗議してくるアスレティア。


「レティは、人の心を読む事が出来ます」


そういうことは早く言って欲しい。


「遅くなってしまいましたが、話の続きをしましょう」


やっと本題に入れるようだ。


「‥‥そうしてくれ」

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