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第六十話 人の為に尽くせ。目の前の大切な人ぐらい、守ってやれよ。

心のどこかで『このままでいいのか』という、感情が溢れていた。

どうしようもない、この感情をどこか、心の隅に押し寄せている自分がいる。

それが気に食わない。


だけど、自分に逆らえない。


「やめて!!」


『守りたい笑顔がそこにある』なんて、アニメやドラマみたいなことは言わない。

自分がただ、平和に暮らしたいだけ。

誰かに感情移入できる、いや、してもいい身でないことぐらい承知している。


「やめろぉぉ!!!!!」


俺の足が、夏美の顎に直撃。一瞬にして、倒れ込んだ。

そんな、夏美には見向きもせずに、俺は机に括られているロープを噛みちぎろうとした。


「私の物になりなさい!!!!」


起き上がり、俺のことを全力で蹴ってくる。

全身に激痛が走る。


「子供作ってやる!子供作ってやる!」


泣きながらに、そんなことを言って俺の服を脱がそうとする。

そして、俺は下着姿にさせられ、ギリギリのところで耐えている。


どうしようも出来ない美鶴は、呆然と涙を流しているだけだった。


ーーー泣かないで。


俺がそう、人に言える立場ではない。


昔してきたこと、人への言動、そして性格。

全てに難がある俺が、そんなことを言える権利はない。

だけど、、、。


『感謝を求めるな、感謝を求める奴こそ、人間の弱みが顕著に出ているやつだ』


父の言葉だ。

交通事故にあった、最後の瞬間まで、意識が朦朧としながらいっていた。


『俺はもう逝くだろう。だからせめて、お前は人に尽くせ。大切な人だけでもいいから、人に尽くせ。過去の行動は、今の行動でなんとかなるものはなる。気にするな、負け腐るな」


絶対に負けない。


俺の心に火がついた。

全力で抵抗し、その隙にロープを噛みちぎる。

それの繰り返しを続けた。


相手の体力は底なしだ、俺よりも体力を温存できる立場にある。


俺の顔面は傷だらけだった。

鼻血は大量に出ている、体の至る所が傷付いている。


夏美もそうだった。


「ねぇ、、、もうやめようよ、、、幼馴染で、支え合ってきたんでしょ、、、!」


突然、美鶴が叫び出す。


「もう、争ってるところなんて、見たくない、、、!楽しく、明るく生きたいの!」


夏美が何かを感じ取ったかのような、顔をする。

そして、俺も走馬灯のように過去の記憶がフラッシュバックした。



★☆★☆★☆★



俺と夏美の付き合いは長く、3歳の頃からの知り合いだった。

近所の公園で知り合い、そこから仲良くなった。

小学校も同じで、よく中学年までは遊んでいた。


【思春期】と呼ばれる期間に入ってから、関わりが薄くなりはじめ俺たちの関係に亀裂が入った。


その頃から、夏美の行動は怪しくなり始め、学校ではよからぬ噂が後を絶たなかった。

同時期、俺は当時、学校の人たちからも信頼が厚く、学校生活になんら支障をきたすことはなかったのだが、周りからの過度な期待が強まり、だんだんと学校を避け始めた。


『あいつなら、やってくれる』


雑用などを、俺に頼むようになってから、俺は『都合のいいやつ』となり、高校は中高一貫だったが、受験をして、今の篠原に入った。


その時に隣にいて、ついてきてくれたのが、夏美だった。


本当に、なぜ噂が回っているのかもわからないぐらい、普通の女の子って感じだった。


今のようになるなんて、検討すらつかなかった。


「あ、ごめん。今日、用事あるから」


度々断る、友人からの遊びの誘い。

そして、いつしか、学校を遅刻してくる日も多くなった。


彼女の人生は、高校から激変した。

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[一言] 乞割恋娘はどうなりましたのかと。(• ▽ •;)(いや、ヤバい悶、放ったらかしたら亜奸でしょと)
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