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修羅と鋼の魔法陣  作者: 桐生
二章
21/31

『出発』

 屋上では鋼焔が到着し、四人揃っての昼食が開始されていた。

 日差しは強く、日鋼に夏の到来がもうすぐ迫っているのを予感させられる。


「天城様、今日も母から送られてきたものなのですが、いかがですか?」

 そう言って、クレアは大きめのバッグから品の良さそうな包みを取り出す。

 包みを解いて現れた重箱の中には、高そうな牛肉に始まり、日鋼の人間に気を遣っているのか、魚の刺身や、天ぷら、大きめの海老もある、そのどれもが高いと分かる見た目をしていた。

 さらには、フカヒレ、キャビアなど、鋼焔が初めて目にする食材も混じっている。

 初日には、フォワグラとトリフュが入っていたので、恐ろしい事に鋼焔たちはここ数日だけで三大珍味を頂いてしまったことになる。


「はい、ですが、本当にこんな豪華な物を、毎日のように頂いてしまってもいいんですかね」

 鋼焔は高級品に若干遠慮をしているが、それ以上に、これって――国民の血税から捻出されているのでは? ということを一番気にしているのだが、恐ろしくて直接的に訊くことはできないでいた。


「大丈夫ですよ、どちらにせよ、わたくし一人では食べきれませんから……」

 彼女に鋼焔の心配は伝わっていない。

 鋼焔も初日は食材に驚き嬉しく思いながら夢中で食べていたのだが、四日ほど続いた時に、これがいつまでも続くとなると、インスマスの王族が国民によってギロチンにかけられるのではないか、と冷や汗をかきながら食事をしているのだ。

 以前の『アイギス』の件も含めて考えるとインスマス王家は相当に浪費家だと推察できる。

 彼らの首が飛ぶ日は案外近いのかもしれない……、と鋼焔は怯えていた。


「そうだよ、お兄ちゃん遠慮なくもらっちゃ……ひぃっ」

 兄の心配をよそに悠は高い物が食べられて嬉しい! と、箸を高級食材に伸ばしながら目を輝かせている。

 しかし、その寸前でクレアから鋭い眼が飛ばされた。

 悠は、握手の件がトラウマになっているのか、小さく悲鳴を上げながら箸の軌道を捻じ曲げ、沙耶のお弁当に突っ込ませた。


「それもそうですね、では遠慮なく頂きます」

 鋼焔は、怯える妹が気にかかったが、二人の言うことは尤もだと思ったので、余計な心配事を今は忘れて楽しむことにした。

 

 それに、彼女たちが自分の異常な力を目の当たりにした後でも変わらず接してくれていることが嬉しかった。

 もしかしたら、妹もクレアにも少し距離を置かれるかもしれないと、覚悟はしていたのだが杞憂だったらしい。

 彼女が、毎日のように来てくれているのはその当たりを気遣ってくれているのかもしれない、と鋼焔はありがたく思っていた。


「はい、どうぞ召し上がってください」

 クレアが鋼焔に慈愛に満ちた笑顔を向けた後、食事は開始された。


「ムっー………」

 それを見ていた悠は、やはりこの女は色目を使いに来ていると確信するのと、あたしもそれ食べたい! と思いながら歯がゆい表情になっていた。



 そして、鋼焔は、食事をしながら先ほど明人がくれた情報を吟味していた。

 

 この五年間、目撃情報以外のそれらしいものは皆無だった。この機会を逃す手はないと思われる。

 もしかすると『罠』の可能性もあるかもしれないが、それ相応の準備と覚悟は整えているつもりだった。

 

 しかし、場所が『騎士領』となると、速やかに事を進めることは難しい。

 『騎士領』には外部からの魔術的移動手段に対する強力な結界が張り巡らされているため、長距離空間跳躍で進入することはできない。

 徒歩でこっそり忍び込む方法もあるにはあるが、鋼焔は隠密のプロではない、もし『騎士領』に不法侵入していることがバレれば、外交問題は必至だろう。

 

 例え、インスマス王家が神宮寺信夜に加担していたとしても、正直に話して承諾を得る以外の手段はないように思える。

 クレアに話をして、彼女が情報を流し、神宮寺信夜がさらに逃亡する公算は高いがそれならそれで『騎士領』以外の場所に移る可能性もある。

 研究も一時中断せざるを得ないだろうから、メリットは無いわけではないのだ。


 それに、なにより―――


「クレア様、少々お尋ねしたいことがあるのですが、よろしいですか」

 食事をしながら、考えが纏まった鋼焔は決断した。


「? なんでしょう、答えられることならお答えしますが……」

 彼女は鋼焔の真剣な声音に居住まいを正し、箸を置いた。


「ええ、それで十分です、とある人物について訊きたいんですが」

 

「……とある人物……ですか?」


「はい―――神宮寺信夜、という男をインスマス王家で匿ってはいませんか?」

 鋼焔は包み隠さず切り込んでいく―――男の名を知っているものが聞けばかなりの失言であるはずだが。


「コ、コウさん!?」

 いきなり食事中に、父親の名前を出された沙耶は吃驚した。

 しかも、インスマス王家が匿っているなどとは、寝耳に水だ。


「……いいえ、そのような話し、聞いたことはありません、もしかして神宮寺さんの親族の方ですか?」

 彼女は、何の話なのか全く理解できておらず、隣にいる少女を一度見た後、首を傾げている。


「……はい、私の実の父です。同盟国内で指名手配されているんですが、五年以上行方が全く分かっていないんです」

 少し平静を取り戻した沙耶は、淡々と父親について語り聞かせる。


「―――なっ、天城様、わたくしの家が犯罪者を隠し立てしていると思われているのですか!? 心外ですわっ!」

 それを聞いたクレアは目を剥いた。

 柳眉を逆立て、不機嫌さを隠そうともせず、鋼焔を睨みつけ一気に捲くし立てた。


「下手に誤魔化すよりは、ハッキリと言っておきたかったので、気分を害すようなことを言ってしまい申し訳ありません」

 鋼焔は真剣な目で彼女に視線を返しながら、謝罪した。


「ですから、正直に言います、インスマス王家もしくは、それに近い誰かが相当に怪しいと思っています」

 そして、先ほどより言葉と眼に力を籠め、表情を硬くして、自身が今考えていることを包み隠さずそのままぶつける。


「……そう、ですか。ところで神宮寺さんのお父様がなぜうちの国にいると思われたんですか?」

 鋼焔の明け透けな物言いと、その表情に少し気圧されたクレアは、少し怒りが収まったのか、当然の疑問が浮かび上がってきた。


「日鋼の諜報機関からの情報なんですが、インスマスの騎士領で目撃情報があったんです」

 鋼焔は、あなたの国にスパイを送り込んでいますよ、と更なる失言を繰り返す。


「コウさん、私、そんな話聞いていません!」

 沙耶はそれを聞いて珍しく鋼焔に対して不満を口にした。

 父親の情報を鋼焔は常に、いの一番に自分に教えてくれていたのだ。

 それが、今回はクレアも悠も同席している。

 だから、二人の絆が軽く扱われている気がして不安になってしまった。

 

 鋼焔を上目遣いに睨みつけ、若干頬を膨らまして不満です! と、訴える。


「今さっき聞いてきたばかりなんだ、すまん」


「…………ううう、わかりました、……クレアさん、話の腰を折ってしまってすいません」

 軽くだが、真摯な態度で謝罪され、沙耶は不承不承と少し悲しそうにしながら引き下がった。


「いいえ、それで今の情報をわたくしに話した、と言う事は――」


「ええ、協力してほしいのですが、お願いできますか」

 鋼焔は話しが早くて助かると、次の段階へと進めていく。


「……はい、もちろんです、王家が疑われているのですから、出来る限りのことはさせて頂きます、……それに天城様には借りがありますから」

 クレアは、濡れ衣を晴らしたいという気持ちと、鋼焔には恩義を感じているので快く承諾した。


「ありがとうございます」


「……ですが天城様、正直に話しすぎです、わたくしはこれでもインスマス家の者なのですから、騎士領に諜報機関ですとか……そういう話は伏せてください、どのように反応すればいいのか困ってしまいます……それに、もし、わたくしが神宮寺さんのお父様を匿っていることに関与していたら、どうなさるおつもりだったんですか……」

 鋼焔の真っ直ぐすぎる発言に、少し呆れたような表情でそう零した。


「……すいません、それでもクレア様とは正々堂々と付き合いたいと思ったので」

――なにより鋼焔は、彼女に対して卑怯な手段を取りたくはなかった。

 選抜戦の時に正面からぶつかって来た彼女に対して、これ以上不義理なことはしたくないと思っていた。


「そ、そ、そうですか」

 鋼焔の素直な物言いに、一瞬で耳まで真っ赤になったクレアは言葉も震えていた。


「「ぐぬぬッ……」」

 それを見ていた二人は、唇を噛みながら凄まじい眼光でクレアをねめつけていた。


「それで、早速なんですがクレア様の実家に同行させてもらえませんか? ―――無礼な行為だとは分かっているのですが、――おれたちのことは一切知らせずにクレアさんが一人で実家に帰るところに付いていきたいのですが……構いませんか?」


「……必要なことなのでしたら仰せの通りにいたしますわ、……ですが母は歓待したいと思っているでしょうから残念がられるかと思います」


「……すいません、色々とご迷惑をおかけします、また人数と日程はこちらから連絡させてもらいますね」


「わかりました、わたくしも精一杯のことはやってみせます」

 クレアは胸に手を寄せ、迷い無く宣言する。


「ところでお兄ちゃん、あたしも連れて行ってくれるよね?」

 なんだか蚊帳の外に居る心地になった悠が、少し不機嫌そうに言った。


「ああ、悠、明人、古賀さんあたりに、付いて来て貰おうかと思ってる」


「そっかー、お兄ちゃんと遠出するの初めてかも」

 一転、嬉しそうな顔になり、これから先の予定に思いを馳せる。

 鋼焔も沙耶も遊び気分ではないのだが、悠と明人は完全に観光気分になっている。


「悠さん、私は二回ほどコウさんと旅行したことがありますよ」

 沙耶は、悠に向かって指二本立てながら得意げな顔をしている。


「沙耶さん、そんなこと聞いてないよ」

 そんな彼女に対して、悠は中指を一本立てて冷たくあしらった。


「ま、まぁまぁ、昼食の続きにしよう、箸が止まってるし、そういう話は家に帰ってからな」

 これ以上、話しが逸れると嫌な雰囲気になると判断した鋼焔は、食事の再開を皆に促す。

 

 思っていたよりも早く出立の日は近づこうとしていた。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「悠、ハブラシは持ったか? 替えの靴下は? パンツも忘れてないか?」


「お、お兄ちゃん、朝から何度もしつこいよ! ちゃんと揃ってるから大丈夫だよ!」

 人の往来の激しい場所で、兄にパンツのことを聞かれて悠は真っ赤になった。


 鋼焔と沙耶と悠の三人は、魔術学校から最寄の転送装置のターミナルで残り三名を待っていた。

 鋼焔たちは、魔術学校の方には、非公式の課外活動として申請していた。

 鋼焔がマークされている可能性はほぼ無いだろうが、インスマス側の間諜に今回のことを悟られないよう念には念を入れている。


 そして、本日、他の者と合流次第、インスマス王国へ出発する予定になっている。


「それにしても、早く来過ぎましたね、困っている悠さんを見るのは楽しいですけど」

 鋼焔たちは予定の時間より二十分以上早く着いていた、そろそろ他の三名も到着するだろう時間にはなっているが。


「こっちから頼みこんどいて、遅刻しましたはシャレにならないからな、こんなもんじゃないか?」


「それもそうですね」


「お、鋼焔くんおったおった、娘がついてきたい言うて、中々離してもらえんかったんよ、ごめんなぁ」

 集合時間の数分前に、古賀が現れた、少し急いできたのか息が上がっている。


「いえ、こちらの我が侭で付いて来てもらうんですから、全然気にしませんよ――ところで娘さんは?」

 鋼焔は、一人ぐらい大人に付いて来て貰おう、ということで古賀に連絡をとっていた。

 そして、古賀が仕事でインスマス国にも行った事があると聞いていたので、何かあった場合にも頼りになる。

 

「いや、おらんけど……」

 古賀は何か、背筋に寒気を感じた。


「そう、ですか」


「……鋼焔くん、そのネタ好きやなほんま、ははは」

「ははは」

 二人の乾いた笑い声がターミナルに響く。


「皆様、お待たせ致しました、それでは……あら、火蔵様はまだ来ていらっしゃらないのですか」

 集合時間丁度にクレアが到着した、なぜか実家に帰るはずの彼女の荷物が一番多い。


「……クレア様、その荷物、いったいどうしたんですか?」

 鋼焔は、はち切れんばかりに詰まったクレアの荷物を指差して訊ねる。


「これですか? 実は、わたくしのお母様達や妹達が日鋼の名産品が好きなので、お土産を大量に詰めていますの」

 鋼焔は、そういえば以前、沙耶にクレアの家族は母親が何人も居て、姉妹が何人もいる、と聞いたのを思い出した。


 それから数分後、


「おう、みんなスマンスマン、昨日なかなか眠れなくて寝坊してしまった」

 五分ほど遅刻した明人が到着して、全員が集合した。

 明人は恐ろしいほど身軽なのか、小さい鞄一つしか持っていない。


「よし、それじゃ、行きましょうか、四十一番です」

 そして、鋼焔は全員に声をかけ移動し始める。

 

 四十一番とは転送装置の番号だ。

 

 大小様々な転送装置があるなかで、数名用の小型の物に鋼焔達はドアを開けて入る。


 中は四角い空間になっており、ドアの横に数字の番号と『転送開始』と書かれたデカイボタンが付いている。


 鋼焔は、クレアの実家から一番近いカナン地区の番号『499』を入力してデカイボタンを押した。


 日鋼からインスマス国のカナン地区までは二千キロ近く離れているが、



 一瞬で転送が終わる。



 ドアを開くと先ほどまでの光景と一変していた。

 まず、周りに居る人間のほとんどがクレアのように綺麗な金髪をしているものが多い。

 鋼焔たちのように黒髪の人間も混じってはいるが、西大陸の人間も多く出入りしており、同盟国の中でも飛びぬけて外国といった雰囲気を醸し出している。


「うーん、ほんまここ来ると、ええとこきたなぁって気分になるなぁ、綺麗なおねーちゃん多いし」

 古賀が周囲を見渡しながら、妻帯者にあるまじき発言をする。


「ゲンさん、おれ、奥さんに言いつけますよ」

 そんな古賀を横目に見て、明人は冷淡に突っ込みを入れた。


「冗談、冗談やって……ああ! みんな待ってやぁ」

 女性陣が、そんな古賀を無視してターミナルの外に向かって歩きだしていた。


「古賀さん急ぎましょう、そんなこと言ってたら置いてかれます」

 男性陣も遅れて、その後ろについてターミナルを出ていった。


 

 

 鋼焔はインスマス王国に来るのは初めてだった。

 

 外に広がっている光景は日鋼人にとってはどれも鮮明に映りそうに見えた。

 今でも建物の多くが木造の日鋼と異なり、その多くが石造りで、屋根に瓦が無い。

 色もパステルカラーの物が立ち並んでいたりと目を引かれる。

 そして、日鋼と違い、魔術によって発生させた電力を通す電柱が一本も立っていなかった。

 鋼焔が事前に調べておいた情報によると、景観を壊さないために、全て地下に格納されているらしい。

 

 さらに、周りを見渡しながら歩いている鋼焔は、あることに気が付いた。


「クレア様、ここらへんゴミが一つも落ちていないのですが、どうなってるんですか?」

 周りを見た感じ、紙クズ、タバコの吸殻一つ落ちていないのだ、路上のタイルにもガムの一つも落ちていない。


「ゴミですか? カナン地区は路上にゴミを捨てると罰金なのです、初犯でも五百ゴルドほど取られるので皆さんも気をつけてくださいませ」


「……本当ですか、それ」

 一ゴルド=日鋼の円に直すと約五万円なので相当だった。

 しかも、鋼焔が事前に調べた情報には載っていなかったことを鑑みると、外国から来た人間は罰金払いまくりなのでは、と恐ろしくなった。

 鋼焔は、ますますインスマス王の首が飛ばないか心配になってきていた。


 そして、しばらく歩いていると不意に、悠が鋼焔の袖を掴み、


「お、お兄ちゃん、あれ見てあれ!」

 そう言って、道沿いの店舗を指差した。

「どれどれ、―――えっ、なんだあの店!?」

 鋼焔はその店舗の名前を見て度肝を抜かれた。掲げられている看板には、


 『伝説の武器・防具屋』


 と、大きく描かれていた。

 しかも、それらしい雰囲気がある。数百年前の建物をそのまま使っているようだ。


 さらに、


 『エクスカリバー始めました』


 という、のぼりが立っており、鋼焔は目を擦った後、もう一度見たがそれは消えてくれなかった。


「……クレア様、あれはなんなんですか?」

 唯一人、答えてくれそうな彼女に訊いてみる。


「どれですか? ああ、あれはわたくしの母が経営しているお店です、主にレプリカを扱っているんですのよ」

 鋼焔はそれを聞いて納得した、そして、クレアの父親は自分の奥さんから『アイギス』を買っていたのだと思い至る。

 つまり、インスマス王家の異常な財力はあそこから来ていたのだと判明した。



「天城様、もし興味がおありでしたら、後で時間がある時にお店に寄って頂けませんか?」


「ええ、是非ともお願いします」

 鋼焔は鋼の適性が高いだけあってレプリカであろうと高品質の武器などには目が無い。

 だが、今すぐに入りたいという衝動を抑えてクレアの家への道を行く。


 


 店舗を通り過ぎ、数分歩くと、周りの建物も減り始めクレアの実家が見えてきた。

 かなり遠いはずなのに、そこそこ大きく見える。


 数分歩いても、辿りつかない、しかもどんどんクレアの実家が大きくなっていく。


「……おかしいなぁ、ぼく、また遠近感狂ってる気がするわ」

「……古賀さん、おれもなんかおかしいです、写真でちゃんと見てきたんですけどね」

「……ゲンさん、おれもなんか歩いても歩いても辿りつかないっす」

 三人とも変な汗をかき始めていた。


「実物を見るのは初めてですが、本当に御伽噺に出てきそうな建物ですね」

「なぁ、ババア、……もしかして天城家ってしょぼかったの?」

「いいえ、あれが例外なだけです、コウさんの家をしょぼいとか言うのは止めてください」

 沙耶は、クレアの実家を指差しながら、自分たちの家を愚弄する悠を諌めた。



 そして、やっとのことでクレアの実家の正面の門にたどり着いた一同は、その建物を見上げながら、


「「「デカッ!!」」」


 と、クレアと沙耶を除いた面々が叫びをあげた。



 正面には、巨大な城がそびえ建っていた。


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