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いきなり弁当っ!?

 先程の美優璃からの衝撃的発言からなんやかんやで30分程経っていた。しかし、その当人である美優璃は未だ僕の部屋に居る。ちなみに部屋に来て始めはちょこんっと正座をしていたのに今は両手を身体の後ろで体重を支えるようにして堂々と制服であぐらをかいている。


 そう。現在、僕の部屋にて仲良く兄弟で今日の学校での出来事やもろもろを楽しく会話している最中なのだ。内容はこんな感じに。


 「あんたってさ、今日改めて思ったけどなんか地味だよね」


 「そうやっていきなり悪口言うのやめてもらえます?」


 「ごめんごめんっ、怒ちゃった?」


 「いや、別にこれぐらいで怒らねーけどさ」


 「なんかさ、仮にも私達って姉弟じゃん?そう思うと姉があまりにも目立ちすぎててその弟の地味さがいっそう目立ったちゃうなーって感じがして」


 「要は自慢ね」


 「ちょっと、なにその言い方!?酷くない!?まぁ、そう言われると否定はできないんだけどね。あはっ」




 


ね?楽しそうな姉弟の会話でしょ?主に姉が。



というわけで早くこの姉を部屋から追い出したいと切実に考えている僕である。


 そして、この弟への嫌がらせトークを30分ひたすら続けていたがさすがに美優璃はそれに飽きたのか話は今日の、あの糞不味かった弁当を食した昼食の話題へと移った。



 「そう言えばあんた、今日のお弁当どうだった?ねぇ、美味しかったでしょ?」


 「ん?あー今日の弁当か。劇的なまでに糞不味かったよ。特に卵焼きが」


 「うぅ・・・あ、そうなんだ~。へぇ~・・・。でも私の今日のお弁当は美味しかったなー」


 自分から突然、今日の弁当どうだった?なんてどうでもいいような話題を振ってきたくせに僕が正直な感想を伝えると何故か美優璃はさっきまでのテンションが嘘のように酷く落ち込んでしまった。それでも、あの糞不味い母の弁当を美優璃は軽く肯定するもんだから僕は村井 蓮の二の舞にならないように、そういう善意の気持ちの下、今日の弁当のことをめちゃくちゃに言ってやった。


 「えっ?マジかお前!?お前も俺と同じ弁当なはずだろ?今日から俺ら2人の弁当を母さんが作ってくれてるんだから。にしてもあれはホントに不味かった。あれじゃ犬の餌にもならないよ。ってか、俺の友達、それで腹壊して保健室行ったし、悲惨だったよ。だからお前もこういうのははっきり言った方が身のためだと思うぞ」


 「・・・・・」


 

 「なんで黙る?」


 「・・・・・いや、あのっ・・」


 「あー、わかったよ。本当は相当不味かったんだな。さすがにこれには俺も同情するよ。しょうがないからちょっと下に降りて母さんに文句言ってくるわ!グフォッ!!」


 僕がそう言って母の居るリビングがある1階へ降りようと動き出した直後、僕の部屋であぐらをかいて座っていた姉に思いっきりボディブローを入れられた。


 「イッッッタ!!い、いきなり何すんだよ!?」


こんな不意打ち今まで1度たりとも受けたことがなかったので、そのダメージたるもの尋常じゃなかった。


 「だから!その・・・お弁当・・作ったの・・・お弁当作ったの私なの!!」


 これもまた衝撃的と言えば衝撃的な発言だった。僕の弁当を美優璃が作っていたなんて。だけど同時にあの弁当は母が作ったものではないとわかると母にも料理における最低限のスキルはまだ存在しているんだと思いなんとも表現しがたい、奇妙な安心感が芽生えた。


 「あ、そう・・なの?そうなんだー。なんか良かったよ、うん」


 「何がいいのよ!!」


 「ごめん、こっちの話」


 「ってかさ、そんなにお弁当不味かっ・・た?」


 「うん。すっごく」


 「・・・あんたって真実を知っても尚意見は曲げないんだね。デリカシーに欠けるわ」


 そう言う美優璃はいつもの自信過剰な傲慢っぷりを欠片も見せないくらいの落ち着きようだ。さすがの美優璃もあそこまで不味い不味い言われると少しは落ち込むのかと思った。でも、お前には悪いがこっちにも断固として通さなければならないものがあるんだ。不味いものを嘘をついてまで美味しいなんて言ってもお前の得にはならないのだ!うん、今の僕ちょっと輝いてるんじゃないか?


 「あれはなーどうフォローしようにも桁違いに不味かったからなー、フォローなんてできるわけねーもん。卵焼きはなんかめっちゃ辛いしウィンナーはめちゃくちゃしょっぱいし、生姜焼き?みたいなのに至ってはなんでかすごく酸っぱかったぞ。とんだ味覚のオンパレードだったよ」


 「そ、そうだった?私的には辛いの好きだし卵焼きは美味しいかなーなんて思ったりしたけど!・・・それにウィンナーも味の濃さとかちょうどよかったなーとか・・・生姜焼きは・・・・・まぁ、とにかく!なんかこれからは遊助と美優璃ちゃんのお弁当は美優璃ちゃんが作ってね!タカシさんが美優璃は料理が上手いんだって言ってたし大丈夫よね!ってあんたのお母さんに頼まれちゃったの!!自分は料理が下手で遊助に今まであんまり美味しいの作ってあげられなかったからっても言ってたし・・・だから、私だって料理とか全然できないけど、それにパパもなんか勘違いしちゃってるけど、それでも私がこれからはお弁当作り頑張るの!!」


 

 何故、美優璃が僕に弁当を作ったのか、大体は誰がこんなことをさせたのかくらいもう見当はついていた。けどそれが母が僕に対して少しでも美味しい弁当を食べてもらおうと、自分の作った弁当では息子が満足して食べてもらえないんじゃないかと思って美優璃に弁当を作るようにお願いしたこと。そして、その期待に答えようとこれからは頑張ると言ってみせた美優璃。


 うーん、なんかこいついいヤツなんだか単に馬鹿なんだかよくわからんな。これがこいつのGAPなのか・・・。

 この時、僕――春市 遊助は少しだけ秋瀬 美優璃という女の印象が変わったのだった。



 「ってか、美優璃。お前いつまで制服でいんの?もう帰ってきてから結構経ったぞ?」


 「あ、いいの。私、お風呂入ってから部屋着になりたいからもう少しこのまま」


 「そうなんだ。風呂いつ頃入んの?」


 「夕食食べてからかな?ってか、忘れてないでしょうね”姉弟憲法 第4条”」


 「・・・わかってるよ・・」


 「ダメ。忘れたとか言って普通に来そうだから私が今いるこの場で声に出して言って」


 「はぁ?やだよ恥ずかしい」


 「言え」


 「・・・・はぁ~、”姉弟憲法 第4条”いくら姉が美人でスタイル良くて可愛いだろうと決して姉が入浴中又は入浴後10分は風呂場に立ち入らない」


 「はい、良くできました。あはっ」









 訂正させて欲しい。僕――春市 遊助は秋瀬 美優璃という女の印象がよりいっそう悪いものに変化していったのだった。

更新が遅くなってしまってすいません(つд⊂)

先日、初めて「いきなり姉弟っ!?」への感想をいただきました。

もちろん感想の方は読ませていただきましたが嬉しさのあまりニヤけが止まりませんでした(ノ∀`)www

この作品を読んでくださっている皆さん、これからも温かい目で見守ってもらえると嬉しい限りであります。

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