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第五十七話 ライブ本番

誰もがはっと息を呑んだ瞬間。

俺はステージに立ち、エンターテイナーとしての立ち振る舞い、そして、完璧と言わざるを得ないほどのパフォーマンスを披露した。

カバー曲やオリジナル曲を交互に披露し、合間合間にちょっとしたトーク的なものを挟む。


「あ、みなさん楽しんでますか?」


俺が一言呟くと、会場は歓喜の声に満ちた。

ドームに響く声、漏れそうなほど大きい音楽。

そして、心に響く、素晴らしい歌詞。


どれも、俺がただ歌っているだけの、言わば俺のものではないものだ。

しかし、誰もが、俺が歌うと俺の歌だと勘違いをする。


伸びのある高音、低く音程を捉えている低音。

俺の音域は昔から広く、カラオケなどに言っても「高くて出ない」や「低くてでない」などはなかった。

どのキーでも完璧に歌えた。


そんな、俺のパフォーマンスを支えているのは、音響のスタッフさんや照明のスタッフさんと言った、裏方のスタッフの皆さん。

俺がアドリブで何かしても、それに合わせてくれる。


ーーーあっ、楽しい。


心の奥にあった何かが、少し変わった気がした。


「健斗様ァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!」


熱狂的ファンである、木葉。

20列目ぐらいの席で発狂。


周りもオタク達が揃っていることもあり、木葉の存在感はそこまでなかった。

そして、2階席に座る勝。


「やっぱり、歌声だよな、、、!」


しんみりとした気持ちで、歌声に感動する。


最後に夏美。

三階席の一番手前の席。


「そんなわけ、、、ないよね、、、?」


昔から、よく遊んでいたこともあり、もちろんカラオケなども一緒に言ったことがある。

よく聞いてみると、その声はカラオケで聞いた時の声と似ていて、どこか心の奥底のざわめきが消えない感じがした。


ーーーありえない、、、。


信じられない気持ちが、彼女の中ではあった。

でも、目の前で光り輝くのは紛れもない、自分の幼馴染であること。


自分の推しを、自分の手で傷つけてしまったこと。

オタ活を続ければ続けるほど、自分をどんどん追い込んでいっている。


そして、彼女は美しい歌声に飲み込まれるように、現実を見た。



★☆★☆★☆★



ライブ1日目も順調に終盤までやってきた。

最後はトークをして、終わるのだが、スタッフから言い渡される、お題の紙が届かない。

全ての曲が終わり、舞台袖にはけた後、アンコールが始まり、それに応えて、トークと。


「すいません!遅れました!」


「どうしたんですか?」


「ちょっと渋滞で、、、」


大きな色紙が届き、そこに書いてあるお題は、俺もステージに立つまで見てはいけないルールとなっている。

そして、裏には特別ゲストの登場と書いてあり、これには俺もびっくり。


「こんにちは〜。皆さん、今日は楽しんでいただけましたか?」


歓喜の声に満ちる会場。


「それでは、えーっと。特別ゲストが来ているみたいなので、そちらをお呼びいたしましょう。どうぞ」


「こんにちは〜!」


え?

混乱状態に陥る。


「現在フリーで活動している、紐苗美鶴です!今日は、よろしくお願いします!」


ん、、、???

微笑ましい表情を浮かべる俺。


「で、では。お題の方見ていきましょう。こちら」


「恋愛トーク!!!」


そして、俺は窮地へ追い込まれる。

やばいやばいやばい!!!!!!


これ考えたの、有闇さんでしょ!!!!!


もちろん、有闇である。

そう、彼女は何か大きいことしてやろう。と考えた末、一番話題として困る、恋愛トークを選んだ。


「八剣さん、こんにちは〜」


「紐苗さんも初めまして〜」


「あ、そういえば初対面ですもんね!初めまして〜」


完璧な嘘で固めるこのトーク。


「八剣さんの、恋愛トーク聞きたいな〜」


「恋愛なんて、してきてませんよ?」


「(は?)」


「(すいません、、、)」


鬼の形相になる、美鶴。

こ、怖すぎる、、、!


最後はマイクで拾わないほどの声での会話だった。


「まぁ、高校生になってからはドキッとする瞬間は多かったですね〜」


「どういう時ですか?」


「ま、まぁ。色々と、、、」


「ん〜〜〜〜!!!!」


満面の笑みを浮かべる美鶴。

クソッ!!あっち側の人間だったのか!


そんなこんなで、無事、ライブ1日目は幕を閉じた。



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