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盗っ人  作者: 日寝暮者
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フラグ??






騙されたような気がするが――いや、気のせいだろう。



きっとツンデレに違いない。ワザと、そうワザと演じてまで俺に発破を掛けてくれたのだ。女は生まれながらの女優と云うしな。



全く照れ屋さんや。


そんなわけで(え?)今日も沼に向かう。






今日は骨狼が付いて来た。ユイナが全滅させた狼や鼠の群れなど、俺の食わない分は食べさせていたんだが、そうすると目の奥に当たる部分に火が灯った。



個体差なのか火の色は様々だ。俺によく従う奴らから火が灯る。まぁ褒美代わりに優先的に食わしていたからな。それを見て他の奴らも従うようになったから良かった。




ああ、そうそう。俺の命令に従うようになった。


――今までは単純に忠誠心が低かったのか?

耳が無いからだと思ったんだが……



俺の後ろを歩いてた骨狼が俺の前にでる。

前を見るとちっこいのがいた。醜悪だ。



「ゴブリンね」



なんとなくそんな気はしてた。ゴブリンは何かを捜しているようだ。俺らに気付かずに去って行った。



放っておけばいいのに骨狼達は、猟犬のようにゴブリンを追い掛けて行ってしまった。



まぁ木の棒装備のゴブリン一匹に骨狼が十頭近くいれば問題ないだろう。




聞くとゴブリンは緑色の血らしいから朱桜(赤色のみ)で喰えないし要らない。



スライムに気を取られていたからゴブリンも骨狼も放置した。





もし手綱を握っていれば――未来は変わっただろうか…?






ゴブリンは、level.20毎に転職するらしい。



転職は小規模のパワーアップだ。因みにlevel.100の昇華は大規模パワーアップに当たる。



level.20未満が野良なら、20以上は兵士、40以上はエリート兵、60以上は幹部、80以上は王か。



野良ゴブリンは寿命が10年だが、転職する毎に10年延びる。また、身長も20センチ伸びる。野良は平均100センチだ。






ゴブリンの説明を聞きながらスラ沼を目指していたらゴブリンが現れた。

ゴブリンだし錆びついた短剣だが、それでも凶器だ。身体が硬直する。



だが、見えてしまったユイナの微笑みとその爪で――うん。ゴブリンのほうが楽だ。



スライムの失敗を活かすためにも失敗を言葉にし、心を静にする。



リーチを気にしてか、それともユイナを気にしてか、様子を見ているゴブリン



俺は弱気を打ち払うよう、先制に振り下ろしの攻撃を行う。


剣ではなく槍、しかも柄での攻撃なので斬ることは出来ない。


しかし、遠心力の乗った攻撃はそれなりの威力を発揮する――当たれば…の話だが。


憎らしいことにゴブリンは左側に避ける。いや、向こうも必死なんだろうけど。



俺の攻撃直後、好機とばかりに踏み出しかけたゴブリン



だが俺は避けられることも想定内だ。柄を蹴ることで強引にベクトルを変え追撃する。


膝カックン状態になれば良かったが、まだまだ未熟な俺には無理だ。



とは言え狙い通りにバランスを崩すことには成功した。


完全に倒すことは出来なかったが、手元に引き戻していた槍で身体を突く。



耳障りな悲鳴を無視し、もう一度もう一度と突く。最後に、抵抗が弱まったゴブリンの頭を突き、トドメを刺す。




心臓が五月蝿い(うるさい)。深呼吸して覚悟を決めたが、戦い始めると直ぐに五月蝿くなった。


まだまだ人型、刃物装備との実戦経験が少ないから仕方ない。



ゴブリンには悪いと思うが、殺す経験が足りないのだ。恐怖で過剰攻撃になってしまった。



心が痛む。それに、まだこの世界のゴブリンが悪さをしたとこを見たわけではないのだ。



向こうの知識を元に殺した。いやゴブリンもやる気あるようにも見えたが、それも俺の先入観、勝手な思い込みのなのかも知れない。




乱れた呼吸も落ち着いてきたところで、ゴブリンの立場をユイナに聞こうとした所、注意を促された。




不審に思いながらも振り返ると、先程倒したゴブリンの傍にゴブリンが三匹いた。


二匹はこちらを警戒し、他二匹より一回りは小さい残り一匹は、死んだゴブリンを見ていた。




直ぐに構えはしたが、正直どうするか悩んでいる間に、ゴブリン達は引き揚げていった。


…何がしたかったんだ?



「あ〜あ、やっちゃったね」


「え?何を?」

正直サッパリだ?…ゴブリン殺しのことか?



「さっきの小さいゴブリン、メスよ」


それで俺も分かった。つまり俺は、つがいを殺したかも知れないと言うことか。



「あまり解ってなさそうね?」


「いや番のことだろう?」

それとも、そんなに復讐心が強いのか?



「ゴブリンのメスはオス一万から十万に対して一匹しか居ないと言われてるわ


つまりそれだけ希少なメスは王の証になるの。


だからメスは姫と言ってもいいわね。そして姫の伴侶なら……。」


今更ながら面倒くさいと思い始めた。だが…



「一応言っておくけど、メスがいるとオスはメスの取り合いをするの。


身内同士で争って万年発情期のゴブリンが静かになるからメスは殺しちゃダメよ」



……やっぱり面倒くさい。彼女が争いの中で俺のことを忘れてくれることを祈ろう。


そう考えていたが、よくよく考えればこの広い森の中だ。もう二度と会わないだろうと思い直す。


「婚約者を目の前で無惨に殺された花嫁。そして未亡人となった女を狙う男たち。


女を巡る激しい争いの中、次々に死んでいく仲間。そして女は…」



詠うように空に語りだし、最後に腕を広げた状態でチラッとこちらを見る。


物凄いワザとらしいが、残念なことに否定は出来ない。



いや、ツッコミをいれることは出来るが…不毛だ。どうなるか結局判らないし。なるようにしか、ならんだろう




そんな訳でスラ沼を再度目指す。




――……・・





木々の間から、スライムに見付からないよう二核を探す。また集団に囲まれるのはゴメンだ。



周囲の警戒はしない。ユイナ様任せである。俺に索敵と警戒を同時にやることは出来ない。


そう。出来ないことを出来ない、と云うのも一人前の証だ。




闇精霊たちの協力で周囲の状況を知ることは出来るが、活かすまでには至っていない。



テレビとかで衝撃映像をやってるなかで、小窓のゲストの反応を見るようなものだ。しかも精霊の数だけ小窓がある。


まぁそれでも把握出来る人は、出来るのだろうが…



足を止めて二核の索敵をする。



戦闘が始まれば気にする余裕は無いが、ユイナという、安全が確保された状態なら近くの精霊達との感覚の共有で、それなりの範囲を調査することが出来る。




そうして張り切って調べ始めたが――精霊視するまでもなく裸眼の距離にいた……



―まぁイイ。周囲の安全が確認出来たし……モンダイナイ。






………。そんなこんなで挑んだが…横へのステップとフェイント、そして一突きで核を二つ貫通してアッサリ終わった。


なんか納得いかない。消化不良な気分でリベンジは終わった。





――……・・





スライムを呼ばれても面倒なのでさっさと移動する。



移動していたら、木の枝からゲル状物質(?)が垂れ下がっていた。


「これもスライムよ。」

そう言って無造作に掴んだ。液状スライムなんかをどうする気なのか、どこかへ向かいだした。


液状だけど一応ちゃんとした一個体なのか、垂れて零れ落ちそうに見えるのに、しっかりしている。




途中、一匹狼に出会って助けたりしたが、特に戦いは起こらず、沼からだいぶ離れた。


狼で思い出したが骨狼達は今頃何やってるんだろうな?さすがに返り討ちには成ってないとは思うが。




――そして空けた地に出た。


「シンの骨眷族、カスタム出来るでしょう?」


いきなりどうした?

確かに実験を色々やっていたが。


「それでね。記憶を記録として付与することも出来るのよ」


残念ながら俺はユイナが、何を言いたいのか判らなかった。判っていれば……



「はい、これ」


そう言ってユイナは、弄んでいた液状スライムを渡してきた。


最初は、気持ちいいと両手で滑らかな感触を楽しんでいた。ただ、徐々に這い上がってきて、掴もうとしてスライムを掴めないことに気付いた。



「安心して。青色は溶かすとか仲間を呼んだりしないから」


そう言って微笑みを浮かべている。何かが可笑しいと気付いた時には既に遅かった。




「ユイナさん?」


様子が可笑しいユイナに不安げに聞いたが、華麗に無視された。


笑みを深くして、スライムを掴む。取ってくれると、都合良く解釈した俺はなぜ掴めるかが気になった。



そんなことを気にしてる場合じゃないのに。




「寝ている女の子にイタズラするのは良くないと思うの」


そう言いながら俺の口にスライムの一部を入れてきた。


「ん、んーんー」


慌てて取ろうとしたが、ユイナは片手で慌てている俺の両手を冷静に押さえた。


「心配しなくても青色スライムは老廃物を食べるだけだから安心して?」


優しく艶っぽい声で囁く。そうしている間にもスライムは全身に広がりつつあった。



イタズラと聞いて何の話だ?と思ったが、記録を云々との話を思い出す。



つまりコッチに来て寝込む前、ユイナにイタズラしたことを知ってると云われたのか、と、そしてこれはその罰なのだと、ようやく気付いた。



気付いたとこで口にまでスライムがいて両手を押さえられた俺に謝罪という選択肢は採れないが。



ユイナの手が俺のお腹を撫でながら徐々に上に。

そして――下にいって……










俺は汚され――いや、キレイにされた………


口の中―歯もツルツルで裏側もしっかりキレイだ。花の香りか、体からいい匂いがするのが微妙に癪だ。



スライムはユイナに掴まれている。


「ゴメンナサイ」


謝罪してキスを求める。許してくれたのか、抱き合って深い口付けを交わす。



暫く味わい、満足したので改めて謝罪した。


そーゆーことが嫌いなのではなく、一方的に好き勝手されるのが嫌らしい。




スライムのことも聞かれたが捨ててもらった。


「良かったの?」


「なんで?」

あんな……問題作。



「人間は重用してるって話を聞いたけど?」


ダンジョンやら戦争やら冒険などの旅の時、男ばっかの環境で活躍するらしい。


……。


…………。


………………問題ない。



頼る必要は無い…はずだ。




案外よか……いや、あれはセットだから……




「無理矢理、

本人の意思を無視して

連れてきて


あげく、

○望の捌け口に…


しかも、

用が済んだら

ゴミのよう」


ユイナ様は所々強調されながら詠うように宣った(のたまった)




殆どユイナのせいなのに………




とりあえず投げた方向に行って捜したが青色スライムは居なかった。


個体スライムより遅いはずだから消える筈はないんだけど……??




城に帰ったら骨狼達がいた。ゴブリンの群れを襲ったらしい。


戦利品なのかゴブリンの遺品が幾つかあった。

正直要らない(爆)




色々あった気もするけど……






まぁユイナとキスしたこと以外はどーでもいいか



そう判断した。





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