いきなり説教っ!?
さっき帰宅した後すぐさま勉強に取り掛かるも放課後から未だ癒えない心の傷のせいで全然集中できなかった僕。なので30分で勉強を終わらせて今は部屋でネトゲに打ち込んでいる。ちなみにプレイしてるのは”バトルウォーズ3”というFPSの戦争ゲーム。オンライン対戦で最大64人の人達と2チームに分けてバトルする、戦争ゲームの王道みたいなものだ。今日の対戦方式はバトルロイヤル。制限時間内により多くの敵を倒した人が1位になるというシンプルな戦い。
それをここまで6回やっているが成績は12人中ずっと11位。
悲しい。これも全て今日の放課後のせいだ!
どうやら僕はあの日野って娘がトラウマになったなったらしい。顔を思い出す度に背筋がゾッとする・・・。いや、別に性格がちょっとキツいだけで顔は全然可愛いほうだと思う。目がクリっと大きくて髪もふわふわしていて、最後明るくなった時なんて笑顔がとても可愛かった。だけど・・・だけど僕は彼女が苦手だ。苦手になってしまった。初対面なのに・・・
「わからんわ~~~っ」
つい僕は握っていたコントローラーを投げ出し、脱力感と共に割と大声で独り言を発してしまった。
こんな時ってよくあるよね。
すると僕の部屋の外から
「うるさいわっ!!」
と、怒鳴り声が聞こえ、驚いてドアのほうを見ると同時にガチャっと音がして美優璃が僕の部屋に勝手に入ってきた。
「マジあんたの独り言おっきいんだけど!」
「いや勝手に部屋入んなよっ!!」
僕がツッコミを入れるまで0.2秒。良い反射神経だ。
「なに焦ってんの?あっ、もしかしてエロいサイトでも見てた?キッモ!」
うぜぇ~~~~~~。勝手に部屋に入ってきやがったのに人をキモい呼ばわりしやがって!
ただでさえ現在傷心中なのに・・・今ので完全に心がイったわ。
「うぅ・・ちげーよ。ネトゲしてたんだよバカタレ。ホント・・・お前のせいで心がイったわ!!」
「は?どこに?」
「・・・。なんでもないや。ってか、部屋に来たってことはなんか俺に用でもあんの?」
この話の通じない馬鹿とこれ以上言い争っても無駄だと思い、とりあえず僕は美優璃に核心をついてみた。
そしたら急に本気で引き気味になって
「別に告白とかしないから。期待しないで」
と、理解不能なことを言われた後、コホンッと軽く調子を整えてこう話した。
「あんたさ、なんで今日学校でいきなり朝から話しかけてきたわけ?話があるなら私が1人の時、誰も居ないところで話しかけてよ。おかげで朝から友達に春市君って美優璃ちゃんの・・・その・・彼氏なの?とかマジわけわかんないこと言われ続けてんだけど!ほんっと不愉快極まりなかったわ!!」
こいつも俺と同じこと言われてたのかー。
僕は、なんだ一緒じゃん!とか思っていると美優璃はよっぽど嫌だったのかまだブツブツと、なんであれが仲良さそうに話してるって思われるのよ・・・などと口にしている。
「なるほど。確かに俺もあそこでお前に話しかけたことは後で後悔した。俺もお前と一緒で付き合ってるとかなんとか色々友達に言われたよ・・・。ほんと不愉快だよなー」
僕がフォローのつもりでこう言い終えると美優璃の怒りがさらに大きくなり
「なんであんたまで不愉快になんのよ!ふつー、男子だったらそんな誤解されたら感激して涙でも流すはずでしょ!?仮にも私と・・付き合ってるって誤解されてるんだから!!」
なんて反論してきた。
どんだけ自信過剰なんだよあなたは。
でも一応言っておくがこいつはこの最低最悪クソ女っぷりを普段の学校生活においては絶対に出さない。
今日学校で見ていて改めて思ったが、秋瀬 美優璃は学校では学園のアイドル秋瀬 美優璃なのだ。
男子女子含め他のうちの生徒と話すときはちょっとばかしいつも僕に対して使うような口調ではあるがそれを帳消しにするくらいの優しさというGAPが存在する。そしてそのGAPによって最強属性、”ツンデレ”が発生し馬鹿な男子共は惚れに惚れ、女子は美優璃さんと言って憧れを抱いてしまうのである。
うむ、まるでモンスターの説明をしているようだったな。
ともかく、自信過剰のやつにこう思ったことを言ってしまったら予想だにしない大変なことが起こるであろう。
だからこういう時は
「ごめんなさい間違っていました。俺は美優璃さんと付き合ってるって誤解されて非常に気持ちが舞い上がっていました嬉しくて泣きそうになりました興奮しました」
こう言えばおそらく少しは怒りを収めることができるだろう。結果、何故か無言で殴られたけど。
あっ、そう言えば1つ気になることを思い出した。
日野 楓さんのことだ。彼女にもまた変な誤解をされていたけど彼女は美優璃とはどういった関係だろうか。やっぱり熱烈な秋瀬 美優璃信者なのだろうか。
「そういえばさ、お前日野 楓って娘知ってる?なんかその娘にいきなり放課後話しかけられて同じようにお前との関係性を誤解されちゃったんだけど・・・もちろんちゃんと違うって言ったから大丈夫だけど」
「あー楓ちゃんねー・・・」
美優璃はそう言ったまま次に出す言葉を出そうとしない。
「おい、なんだよ。変な間あけられたら気になるだろ。早く!キニナル!」
ただでさえ、僕は日野さんを恐れているのに変な間をあけられてはもっと恐い。これで、実はあの娘ああ見えてレディースの総長なのとか言われたら洒落にならない。・・・いや、さすがにそれはないか。
「急かすな!だから要するに楓ちゃんは私に前、告白してきたマジもんの百合っ娘なの!!」
・・・・ん?今なんて?
告白とかなんとか、百合がどうとか・・・ありぇ?
「ほら混乱してる。だから言いたくなかったのに・・・。あっ、一応だから言っておくけど楓ちゃん、私が男子と話してるとその男子に対して異常なまでの嫉妬心抱くから。たまにだけど襲ってくる時もあるらしいからあんたも気をつけてね。あはっ」
僕はしばらく呆然としたあとやっと美優璃の言葉を理解して叫ぶのであった。
「マジかよっ!!??」
「うるさいっ!!!!」
簡単 登場人物プロフィール
○日野 楓
性別:女
誕生日:10月21日
血液型:B型
身長:149cm
見た目は森ガールな百合乙女。
男子から人気は高いが勿論興味はありません。
秋瀬 美優璃一筋!!