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2.ついた先の世界

 どうやって異界へ旅立ったかって?

オスのケケとメスのミミっていう、大きなトカゲのどっちに乗りたい?って黒雨さんに聞かれて私はメスのミミに乗ると。

「――はじめは少し揺れるかもしれん。振り落とされると、界の狭間に落ちて二度と太陽を拝めなくなるからしっかり掴まっていてくれ」

『界の狭間』ってとこが、ろくでもないって事だけは分かったからあたしはしっかりミミの突き出たウロコを握りしめた。

すぐ後ろに、黒雨の大きな体と息づかいを感じてちょっとドキドキしながら。

そうしていると、黒雨と小緑が目配せをしてあたしに分からない謎の呪文を同時に唱えだす。


『るわたいか にれわれわ おるいおな をみきびち みかのずみ にれにれわ そをくんあ たもよらせ』


とても不思議な音の響きが、何故だかとても心地よくて私は光の壁に囲まれながら目を閉じる。

反響した心地よい声の響きに、うとうとと舟をこぎながら黒鮫に背中を持たれているうちに異界を渡ってしまったって訳。

「そなた、また寝ていたのか?」って、呆れた感じの黒雨の言葉をもらっちまったけど。

「それにしたって……ここ、ホントに異界?」

大きな湖は、まるでシュレイの湖と形と水の色も変わらない。

底まで透けるきれいな水に、ほとりに生える木々も変わらないように見えるし狩り払った草の跡だって変わらないから一瞬騙されたのかと思った。

「まあ見てなって、ちょっと行けばすぐに違いが分かるから」

いたずらする子供のように、目をキラキラさせながら私を見る小緑。

ほんと、小緑があたしを騙しててもしマーシィの的にされそうになったら身代わりにしてやるからな!

そう思いながら、あたしは大人しく黒雨に背中を預けて進む。


 しばらく行くと、もしここが異界でなかったらシュレイ村と湖を繋ぐ木でできた門が見えてくる―――。

「なんだこれ!?……全然違うじゃん!すごい、嘘じゃなかったんだね小緑さんの言ってる事!」

あたしの覚悟をよそに、代わりに見えたのは頑丈な石造りの門。

それをくぐると、そこはシュレイ村……ではなくてどこかの大きな神殿のような建物の中だった。

中には、黒雨と小緑と同じような背丈の青い上質な布で出来た服を着た男達が数人いてあたしたちの姿を見るなり「今回も成功したぞ!帝にお伝えせねば!」と喜びながら外へ出て行った。

「おい!喜ぶのは構わんが、誰か乗りトカゲの世話を頼む。少し休ませてやらないと、これからの旅程に響く」

あたしがお疲れさんの意味も込めて、ケケとミミの頭を撫でてやると心なしか嬉しそうな顔をして見える。

「こっから、まだしばらく旅するんですか?もし続くんなら、ちょっと着替えさせて欲しいんですけど……」

ここはどうやら、異界のはじまりに過ぎないみたいだ。

緊張したし、ここで休ませて貰えるのは有難いけど目的地まであとどのくらいかかるのだろう。

花嫁衣装は肌触りはいいけれど、長い間着ているには難があるしね。

「ここには……そうだな、そなたの体調を見つつ都との連絡を兼ねて三日程滞在する。そして、都へのおおよそかかる日数は順調にいって一週間ほどかな」

 

 「そうですか。じゃあ、少しここでゆっくりできるんですよね?……んー疲れた」

大きく伸びをして、黒雨と小緑の二人について行く。

小緑の話によるとここはあたしが住んでた、湖表の世界と水底の世界を繋ぐ門でこの世界には全部で五つあるらしい。

あたしが通って来たのは、その中でも秋玲≪しゅうれい≫国と呼ばれる国の門なんだって。

「水底の世界の中で、一番古くて権威のある国なんだぜ。――まあ、その分ちょっとお堅い所もあるけどさ」

あたしと同じような背伸びをしながら、手をひらひらさせながら喋る小緑を見ていると本当にお堅いのか?とは思うけど。

「ふぅん?……そういえば、二人とも普段は何してるの?」

迎えに来た二人の格好は、なめした皮の肩当てと胸当てを付け腰には大ぶりな両刃の剣を備えているから戦士なのかなとも思う。

でも着替えた二人の格好が、上質な白と青のワンピースを革のベルトで止めて下も上質な薄い皮のズボンだから二人とも偉い人たちなのかもしれないな。


 「俺達は帝から選ばれ、十二の所領地から選ばれた迎え役さ。俺は黒雨の領地から、小緑も領主から選考された。武器の扱いに長け……良からぬ気を起こさぬと帝に誓った者のみがなれる」

武器の扱いに長け、っていうのは分かるよ。

道中の非常時に、なまっちょろい奴だったらあっという間にあの世逝きになったっておかしくないわけだし。

「良からぬ気って言うのが分かんないなー。だって、兄さん達女になんか困んないでしょ?だって所領地?っていうのの代表なんでしょ?うちの村の女達なら絶対ほっとかないよ」

代表になる位だ、相当強いだろうし顔の作りだって悪かない。

村の女達に聞いてたみたいな、特別若い娘っ子が好きな男とかよっぽどじゃなきゃ嫁のきてだって引く手あまたじゃないのか?

「―――よし、その辺も含めてちょっとお話をしようか。時間もたっぷりある事だし」

そして、この世界の事を知るための勉強会が開かれる事になった。






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