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第五十六話 さぁ、今の世界をぶっ壊せ。

あれから時が流れ、ついにライブ当日へやってきた。

これまでの一ヶ月と言う期間に、どれだけの人達が関わってきたか、、、。

警察なども総出で行う、このイベント、失敗は許されないものとなっていた。


現場はピリついた空気感になる。

証明、音響、全ての人が手に汗をかく時を過ごした。


リハーサルは計12回。

一部分のみのリハでは100回を超えている。


何度も何度も、立ち位置の確認や、音響の確認など。

ドームを借りているので、プロ野球の試合も別の球場ですることになっている。


これだけの関係者さんにお手伝いをしてもらっていて、俺のパフォーマンスが悪ければ、水の泡となってしまう。


そう考えるだけで、鳥肌と寒気がしてきた。


家を出る前の話。


「頑張ってね!」


「お兄様ならいける!」


「落ち着いたら、いける」


「まぁ、今日くらいは、、、。頑張ってね、、、」


緊張は解けないが、謎の自信が湧き出た気がした。

家族にこうやって、応援されるなんて、いつぶりだろうか。

母親は今も会社で必死に働いてくれている。


「じゃ、頑張ってくる」


朝の5時、そう言って、会場へ向かった。



★☆★☆★☆★



電車には始発に乗り、俺が一番初めに会場に着くことになっている。

俺のファンである、勝が会場にいち早く来て、ラジオ体操をしているはずだ。


親友として、勝のルーティーンを完全に把握している俺には、GPSがなくても、勝がどこにいるのかぐらいわかる。

そう、今日だけは会ってはいけないのだ。


こっそりと、関係者用通路から、舞台袖に入る。

俺が現場に着く頃には、朝日が昇っていて、雲一つない空に茜色の光がさした。

幻想的な空を眺めたいところだが、今から衣装に着替えたり、30分後のメイクなどの準備を進めなくてはならない。


本番まで、やることは山積みだった。

鏡を見ると、自分の目の下にあったクマはすっかりなくなっていた。


有闇化現象から、この日だけ抜け出したようだった。


繰り返すこ・の・日・だ・け、だ。


ジーンズとパーカーの服から、ライブ衣装へ着替えると、少し体が楽になったが、それ以上に緊張感が増した。

そして、朝の7時をすぎると、続々と関係者の人が入ってくる。


そして、現場は着々と準備が進められていく。

メイクの人も到着したみたいなので、それに合わせてメイク室とやらで待機することにした。

睡眠薬などは飲んでいないが、昨日は快眠できた。


夜の8時は、自分には早すぎて、寝れないと思っていたが、有闇化現象が深刻化している俺には簡単に眠に着くことができた。

エナドリを飲んでいないと、ここまで違うのか、、、。


何故か、少し感動を覚えた。


「メイクの力って凄いんですね、、、」


俺の顔を完全なる上方修正した顔(当たり前)。

わかりにくいだろうが、印象が少し柔らかくなった気がする。


「ライブ中は優しく微笑む感じでいくと、いいと思いますよ!ライブ頑張ってください!応援してます!」


メイクの人がそう言って、部屋を出て行った。


「よし、じゃあ頑張りますか」


「和也くん頑張ってね!」


「あ、有闇さん。頑張りますよ!」


俺はいつもより、少し大きめの声を出した。

多分、人生でこれ以上大きい声を出すことないだろう。


そして、舞台袖に移動した。


「健斗さん、準備はいいですか?」


「衣装大丈夫ですか?」


「大丈夫です」


そう言うと、俺は正面を向く。


「最後に円陣組んでおきませんか?」


「あぁ、いいですね」


その場にいる、20人の人が円状になる。

そして、肩を組んだ。


「みなさん、今日は絶対にライブを成功させましょう。そして、八剣健斗のライブはこれほどまでに、完成度が高いのか。と言わせるほどのものにしましょう。さぁ、今の世界をぶっ壊せ。新常識を作りましょう!」


「「「「「「「「「おう!!!!!!!!」」」」」」」」」」」


さぁ、行こう。

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