第五十一話 この状況、死にたすぎる。
体育祭イベントは事務所から脱退したことによって、話は無くなった。
それと同時に、俺が考えていたサプライズもなくなり、俺たちにはインベントも何もない、平穏な生活に戻った。
有闇も先日、引っ越しを済ませ、今は元美鶴の部屋を使っているそう。
仕事は予算整理や、近況報告、公式サイト運営などの業務が一般。
それ以外にすることはほとんどない。
そして、ついに4月に入った。
桜の開花が近づいてきた。
「今年はエルニーニョ現象がやばくなるって、予想されてるね〜」
「だね〜」
愛実と美鶴は2人だけのリビングで、ソファに座り、目を瞑りながら、会話をしていた。
暖かい太陽の光が窓から差し込んでくる。
時刻は13時。
昼を食べ終わった、一番眠たい時間帯に、二人はお昼寝タイムへと移行を初めていた。
初めの頃は会話が続いていたが、時が経つにつれ、会話の頻度が次第に落ちていった。
30分後には声が聞こえなくなった。
静寂に包まれる、リビングには若干の「空気を読めよ」感が溢れていた。
今、ここに誰かが入ってきたら、確実に睡眠の邪魔をされてしまう。
そして、その頃俺は。
「なに?」
「いや、、、なにも、、、」
生徒会室で一人だった俺の元へ来たのは、夏美だった。
行動の意図が読めない。
突然、部屋をノックして入ってきた後、無言でドアの前に立ち続けている。
なにこれ、気まずすぎる。
夏美は必死に俺のことを見つめる。
その目線を打ち返す様に、俺は業務に取り掛かった。
現在、ボランティア活動に行っている俺以外のメンバーは、今から2時間後まで帰ってこない。
二時間このままで過ごすの?
一瞬【絶望】の文字が頭によぎったが、これを考え始めると、長くなりそうなのでやめておいた。
「、、、」
「、、、」
沈黙が続く。
部屋にはキーボードのスコスコという、音しか聞こえない。
誰か助けてくれ、、、!
心の中で叫ぶ俺だった。
「ん?何か呼ばれた気が、、、」
「先輩、突然なに言ってるんですか?早くゴミ拾いましょ」
「そ、そうだな」
和也の心の叫びは、親友に若干届いたのであった。
和也は、今年で一番死にたいと思った。
【評価ポイント】【ブックマーク】よろしくお願いします!
感想なども書いていただけると嬉しいです!