【34】魔王と俺の初対面(前)
早いものでエコーの覚醒からもう3年の月日が流れていた。
俺も年齢が20歳になり昔の日本で言う成人男性になるのかな。
これで堂々とタバコも吸えるもんだろ?
「既に吸ってましたけどね」
「何のことかね?全て忘れなさい」
「そんなことよりも主、魔王軍が動き出したのはもうご存知だと思いますが、魔王城付近にあった城が8個、国が2つ。
この1ヶ月で落とされてるのはご存知でしたか?」
「いや、知らん。というか俺その時ダンジョンで人間辞めてた時だし知るわけないじゃん」
「それもそうですね」
「だが1ヶ月でその数は中々エグくない?
どんな能力持ってるんだろう、魔王軍たちと相見えるのが楽しみで仕方ない」
「1つだけ分かってる能力はありますよ」
「誰の?」
「魔王ですね」
「それって1番バレちゃいけないやつじゃないの、そのアニメとかゲーム的にはさぁ」
「普通に魔王自身がバラしてますし、いいんじゃないですか?」
「かっる!なんかこの世界って変な所でテキトーなゲーム感出るよな。
途中で製作すらダルくなって、テキトーにステージを作ってしまったような感じだよ」
「たしかに。それもこれもこの世界の神が原因かもですね。
Theテキトー軍団ですからねー」
「んで、魔王の能力ってなんなの?」
「伝え聞くところによると、その土地の物を吸収し不毛の地に変えてしまうようです」
「なにそれ、何かエグくない?」
「エグいですよねー。でも分からないのが、なぜ吸収する必要があるのかって所なんですよ」
「確かに。不毛の地にするだけなら攻撃すれば出来ることだし、少し探ってみる必要がありそうだな。
実際にジェンノと対峙するまでには、情報を揃えて置きたいんだが……キアさんや、あんたが管理する傭兵の中に探知に優れた奴はいないのかね?」
「まっ、そうなりますよね。
いるっちゃ居ますよ」
「なに、その言い回し」
「単純に変な奴なんですよ」
「人間?人間だったら無理じゃない?」
「人間といえば人間なんですが、違うと言えば違います。
簡単に言うと私が作ったホムンクルスです。
ただ変な奴に進化していってしまったんですよ」
「どう変なの?」
「スキルがですね、偏食家ってスキルでして、なんでも食べるんですよねー。
建物でも石でも泥でも、彼には食事でしかないんですよ」
「いや、キアさん、待ちなさい。
それって1番ベストチョイスなんじゃない?」
「あー!そうかも知れません!」
「ちなみにそいつのウンコはどうなんの?」
「そこまでは知らないですけど、あ!そう言えば草が生えてきてましたね」
「もう完璧すぎやん。魔王スキルなんざ、なんぼのもんじゃいやんけ!」
「じゃあ偵察と復興も兼ねて派遣してよろしいですか?」
「勿論だ。すぐに頼むよ。ちなみにどのくらい居るの?」
「20体程です」
「よし。じゃあ全員派遣でよろしゅう」
「承知です。今から私の研究所を管理してるものに連絡して派遣をさせますのでしばしお待ちを…………はい。完了しました」
「はっや!彼らも私が作ったプログラムなので、私の脳内指示でやりたい放題です」
「言い方!じゃ、まぁそっちは一旦任せるとして……今、魔王はどこにいるか分かる?」
「え?まさかとは思いますが……」
「そのまさかだね。どこにいんの?」
「んー……えーとー……」
(これ、教えていいのだろうか……絶対良くないこと起きるよね……んー……言っても聞かないし……いいや。私しーらない)
「どこ?ねぇどこ?聞いてる?」
「えーっとですね。地名でいうとラマグリダという地に居て、今から恐らく3日後にその地で攻撃を開始するでしょう」
「俺たちがそこに行くまでに、どのくらいかかる?」
「主なら数時間で到達できますよ」
「じゃー行こうじゃないか!レッツラゴン!」
「ネタが古すぎる……」
その頃、ラマグリダ城から2kmほど離れた場所では……ラマグリダ軍と魔王軍が戦争開始目前ともあって両軍が殺気立っていた。
ラマグリダ軍2万に対し魔王軍は、たったの5,000と完全なる舐めプをされているのである。
そこに2,000km程マラソンをしてきた俺がさわやかに到着する。
「おっ!キアさんよ、2時間で着いたぜ!なかなか早く着けたな」
「言っときますけど、走って2,000kmを2時間で到着なんて、人ではないので人には言わないで下さいね」
って、いつものようにオトボケな会話をキアとやっている俺たちを尻目に、まぁ当然ながら両軍は俺たちの登場に大きくざわめいていた様だ。
それもそのはず、だって俺、両軍のど真ん中に到着しちゃったんだよねー。
失敗失敗。
それと結構なメストを放ってたようで、人間軍はざわめきはしても近寄れるものはゼロであった。
対して魔王軍は奥の陣営から数人が近寄ってくるのが見えたので、俺も必然とそちらに歩いていった。
幹部らしき者が制止しようとする。
「誰だ貴様は!無礼だ……」
“パン”
「邪魔、お前じゃない」
俺の裏拳で頭が弾け飛ぶ幹部。いや、死んだから元幹部か。
「バラ様!!!」
「豚の顔して名前がバラて……もうギャグやん」
俺がそう呟くと、1人の青年?少年?のような奴が話しかけてきた。
「貴様もそう思うか?と、なれば貴様もあっちの世界の人間だな」
「ん?」
「あの世界の人間と言うならば名乗っておこう。
我が名は魔王ロウガン。日本に戻るために、この世を破滅させるために誕生した魔王である」
「動機がゴミすぎる……お前、なんて?
日本に戻る?って事は転移者?俺は転生者だからなー……戻りたくても火葬されてるしなー」
「なるほど、転生者か。余はラーメン屋になるのが夢でな……修行中に突然飛ばされて気づいた時には、よく分からん鳥の腹に子供の状態で目が覚めたのだ。そしてお告げがあったのだ。
あの瞬間に戻りたければ魔王として勇者を殺し、世界を征服せよと。
それであれば余のやることは1つしかなかろう」
「そうなのね。でもまぁそんな話は俺には関係ないし、俺たち側の言い分もお前には関係がないだろう。
ちなみにだが、勇者がお前の前に現れるのはまだまだ先の話になるだろうな。
そして世界征服も叶わぬ夢となるだろう」
「なぜ貴様が言い切れる」
俺はメストを5割程開放した。
「今ので大体半分くらいだが、これが答えだ。
お前たちは俺には勝てないよ」
「何と言うメストだ!」
ざわつく魔王軍幹部たち。
「なるほど、しかしそれは貴様も同じではないのか?
お前では余を殺せない」
「その通りだ。だから俺はただの時間稼ぎでしかない。
だが、この時間稼ぎも俺クラスになればお前たちを度々壊滅的に追い込むことが出来る。
それだけで十分だ」
「恐らく貴様の言う通りなのだろう。
面白い。それでは貴様がどれだけのものか手合わせを願おうか」
「いいぜ。ただ面倒くせーから全員でかかってこい。
この戦いで壊滅的な打撃を食らわせ、今一度兵を再構築させる時間を作らせてやる。
全員で来なくても、俺は勝手に全員殺すから余計なことを考えても無駄だぞ」
「良いだろう。
全軍、あの男を殺せ!!!」
一斉に向かってくる魔王軍!
魔王軍5,000VS勇者の夫!
最近体調を崩しており、めちゃめちゃ遅くなってすみません。




