3話 戦闘
おまたせしました。
今回は前回より短めとなりました。
まだマスカレイドには着きません。
今回は少し腐女子要素が入ります。注意してください。
レグルスに連れられお昼を食べた後、私たちは森を歩き始めた。
ちなみにメニューは私が食べた串焼き肉と野菜のスープと黒くて固いパンだった。あの串焼き肉の肉はオークだった。オークって美味しんだね。まさかRPGでメジャーなあのオークを食べることになるなんて夢にも思わなかった。
殆どが携帯食料で作っているだろうに、美味しく感じるのはきっとレグルスは料理上手なんだね。お肉も美味しかったし。レグルスはいいお嫁さんになるね。
そんないいお嫁さんになれそうなレグルスと、1時間くらい会話をしていない。決して気まずい訳でも話題がないとかではなく、話す暇がないのだ。
実は絶賛、魔物と戦闘中だったりする。この戦闘も、もう何度目になるだろう。私が地図、敵索、隠密を使っている時なんて一度も遭遇しなかったのに。顔のある大きい木とか、158㎝ある私の身長より大きい鼠とか緑犬ことグリーンウルフとか挙げたらきりがない。
レグルスがあっという間に剣で切り伏せてくれるお蔭で、私に全く被害はきていない。
剣さばきは早すぎて見えない。素人の私がいうのはあれだけど、かなりの腕利きなんだとわかる。
今対峙している魔物はでっかい緑色のナメクジみたいなもの。気持ち悪くて仕方ない。高さ長さ共に一メートルくらいで、なんか紫色の液を出してくる。虫が天敵な私としては一刻も早く退治してほしい。
「シノン! 少し隠れてくれ、あのドクメクジが出す毒液は危険だ!」
「わかった!」
少し離れた木の陰に私は身を隠す。確かにあの液は怖い。だって飛ばされてかかった地面が溶けてるよ。あれ毒液っていうより溶解液だよね。
自分にかかったらどうなるかなんて目に見えている。でも何よりも不思議なのは、その液が掛かっても解けないレグルスの剣だ。あれって何でできてるんだろ。
そう思考している間にレグルスはさっさと切り捨て、巨大なナメクジはその巨体をずしんと音を立てて倒れた。
レグルスはその巨大ナメクジを剥ぎ取りをはじめ、必要な部位をカバンにしまっていく。
明らかに部位の方が大きいのに入るレグルスの小さいリュックが謎だ。私のアイテムボックスみたいなものかな?
「シノン、そろそろ行くぞ」
「うん、……?」
あれ? どうして足が動かないんだろ。
「どうした」
全く動こうとしない私に怪訝な視線を送ってくるレグルス。そんな顔されても私困るから、私も分からないんだから。
「あ、足が動かないですっ……わっ!」
ぐいっと足が引っ張られ地面に倒れてしまう。危うく地面と熱いキスを交わすところだった。
「痛たたたた、何?」
「シノン! 動くな!」
え? 何? 何でレグルス私に剣を振りかざしてるの? 私何かした?
いや結構してたわ。レグルスをBとLの方向で妄想してたよ森の中歩いている間。腐女子と言われる人種である私はレグルスのありとあらゆるシュチュエーションを妄想していた。
え? ばれてたのかな? 触手プレイだめだった? 愛ないとだめ? 幼馴染から告白されてからの無理矢理を所望ですか。というか高々妄想でここまでする?!
「あの、レグルス? 考え直して! 今まで妄想してたプレイのことは謝るから!」
「ぷれ……? 何を言ってるんだお前は」
何知らない振りしてるのっ?
焦っている私をよそに剣の刃は私に向かってくる。
ぎゅっと目を強く閉じる。しかしザクッと何かが切れた音と甲高い悲鳴が聞こえ、痛みは全く襲ってこなかった。
「え……?」
一体何が起きたのだろうか。そっと瞼を開けると、目の前に心配げ顔をして膝をついているレグルスがいた。
「すまない、油断した俺の落ち度だ」
そう言うと、レグルスは私の両脇に手を入れて持ち上げて抱え込んだ。
「わわっ」
ちょ、子どもみたいに抱き上げるのやめてください。いたたまれないから、腕から降りようともがくけれど、腕にさらに力が込められて降りられない。
「放してよレグルス! 自分で歩けるっ」
「暴れるな、危ないだろ。最初からこうしておけばよかったな」
いやいや、それは危ないでしょ。片手で戦うとか無謀でしょ、いくらレグルスでも。
というか一体なんだったのだろう、さっきのは。何かに足を引っ張られたけど。
「お前は目を放すと危険だとよくわかった。後ろを見てみろ」
言われたとおりに後ろ見てみて、私は目を見開いた。
花といっても可愛い物ではなく、私の第一印象はグロテスクで気持ち悪い花だった。赤い花に黒い斑点模様があって、中心にはでっかい口があった。そこから見える歯は鋭い。噛まれたらひとたまりもないだろう。
レグルスに斬られたのか、横に倒れていた。
「何このでっかい花」
「人食い花だ」
「人食い花ぁぁあああ?!」
人食い花って、あの人食い花? 文字通り人を食べる花? まさか……。
「もしかして、私アレに捕食されそうだったりした……?」
「ああ。まさか人食い花が現れるとは流石に驚いた。普通はもっと奥にいるはずなんだが……。シノン、怪我はないか?」
「だ、大丈夫。少し膝と手のひら擦りむいただけだから」
平気なのに、レグルスは眉間にしわを寄せると、近くにあった岩に私を座らせる。すると、さっきのナメクジの部位を入れたカバンから、水と包帯を取り出した。
「手当しなくても平気だよ。ちょと水で洗えば大丈夫だよ」
「大丈夫なわけあるか。傷が軽くても甘く見るな」
「いや、でも包帯はさすがに……」
そこまで重症じゃないのに。絆創膏ぺたってはって終了でしょ。
「黙って手当されてろ」
じっと真剣な眼をされてはぐうの音もでない。
水で丁寧に洗われ、綺麗な手拭いで優しく拭かれる。少し血がにじんだ程度だったからそんなに沁みなかった。
包帯をくるくると巻く動作はすごく手馴れている。
というか一言言っていいかな? すごく恥ずかしいんだけど!
だって、王子寄りの騎士みたいな超絶美形に膝をつかれて至近距離で手当あれてるんだよ? 誰得っていうか。
睫毛長いなーとか肌白くて綺麗とか海みたいな目が凄くきれいだなとか色々考えていると、ヤバい。柄にもなく少しドキドキする。顔赤くないよね? 私。
「これで大丈夫だな」
手当が終わり、満足げな顔をすると再び私を抱え上げた。
「レグルス、本当に自分で歩けるから! 降して」
「お前は黙て運ばれてろ。この方がお前も俺も安全だ。変に後ろを歩かれるよりもよっぽどいい。それにこの方が早く町に着く」
「むっ」
剥れる私をみると、レグルスはくすくすと笑ったまま、やはり地面に降ろさないまま歩き出した。
「後一時間くらいで町につく。暇なら寝ていろ」
この状況で寝ろと?! 私の神経は図太いって勘違いしてるんじゃないのだろうか。
いいから寝ろとでも言うように、頭をぽんぽんと撫でられた。
あーいいですよ、わかりました。寝てやりますよ。
目を閉じて暫くすると、眠気が襲ってきた。ここしばらく安心してゆっくり眠ることできなかったからかな。
レグルスの腕の中は凄く居心地が良かった。凄く良い匂いがして気分が解れていく。なんの薫りだろ?
甘いようでいてすごくスッキリして爽やかな薫り。香水かな?
いつの間にか眠りについていた私は知らない。
「お前は俺が絶対護る。お前が憂うものは俺が排除してやる。だからお前は何も気にするな」
こんなことをレグルスが誓っていたなんて。
いかがだったでしょうか?
最近はギャグっぽさがすごいですね。大丈夫です、きちんとシリアスのときがあります、きっと。
これからもよろしくお願いします。