【75】謎の女VSオスクリダド
明けましておめでとうございます。
新年最初の投稿になります。
今年も宜しくお願いしますね☆
「何だか緊張するわね。ドキドキ」
「うるせーよ。気持ちわりーな。お前のぶりっ子はこの世の物と思えない気持ち悪さだから辞めてくれ。吐く」
「酷すぎじゃない!?吐くって!」
「お前が人型ならまだ分かるが鼻ピーした二足歩行の牛のぶりっこだぞ。よくよく考えてみろよ。言っとくが絶対他の奴も思ってるからな!」
「そうなの!?他の男子達も!?」
「男子て……」
アサドは目をそらし、ケントは食事をしだし、ロウガンはタバコを吸い全員が一様に目をそらした。
「ほら見ろ。お前の言うだ……男子達は同じ反応なんだよ」
ザハルは笑いを堪えながら話している。
それも仕方ないよね。
男子達て。久々に聞いたわ。
「なぁザハル、早く行かね?ロストとアサドの戦いにめっちゃ興味あるんだが」
「まぁそうだな。行くか。ただ……ロストは気付いてると思うが注意しろ。キア念のために防御結界を2人に」
「承知しました」
「確かにザハルの言うとおり変な感じはするけど、ここは裏ダンジョンだよ。注意するのは当然よ。さ、アサド行くわよ!」
ロストがボス部屋の扉を開き先に2人が中に入る。
″グシャ″ ″ボキッ″
ドガーン!!!
一瞬の出来事であった。
ロストとアサドが壁にめり込んでいる。
完全に意識を失っている。
「ん?なーんだ、外れか」
一同にすさまじく緊張が走る。ケントは震えが止まらないようだ。ロウガンがケントを守ろうとしたとき、ケントは地面にめり込んだ。
「ハハハハ。簡単な重力でめり込んじゃったね。次は力無き元魔王様?これはどう?血剣」
ロウガンは必死で耐えているが厳しそうだ。キアが加勢に入り防御壁を最大展開するも、争う余地もなく2人とも血剣を食らってしまい宙に舞い上がり、力無く地面に落ちた。
「あらあらこれが最強の勢力オスクリダト?拍子抜け。あ・と・は・君だけだね。
ザハル・ジェンノ」
「なぜ俺の名を知っている?」
「なぜ?当然じゃない。君は兄の仇」
「兄?知らんけど。お前みたいに強ければ必ず記憶してある」
「勇者レーニアと魔王の戦い時に兄も死んだ。あんたの攻撃に巻き込まれてね」
「お前のように強ければ死ななかっただろうにな。兄は幹部かなにかか?」
「いいえ。兄は凄く弱かったけど、凄く優しかった。あんたがそんな兄を奪った。許すつもりはない。ここで死んでもらう」
「そうか、それはすまんかった。だがあれは戦争だし俺も殺される訳にもいかん。
お前が圧倒的強者である事は、この惨状を見れば火を見るより明らか。だからこそ戦力で行かせてもらう」
「好きにしなさい。全力のあんたを叩きのめしてこそ大義名分も得られるわ。
ザハル・ジェンノ」
「あ、待て。おまえにはどうでもいいことかもしれんが、俺はザハル・ジェンノではない。その情報は古すぎるぞ。俺はジェンノでもシガレットでもない。ただのザハルだ」
「王国を捨て、子までも捨てたというのか?お前に血は流れているのか?」
「捨ててねーわ。自立したんだよ。後は次の世代の問題だ。それと血が流れてるかって?流れとるわ!糖分たっぷりの血液がサラサラと流れとるわ!」
「ドロドロだろーが!そんな血液!」
と、まぁ話で繋いでみたものの……これはどうあっても勝てんな。
どうするかな。少なくとももう少し情報がほしい。
「お前はあれか?サキュバスとかそれ類いのハレンチな奴か?」
「心外なんですけど!あんなのと同じにされるのは。私は由緒正しきヴァンパイア。直系にして8代目当主だ」
「なるほど……それならあの動きと強さは説明が付く」
「血嵐」
「核解放!」
ザハルが核を解放するのは人生で初めてであった。核を解放しなかったのには大きな理由がある。
自立した制御が不能になるのだ。
つまり極めて″暴走″する可能性が高くなる。今、止める仲間が居ない以上極めて危険な行為だか、核を解放しても危険な相手と本能で行動した。
「へー凄い姿になったねぇザハル。
レベルも2倍くらいになったんじゃない?」
ザハルが核を解放すると力の制御がなくなり、レベルは一時的ににせよ2倍に跳ね上がる。微かに意識のあるザハルはかんがえていた。
足りない……
両者が動き、拳と拳がぶつかる度にものすごい地響きと爆音がダンジョンに広がる。
最早ボス部屋は崩壊しており地面の崩壊とともに4階層に落ちているが、本来出て来るはずの凶悪な魔物の影はない。
2人の戦いにより知らず知らずのうちに駆逐されていっていた。
「やっぱり他の奴とは違って、アンタは別物ね。私も本気になろうかしら」
ザハルは思っていた。まぁそうだろうな。
遊ばれている気がしてならなかったからだ。ザハルは脳内にいるキアの分身を出し、薄れゆく意識の中で仲間の保護を第一優先とする行動を指示した。
「主は!?」
「か、構うな……い、け!」
キアの分身は皆を保護し破壊されていない3階層ボス部屋のセーフゾーンまで退却。
謎の女は少し厳つくなり、目は赤く黒い羽根が生え尻尾を帯びていた。
「この姿になったのは何百年ぶりかしら。先に言っとくわ。直ぐに終わるわ」
ザハル暴走まで残り10%
先制攻撃はザハルだった。破壊力はえげつない。ガードしたはずの謎の女は壁を3枚突き破られた。
先に言っておくと裏ダンジョンの壁が崩壊したり突き破られることはまずない。
レベルが6000を越えれば可能とはある。
ゆえに今のザハルがレベル6000を超えているという事にもなる。
「いきなりじゃない」
全く効いていない謎の女。
「手癖の悪い子はお仕置きが必要ね。
血千針」
降りそそぐ針はザハルの防御結界を貫き容赦なくザハルを貫いていく。
「グフッ……アーーー!!!」
「ハハハハ!粉微塵になるまで止めないわよ!」
ザハル暴走まで残り1%
ザハルは、ふと瞑想の中に連れて行かれる。
「ザハル……ザハル」
「だ、れだ」
「わしらを解放せよ。お前の中に眠る力を自分の力で解放せよ」
目を開けるとそこには水龍とベヒーモスが居た。
「何だお前達か。解放したらどうなる?解放したら勝てるのか?」
「どうにもならんが、勝てもせん。だが覚えるのだ。暴走を使いこなす精体に進化しろ。これから先、あんな奴とは話にならない程の相手ばかりだぞ。ここは古の世界、お前も仲間もここで強くなるのだ。いいな、お前の悲しみや悔しさを一瞬に込めて一気に解放しろ。
最初は制御できなくても制御できるように使いこなせ」
「無茶ばっかり言いやがって」
「別にお前自身がどうなろうと知ったことではないが、最近はお前との旅も楽しく思えてきてな。お前に死んで貰うわけにはいかなくなっただけだ」
「ツンデレか!」
「ふん!とにかくいいな。死ぬのではないぞ。そろそろ時間だな。行けザハル、勝てずとも一撃かましてやれ」
「ああ、その思い受け取った」
現実に意識が戻るザハル。
「レーニア……皆───お、俺が……ごめ───あーーー!!!」
ザハルは獄炎を纏い、周囲には稲光を撒き散らしていた。
ザハル暴走!
「やっとなったわね。これで真っ向からやれるわ」
″バチバチ″
″こ……ろす″
「まだ制御出来てないのね。だったら大したことないわ。塵になりなさい。ザハル!!」
両者は激しくぶつかり合い、1歩も引かない一進一退の攻防。謎の女に蹴り上げられたザハルは、3階層2階層1階層の地底を突き破り1階層まで放り投げられた。
直ぐにザハルも反撃し同じく謎の女を4階層まで叩き落とした。
手数も一撃一撃の重みも違う。暴走状態にも関わらず圧倒的に劣勢なザハル。
息切れも激しく、身体が付いていけてない。
ザハルの蓄積ダメージも深刻だが、確実にヴァンパイアの力と体力も削られていっていたのである。
「流石はザハル……はぁはぁ。でももうそろそろ限界みたいね。さっきは殺すと言ったけど、私の任務は村に連れて行くこと。終わらすわよザハル」
″シュー″ ″シュー″
ザハルはもう言葉すら発せない。
「これ以上引き延ばしたら面倒になるわね。一撃で終わらせないと、これ以上は私も危険だわ。スキル:血配合ガード2拳8」
謎のヴァンパイアは、とてつもないスピードでザハルの懐に入り、ボディ1発と顎に1発強烈なパンチを叩き込み、ザハルは暴走状態が解け崩れ落ちるように気絶した。
この日、最強の勢力として名を知られて以来数千年、初めてオスクリダトが敗北した。
たった一人のヴァンパイアによって。
「聞いてた話と全然違うじゃない。ザハルむちゃくちゃ強いし!腕が折れちゃったじゃない!姉様許さないんだから。そこの分身か何か知らないけどアンタも来なさい。ザハルと一緒に私達の村へ行くわよ」
「畏まりました」
ザハルはヴァンパイアに足を持たれ、地面を引きずられながら転移陣へ連れて行かれたのであった。
予想通りの展開でしたか?
期待を裏切れましたか?
言い意味で期待を裏切れてたら何よりです。
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