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レベルが上がりにくい鬼畜な異世界へ転生してしまった俺は神スキルのお陰で快適&最強ライフを手にしました!  作者: メバル
第二章【激動編】

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【53】最後の別れは美しく

 ロウガンを除く超越者連中に止められるとは思いもしなかったし、まさかこんな形の初顔合わせになるとも思わなかった。


 クマとライオンと言われるレベル1800を越える(おす)ライオンと(めす)クマ。

 牝クマに関しては頭にリボンなんて付けてやがるし、似合ってなさ過ぎて普段なら爆笑してるだろうけど今は笑えねー。


 ライオンは特にツッコミ所もない。

 いや、嘘だ。

 大体顔面がバチキマのライオンさんで二足歩行の時点で妖怪にしか見えん。

 というかフルチン回避をしてるんだろうが、どっからどう見てもオムツ履いてるようにしか見えませんぜ旦那。


「なんだお前ら?」


 ロストが半ギレで答える。


「なんだ?じゃないわよ!あんた全てを破壊し尽くすつもり!?自分の力がエグいことを忘れないで!」


「あぁそうか……止めてくれたのか。

 すまんな……」


 直後俺は意識が飛んだ。


「あんたそんな事して大丈夫なの!?」


「問題ありません。今の主には眠ってもらった方がいいと判断しました」


 どうやら俺の回路を一時的に遮断したようだ。

 それでいい。良くやった。今の俺に冷静な話ができない。


「それにライオンさんとクマさんは今このタイミングで会話をするべきではないでしょう?」


「配慮に感謝するよ」


「ええ、そうね。ありがとうね」


「私はこのまま主の体を城へ運びます。ロウガンは5年以内にやるべきことを済ませなさい」


「5年!?いや!キアさんムチャ振りっすよ!」


「済ませなさい」


「いや、だから……!」


「……」


「は、はい」

(コイツくそ怖いんだが……絶対逆らったらいけないオーラ出さんといて)


 なんだか俺がいない間にロウガンはキアから何かしら支配をされたようだ。

 んーどんまい……

 俺の身体を遠隔で動かし、キアさんは城へと戻ってくれ、到着と同時に俺を起こしてくれた。


「主、着きましたよ。

 まだ、誰にも到着したことを話していませんが、少しは冷静さを取り戻せましたか?

 主が冷静でなければ、これから始まる国葬や今後の生活に支障を来しますので、今は飾ってるだけでもいいので冷静で居てくださいね」


「うん。大丈夫だよ。ありがとうな、キア」


「とんでもないです。私は主をお守りすることが使命ですから」


「そうだったな。だけど今回はマジで感謝してる」


「さて主、そろそろ本軍がお戻りになります。

 お出迎えをしないと、王の演説も始まりますよ」


「そうだな」


 フィリックスを先頭にジェンノ王国本軍が戻ってきた。

 決して歓喜できる戦いの終結ではないものの、魔王を打ち倒したという喜ばしい現実を皆に知らせるため、強引ではあるが皆が派手な帰省を果たした。

 どうやらフィリックスの命令のようだ。


 よくやるよ……我が子ながら。


 城下町を通る中、国民たちの祝福と感謝の思いが入り交じった大歓声で出迎えられるフィリックス王。

 城下町を笑顔で通過し城門がゆっくりと開く。

 城の者には訃報は伝わっている。

 全員が整列し神妙な趣きで王を出迎える。


 王は壇上へと足を運び今回の戦果を報告しだした。


「今日というこの日は特別な日になった!

 我々の勇者により魔王が打倒されたのである。

 これは歴史的にも快挙なことだ。その喜びと安堵を十二分に噛み締めて欲しい。

 しかしながら、悲しい知らせもある。

 先王でもあり勇者レーニア・ジェンノは魔王との戦いにおいて、己の命と引き換えに魔王を倒した。

 魔王は確かに居なくなったが、またそれは勇者もヒューマンの中から居なくなったことを意味する!

 それにより私ジェンノ王国国王は本日より10日間を国として喪に服し、一切の殺生を禁じる。

 そして、明日は勇者の国葬を執り行う予定である!

 皆も最後の別れを行って欲しい。

 国民の皆様にも献花台を用意する。

 皆……勇者と最後の別れを大切にしてくれ」


 フィリックスはまだ20歳にもなってない子である。しかし眼の前に居るのは20歳に満たない子とは思えず本当に立派なの国王が君臨していた。


 フィリックスの話を耳にした国民は衝撃の事実に

 大いに落胆し嘆き悲しんだ。

 それもそうだろう。

 レーニアは国民から最も愛された国王であった。

 常に弱い者の立場になり政策を行い、悪しき風習を撤廃していった女王だった。


 フィリックスは国民の泣き崩れる姿を目に焼き付け壇上から去り、城の通路で待機していた俺の方へ向かってきた。


「父上……」


「よくやったな。フィリックス……泣いていいんだぞ」


 フィリックスの肩が震えているのを確認し俺は遮音結界を張ってあげた。


「う、うわーーー!!!母上!!!」


 俺に抱きつき、泣き崩れるフィリックス。


「それでいい。今はそれでいいんだ。

 俺と2人だけの時は無理しなくていい」


「はい……父上」


 暫くフィリックスは泣き、すっと真剣な顔をした。今後何をしないといけないのかを理解している男の……いや、王の顔がそこにあった。


「ふぅ……父上、ありがとうございました。

 少しスッキリしました。明日の準備をしましょう。父上も手伝ってください」


「勿論だ。マイムに頼んでレーニアを綺麗にしてもらおう。傷口は医師に縫合してもらい綺麗な姿で送ってやろう。

 棺は王の要望があれば要望通りに仕上げるが、何があるか?」


「華やかで可愛らしい棺でありながら、先王としての威厳を見せた棺を作れますか?」


「大丈夫だ。キアがそういうのは得意だから任せようと思う」


「お願いします」


 通路の奥から泣きながらマイムが歩いてきた。


「ザハル、レーニアを預かるよ」


「頼む」


 俺はレーニアの遺体をマイムへ預け一緒に過ごした日々が多かった2人の部屋へと戻った。

 本当は自室に戻りたかったが、俺には成人していない子供が居る。

 あの子にも真実を伝えねばならないからだ。

 もう何も分からない年齢ではない。

 しっかりと理解をするだろう。

 だからこそ重い話になる。


 あー気が重い……


「父上ーお帰りなさい!戦勝されたようですね!嬉しいです!」


「そうだね。母上のお陰で魔王を倒すことが出来たよ。母上に感謝しないとね」


「はい!すごいなー母上は。なんたって勇者様ですもんねー!」


「そうだね。本当に立派な人だね」


「母上はまだ帰ってきてないのですか?」


「うん。母上はね……家族と国と人々を守って、魔王を倒してお空へ旅立っちゃったんだよ。

 ラムネ、すごく悲しいことだけど、俺たち家族はちゃと母上を送ってあげようね」


「う、うわーーーん!」


 ラムネは泣きじゃくった。

 泣いて泣いて疲れてしまったのか、コトンと寝てしまった。

 俺は強く思った。

 この子が成人するまでか、婚姻するまでは側に居てあげないと。


 ラムネが目を覚ましたのは葬儀の準備が一通り終わった後であった。

 家族のみに許される最後の別れの時間。

 俺はラムネを背負い、レーニアが安置されている場所へと向かった。


 安置所へ着くと既に王は着いており、ラスクも側に居り、俺とラムネが到着したことで久しぶりに家族だけの時間が流れた。


「母上、父上とラムネも着きましたよ。

 これで家族皆が揃いましたよ」


 フィリックスが静かに眠るレーニアへ声を掛ける。


「レーニア、マイムに綺麗にしてもらったんだな。よかったな」


 俺も絞り出しながら声をかけた。


 当然レーニアは何も喋ってくれない。

 当然か……


「母上!起きてください!母上……ママ起きてよ……」


「父上」


 俺は軽く頷き、ライムを連れ出した。


「ライム、気持ちは分かる。それでもお前は王族なんだ。国民や兵士の前で、そんな姿を見せるのか?それが王女の姿か?

 お前はまだ子供だ。いっぱい泣かせてあげたい。ママの所に居させてあげたい。

 だけど、お前が気丈に振る舞わないと母上の所に連れていけないんだ。

 兄でもあるが王の姿を参考にしなさい。

 フィリックスは必ずいい王様になる。

 フィリックスの立ち居振る舞いを真似なさい。

 母の優しさを真似、優しさを忘れないようにする事。そうしたらライムも素敵な王女様になれるからね」


「う、うん。私もお兄様を見習って王の妹として頑張る……頑張る!」


「なぜ2回?」


「ママが大切な事は2回言いなさいって言ってたもん」


「まったく……アイツはどんな教育してんのよ」


「さて、行こうか」


「うん!ママにちゃんとお別れしないと!」


「そうだね」


 ラムネの覚悟が決まってよかった。

 フィリックスもラスクも皆決まったようだ。

 マイムもクラーヌもペスカもポムも。


 あとは俺だけ……か。


 レーニアの顔を見るだけで発狂しそうになる。

 悪戯をしあったときが懐かしい。

 初めて彼女を抱いた時も懐かしい。

 子が生まれた時は、この上なくうれしい一日だった。


「あぁ……レーニア。なぜ君だけがいないんだ」


 俺がラムネを安置所へ連れて行くと、フィリックスは優しい微笑みでラムネの手を引いた。


 兄弟が手を取り合い母を囲む。

 レーニアが最期まで望んでいた姿が、そこにはあった。


「これより明日の葬儀まで俺はここから離れらない。今日1日代理としてラスクに政務を任せる。

 出来るな?」


「畏まりました。国王陛下」


「父上、本当は父上こそ側にいたいでしょうに……しきたり(ゆえ)申し訳ありません」


「気にするな。ペスカは外で張らせておくぞ」


「感謝します」


「ペスカ、王を頼むぞ」


「はっ!」


 翌日の葬儀まで王は先王と2人きりで過ごす。

 魂を引き継ぐって意味があるらしい。

 正直アホくせー話だけど、もうどうでもいい。

 しきたりに縛られたければ縛られればいい。

 人とは元来そんなもんだ。


 さて俺は何するかな……そうだ庭園に行こう。

 レーニアが好きだった、あの場所へ。



 庭園に着いた俺はフラフラと何も考えず引き寄せられるように、いつもレーニアが居た場所へと足を運んでいた。

 レーニアが笑っている幻影が見える。

 手を伸ばしたらレーニアは霞のように消えていく。

 突如俺の目から大粒の涙がこぼれ出した。

 一向に止まらない涙。

 その場に蹲り俺は大声で泣いてしまった。

 マイムとクラーヌが駆けつけて、俺の背中をさすさすしてる。

 マイムの手はしっとりぷるるんで心地よいが、クラーヌは骨が当たりまくって痛い。

 イラッとするほど痛い。が、今はコイツらの優しさに感謝してる。


「ありがとな……でもよ、クラーヌ……お前の手がクソ痛い」


「ひどっ!」



 ――――――――国葬当日――――――――


 既に広場には多くの国民で溢れかえっていた。

 王国の国旗を振りながら涙を流す愛すべき国民。

 兵士、将軍、軍師、役人、貴族、ハリネズミ。

 ジェンノ王国に関わる全ての者が勢揃いしている。


 フィリックス王と共にレーニアの棺が運ばれてくる。

 スーパーDr.マイムがゆっくりと棺を開く。

 ラスクとディゼルが棺の左右に立ち、床に剣を突き立て跪く。

 壇上の一番上にフィリックスが上がり、国葬の開始を伝える。


「これより先王レーニア・ジェンノの国葬を行う!先王は女王陛下という立場でありながら、勇者という使命を持って生まれてきた。

 先王は最終戦の前に国王の座を私に譲り、最期は勇者として使命を全うされた、誇り高き女性である!

 よって現国王フィリックス・ジェンノは最大功労者であるレーニア・ジェンノの国葬をここに執り行う!」


 反対するものなど居るはずもなかった。

 命をとして人々を国を守ったレーニアという勇者の国葬。

 粛々と執り行われていく国葬。


 遂に国民にとっても家族にとっても最期の時間が訪れた。

 レーニアの火葬である。

 レーニアの棺は火葬される場所へと運ばれる。


「ザハル・ジェンノ、前へ」


 フィリックスより呼ばれる俺。


 これが最後の任務でもある。

 レーニアの遺言だからだ。俺が豪華な炎を出しレーニアを送る。


「父上お願いします」


桜龍華(ドラゴンフロース)

 なぁレーニア、別れの花に寂しいのはいらねーよな。俺とお前が出会った春先に咲く花。出会いと別れの花でもある、これに限るよな。

 じゃあなレーニア……いや、甘味杏逗さん。本当の世界に戻って、本当の家族と再会できることを祈ってるよ」


(ありがとう糖児さん)


 なんだか、レーニアではない杏逗さんの声がした気がした。少し頬を緩ませながら俺はその場を後にした。


 この国では遺骨を拾えるのは王と血縁者のみ。

 俺はここでお役御免となる。

 やることがなくなった俺は、マイムとクラーヌと3人で久しぶりにダンジョンへ出発した。


土日は読書にふけてくださいましー笑

俺は仕事ですけどー!!!

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p>無価値と言われた人間が異世界では絶対必須でした
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