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第四十八話 もう、大丈夫だよ。

『美鶴さん、私、今日限りでマネージャーを辞めようと考えています』


深刻で重いトーンでそういった有闇。

美鶴はもちろん、動揺する。

20時頃、和也が華果を駅まで送っている時、有闇からそんな電話がかかってきた。


『どう言うこと?意味がわからないんだけど』


美鶴の声は掠れ、震えていた。


『激務に耐えられなくて、、、もう、仕事を辞めないと、どうにもならないって、、、。あと、責任が重い故、ストレスが溜まって、自律神経に支障が出て、現在治療中なんですよ。お医者様からも、仕事を辞めた方がいいって言われまして、、、』


有闇の気持ちを考えれば考えるほど、ここは『辞めないで』とは言えない。

そして、これ以上激務に困らさせれいる有闇を見ると、美鶴も胸が痛い。


『なので、ただ友達って関係になりませんか、、、?』


『、、、』


言葉が詰まった。

何も出てこない。


『明日、いつものカフェで待ってます。そこで詳しく話しましょう』


『うん、わかった。待ってるね』


『では、、、』


そして、罪悪感に押しつぶされそうになりながら、美鶴はパソコンを起動した。




★☆★☆★☆★




「有闇さんが!?」


「そうなんだよね、、、」


次の日の午前7時。

美鶴は和也に昨日の話をした。


「じゃあ、9時にカフェに俺も行くよ」


「うん、、、よろしく、、、」


「とりあえず、生徒会の仕事もあるから」


「うん、、、じゃあ、またね」


俺は家を出て、学校へ向かった。

今日の業務は比較的少ない方だった為、すぐに終わりそう。

資料をまとめたりなどは、ノートパソコンで出来る。

移動中の電車で、作業を進めた。


家を出る前に見た、美鶴の表情が頭に浮かんだ。

なんとも言えない、表情をしており、泣くのを必死に我慢しているようにも見えた。


作業中もずっと、心の中のモヤモヤは無くならない。

『集中したいのに、できない。早く終わらしたいのに、このモヤモヤでなかなか進まない』と言う、なんとももどかしい気持ちになりながら、必死に作業を進める。


生徒会室についても、この気持ちはずっと続いた。


「会長、おはようございます」


「おはよう」


優斗が先に、作業をしていた。

俺がまとめた、校長の特徴資料の見直しをしていた。


誤字脱字が多い俺からすると、とてもありがたい。


「会長、顔色悪いですよ」


「ちょっと、トラブルがあって、それで悩んでるんだよ」


「それは大変ですね」


「今日の9時に近くのカフェに行かないといけないから、ちょっと早めに帰るから」


「承知しました。頑張ってくださいね」


「あぁ」


ノートパソコンをモニターに接続して、キーボードに手を添える。

4月に更新される、学校ブログの生徒会長からのメッセージみたいなやつを、2000字以上3000字以内でまとめてこないといけないらしく、現在はそれを進めている。


「はぁ、、、」


ふと、ため息を漏らした。





★☆★☆★☆★





「有闇さん、、、」


指定のテーブルに足を運ぶと、そこには美鶴と有闇がいた。

有闇の目からはハイライトが消え、体も言うことが聞かなさそうだった。


「和也くん、、、久しぶり、、、ごめんね」


「俺は大丈夫ですよ、今は有闇さんの件について話しましょう」


「そうだね、、、」


目の下のクマはこの前以上に悪化しており、手は真っ白。

顔も真っ白で、腕が栄養失調なのか、腕が細くなっていた。


「ごめんなさい、、、私、もう無理かもしれない、、、」


「うん、七香ちゃん、無理しなくていいから。辞めていいよ」


「、、、」


そして、沈黙が続いた。

俺が俯き、前を向くと、目の前にいた有闇が消えていた。


そして、その後に大きな音がカフェ中に響いた。


「有闇さん!大丈夫ですか!大丈夫ですか!誰か救急車!」


このことは、世間に広まり、事務所が世間から叩かれた。

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