ならんでね
ゆうべは丘の上に流れ星が落ちたというので、町中が騒がしかった。
「これは大変だ」
天文台の先生や、博物館の先生、消防署の人たち、大勢の人が丘の上で、流れ星が落ちてできたらしい、そんなに大きくはない穴をのぞきこんでいた。
「大きい穴ではないけれど、ずいぶん深くに埋まってしまった。どうなっているかな」
流れ星はたしかに落ちてこの穴を作ったのだけれど、燃え尽きてしまってなくなっているかもしれないのだそうだ。
落ちるときに壊された家もないし、火事になる心配もないということで、明日の朝からまた調査を再開すると約束をして、また丘の上は静かになった。
(キラキラしていたぞ)
(キラキラしていたぞ)
人間たちが寝静まったころ、町のあちこちからひそひそ声が聞こえた。
(仲間かな)
(ナカマかな)
声が小さいのは、彼らが小さいからだった。
砂場の砂の中にあるキラキラした粒。
おもちゃ箱の隅のビー玉。おはじき。
宝石箱の中の指輪。
LEDの豆電球。
(仲間かな)
町中の小さなキラキラたちはそれぞれの家を抜け出して、丘の上を目指した。
(ならんでね)
(ならんでね)
小さなキラキラたちはお行儀よく列を作って、丘の上へ登っていった。
遠くから見るとその様子は、キラキラの細い線が丘の上へ伸びていくように見えた。
(寝ているよ)
(寝ているよ)
丘の上の穴の底では、流れ星が長旅につかれてすやすや眠っていた。
(ようこそ)
(ようこそ)
キラキラたちは、流れ星を起こさないように挨拶をして、それからそれぞれの家に戻っていったらしい。
☆
「今日から、自然博物館で公開されます」
流れ星は、穴の底から拾い上げられてガラスケースに移された。
まだすやすやと眠っている。




