表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

うんこ

スイッチ

作者: 催吐剤

 マサオは自動販売機で缶コーヒーを買った。

 取り出した缶のあまりの熱さにマサオは思わず「熱い!」と叫び、缶を落とした。

 マサオの手から滑り落ちた缶はガードレールをくぐり抜け、アスファルトを転がった。

 一匹の黒猫がマサオの目の前を通り過ぎ、缶を追って車道へと飛び出した。

 車道を走っていたトラックの運転手は、急に飛び出してきた黒猫を避けようとハンドルを切った。

 黒猫はタイヤとタイヤの間を巧みにすり抜けたが、缶は運悪くタイヤに掠った。

 タイヤに掠った缶は加速しながら道路を横切り、向こう側の歩道へと転がった。

 携帯電話をいじりながら歩いていた若い女が缶を踏んづけて転んだ。

 転んだ女の履いていたヒールが脱げ、弧を描いて天高く飛んだ。

 飛んだヒールはアパートのベランダに干されていた白いシーツにぶつかった。

 洗濯バサミが外れ、シーツは空中へと躍り出た。

 シーツの端にベランダの柵の上に置かれた植木鉢の枝が引っ掛かった。

 植木鉢はシーツに引っ張られ、バランスを失い落下した。

 重力によって加速した植木鉢は、自動販売機の前で、自分が落とした缶コーヒーのせいで転んだ女をぼんやりと眺めていたマサオの頭に勢いよくぶち当たった。

 脳天から血を噴き出しながらマサオは歩道に大の字に倒れ、気を失った。

 倒れたマサオの上にフワフワとシーツが舞い降り、マサオの右腕と右脚を覆い隠した。

 仰向けに倒れたマサオの左手の上のあたりには丁度よくマンホールがあったので、その様子を上空から眺めたらカタカナの「ピ」に似ていなくもないような、そんな気がした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ