第19話 元勇者VSクラスメイト ①
こんなんなりました(゜O゜)\(- -;
更新は、毎週土日に1〜2話が限界になるかもしれません。皆さんにはご迷惑をかけ申し訳ありません(ーー;)
あと、感想は全て読ませて頂いているのですが、返信出来ず申し訳ありません(ーー;)
どうせ何を言った所で無駄だろうし、この場に居合わせた所為で無関係を装うのも無理そうだ。
操られてる、脅されている、そんな理由も考えたがまず普通の生活をしていて聖王国で他種族と出会う事はありえない。
つまり、俺が自分の意思で2人に接触した事は遅かれ早かれ気付かれるだろう。
「そうだ。この一連の出来事は俺が仕組んだ事だ」
俺がそうはっきりと言った途端、クラスメイトたちから怒りや怨みの篭った視線を向けられた。
「‥‥皆をこんな目に合わせて心が痛まないのか?」
「はぁ?」
こいつは何を言ってんだ?
「だから、仲間をこんな目に合わせて心が痛まないのかって聞いているんだ!」
どうやら、この魔王級のバカの頭の中はとても自己中心的なお花畑の様だな。
「‥‥俺は、お前たちを仲間だと思った事なんて一度もない」
ここにいるクラスメイトは、深海や風巻とは違う。あの2人には少なからず情があった。
突き放しても俺を助けようとしてくれた深海、地球にいた頃から何かと俺を護ろうとしてくれた風巻には正直感謝している。
だからこそあの時は全力を出した。
あんな露骨に敵意を込めて威圧し、突き放したのも2人と自分へのけじめをつける為だ。
あの2人は優しい。こんな屑な俺の事を護り友達と呼んでくれる程にお人好しだ。
でも、その優しさがいずれ自分の身を追い込み命を危険に曝すかもしれない。
だから、俺との戦いで2人が何かきっかけのようなものを掴めたら良いな、と思った。
自分があの2人の敵になったとしても‥‥。
それが俺の出来る2人へのせめてもの恩返しだと思った。
だが、こいつらは何だ?
俺の事を散々バカにして立場が悪くなれば、仲間?心が痛まないのか?‥‥笑わせるな。
胸糞悪い。
「一乃瀬、お前最低だな」
何を言うのかと思えば、急に何言ってんだコイツ。
‥‥心底腹が立つ。
湧いてくるのは怒りや憎しみよりも、呆れの方が大きい。
「澤輝、お前の言葉は空っぽだな」
「なーー」
「おい!ゴミ屑!てめぇ調子に乗ってんじゃねぇよ!」
どうやら、海堂の回復もすんだみたいだな。
地面に横たわっていた時とは別人の様に人間特有の愉悦と怒りが混ざったような表情をしている。
「お前こそ自分の立場が分かってるのか?」
海堂の視線が俺の後ろに向けられた。
「ぅ、ぅるせぇ!あれは、油断してただけだ!!俺が本気を出せばあんな奴ら!」
良し、このまま2人に責任を押し付けーー
「面白い。では、そこのイチノセに勝ってみせろ」
ーーられなかった。
海堂の声を遮りリツェアは言った。
そして、リツェアは悪戯っ子の様な笑みを浮かべ俺を見ている。
「そこにいるイチノセを倒せれば、私たちはお前たちにこれ以上手出ししない事を誓おう」
「おい‥‥」
何かってに決めてんだよ。
俺がそう言おうとしたが、クラスメイトたちの声を聞きそれを止めた。
「一乃瀬を倒せば良いんだな?」
「ギヒヒヒ、楽勝じゃん」
「私たちにこんなをした罰を与えてやるわ!」
‥‥この雑魚どもが、本気で俺に勝てると思ってるのか?
「ギャハハハ!そりゃ良い!ゴミ屑、俺たちのサンドバッグになれよ!」
「悪いな一乃瀬、皆を護る為だ」
更に、海堂と澤輝の言葉で俺の覚悟は決まった。
おそらく、こいつらに攻撃すれば聖王国を敵に回す事になるかもしれない。
‥‥しかし、だからなんだ。
「‥‥後悔するぞ?」
聖王国を敵に回そうが、こいつらはただじゃおかない。
それに、他種族に協力した異世界人を聖王国が放置する筈がない。
聖王国にとって恥であり、危険人物な俺を認定し消す為に動く筈だ。
「は!てめぇがなっ!」
クラスメイトがそれぞれ武器を構える。
海堂はナックル系の武器を装備し、澤輝の手には光り輝く剣が顕現した。
そして、海堂が俺との距離を縮めようと足に力を込める。
その奥でさっきまで、澤輝と海堂を治療していたクラスメイトの動きを見て魔法を放った。
「第三階梯魔法〝風の刃〟」
もちろん、魔力を余計に消費し射程と威力を上げている。
「なぁ!?」
魔法は海堂の直ぐ脇を通り、少し離れた位置に倒れている今も動けない聖王国の騎士と魔導師との間の地面に風の刃で傷をつけた。
騎士たちに近寄ろうとしていた女子1人が腰を抜かす。
「ひぃっ!」
「なにこれ!?」
今の一撃からクラスメイトに困惑が広がった。
それも当然だ。
今まで自分よりも遥かに劣っていると思い込んでいた奴がこんな力を持っていたなんて考えてもいなかったのだろう。
「どうした?来いよ」
「舐めるな!!」
「海堂!無闇に行くな!」
肉体を強化した海堂が俺の目の前に現れ拳を放つ。それと同時に剣を俺に向けて振るう澤輝。
しかし、次の瞬間2人の顔は驚愕に染まった。
「‥‥おい、それで本気か?」
海堂の拳は強化した腕で受け止め、澤輝の剣はアイテムボックスから取り出した剣に魔力を纏わせ受け止めた。
「う、嘘だろ!?」
「‥‥ありえない」
2人は一旦俺から距離をあけ、そこに他のクラスメイトたちが武器を構え襲いかかって来た。
‥‥いや、後衛は魔法の準備と未だに決心が付かず動けない奴が数人。
それなりに役割分担は出来ているな。
「おら!」
「遅い」
「はっ!」
「ハズレ」
7日間じゃこの程度か‥‥。
「あ、当たれ!」
「‥‥どこ狙ってんだ?」
「や、やー!」
「‥‥‥」
……たった7日だもんな。
剣、ナイフ、槍、拳、弓、その全ての攻撃を交わし、逸らし、弾き、受け止める。
そろそろ反撃に移ろうとした時ーー
「皆、退がって!」
「「「第三階梯魔法〝火弾〟」」」
「「「第三階梯魔法〝風弾〟」」」
ーー澤輝親衛隊+その他から魔法が放たれた。
火と風が混ざり合い威力が跳ね上がる。
海堂のように下手くそな混合魔法とは違い、それぞれがコントロール出来る魔法を合わせる事によって安定した混合魔法になっている。
「これならいける!」
「くたばれゴミ屑!!」
良い魔法だな。
でも、その程度だ。
「第五階梯魔法〝水壁〟」
炎と水が激突し辺りに水蒸気を上げる。
「第五階梯だと!?」
「‥‥そんな、嘘でしょ?」
クラスメイトたちは俺の使用した魔法に驚いているようだ。
海堂の混合魔法などは別にして、クラスメイトたちが使える最高位の魔法の階梯は第三階梯までだ。
しかし、俺が使ったのはその2つ上の魔法だ。
たった2つ上と思うかもしれないが、第五階梯は常人が到達出来る限界だと言われている。第六階梯以上はそれこそ天才や英雄の領域と言われているのだ。
その一種の高みである魔法を俺が使った事にクラスメイトたちは驚きを隠せない。
驚くのはまだ早いぞ。
「海堂、見本を見せてやるよ」
魔力を練り上げ、無数の球体をイメージする。
「爆裂魔法〝爆裂弾〟」
後衛の連中の周りに燃える玉が20個作り出した。それを見て流石の海堂も顔色が悪くなった。
爆裂魔法は混合魔法の中でも特に魔力のコントロールが難しい。それは海堂も良く分かってる筈だ。
その様子を嗤って見ながら、俺は指を鳴らす。
パチン!
俺の合図に従い20個の爆裂弾が爆発する。
爆発音に合わせクラスメイトの悲鳴が上がる。
煙が晴れれば立っているクラスメイトは誰もおらず、俺に傷一つ付けられない前衛たちと戦えない奴らだけが残された。