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七十三話 心の扉

あの時を思い出すたびに、勇気が湧いてきた。

心の底から安心できるあの人に出会ってから、私は変わった気がする。

陰口や悪口は日常茶飯事であり、すぐに慣れた。


ーーー人よりも、メンタルが強い。


その言葉を延々と言われ続け、その言葉が私を傷つけた。

周りはどうともおもっていないだろう。


だって、自分には関係ないことだから。


「頑張れ」


「え?」


彼との出会いは、その言葉から始まった。

時に気にもしていなかった塾の数学の担当教師。

塾内でも、授業がわかりやすいと評判だったので、周りに興味がない私でさえ、知っていたほど。


塾に張り出されているランキングを見た時、後ろから突然そんなことを言われた。

上位クラスだったこともあり、成績上位者はほとんどクラスメイトであり、席も近い人ばかりだった。


そんな中で、一際目立っているわけでもない。


ーーーなんで、私ばかりフォーカスするの、、、?


初めはそう思い、腹さえ立てていたほどだ。

人と関わるのが、人間不信により、少し恐怖を覚え始めていた時でもあった為、出会いは最悪と言っても過言ではなかった。


週に4回、3コマと他の塾ではみない、中々ハードな授業日数と授業回数。

彼は全ての授業が終わった帰り際、毎回私に励ましの言葉をくれた。


人気の先生にそんなことを毎回のように言われると、自分自身が目立ち、周りからのイメージも悪くなってしまう為、当時はさらに嫌いになった。


学校以外でも、学校でやられているような仕打ちを受けることが、苦痛で仕方なかった木葉は、思い切って彼に伝えた。


「話しかけないでください」


そういうと、その日を境に、話しかけられる頻度が一気に増した。

ただの嫌がらせと言わざる得ない状況になった。


何度も何度も注意するが、彼の熱意は強く「頑張れ」や「自分のペースで頑張れ」などの言葉を投げかけてくれた。


ーーーその時には「もう辞めてください」なんて言葉は出てこなくなっていた。


自分の周りに応援してくれる人が少なかった為、自分のことを認めてくれる人が人生に必要だという事実に直面した瞬間でもあった。

しかし、周りからの視線などが気になり、それどころではなかったが、彼はそれを跳ね除けるようなものを持っている。


途中から、どこか安心するかのような気持ちが湧き上がるようになった。


自分の目の前のタスクを真剣に取り組めるようになった。

しかし、人生はそう上手くいくものではなかった。


とある日、塾へ向かうと、塾内がいつもと違い、騒がしかった。

いつもなら、少しの友人との会話程度の声だったが、今回は違う。


何か、肌で嫌な予感を感じた。


塾に入った瞬間、周りの視線から全てが読み取れた。


「あの先生、今週で移動なんだって」


「え〜好きだったのに〜」


ーーーえ。


「一人の子に執着し過ぎたらしいよ」


「え?本当?」


ーーーあぁ、、、。


涙が溢れそうになった。

また、私のせいでこうなるんだ。


木葉の失敗体験の多さ故、マイナス思考が多かった人生。

今回も、また、、、。


ーーーあぁ、、、私のせいだ。


心を閉ざした。

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