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第三十八話 配信する気ないの?

桜が満開に咲き、最高学年である三年は卒業を迎えた。

大学へ向けての準備などで、予定が詰まっている春休み。


「俺、11月まではこんな、先輩に出会えると思っていませんでしたよ」


「だって、陰キャだったもんな。有名だったぞ」


「あはは。冗談はやめてくださいよ」


「あはは。それが冗談じゃないんだな。生徒会でも問題児扱いされていたとかいなかったとか」


「え?」


「え?」


体育館の入り口で立ち話をする二人。

副会長の手には、卒業証書があった。


ーーー3ヶ月、色々なことがあったな。


振り返ってみれば、早かったような、遅かったような、大切な時間を過ごしていたと感じる。

副会長の勧めがなかったら、生徒会長にもなろうとは思わなかったし、ここまま青春しないまま、高校生を終えるんだな、と思っていた。


「俺、今日から大阪の大学に行くことになるから、当分は会えなくなるけど、会える時にはまた会おうな」


「はい、いつでも!」


「今日は元気がいいな。エナドリでも飲んだのか?」


「その逆です!飲んでないので、深夜テンションで頑張ってます!」


「そ、そうか。寝ろよ?睡眠大事だからな」


「多分寝ます。多分」


「多分!?」


そんな、冗談半分の会話をしている時。


「おぉ、時期生徒会副会長の大友くんじゃないか」


「ちわっす、先輩。まずは、卒業おめでとうございます」


「初めて『おめでとう』って言われて、少し感動しそうなのだが」


「先輩、別に泣いてもいいんですよ?卒業式ですから」


「涙は最後まで、取っておくよ」


「先輩らしいですね」


「あははっ」と軽く笑い、笑みを浮かべた。

昔から、涙腺が80代ばりに脆い俺も、正直なところ泣きそうだった。

人を大切にするってこういうことなんだな。


今なら、わかる気がした。


「二年生はこの後下校?」


「はい、部活もないんで」


「もちろんです、俺部活入ってないんで」


高校生活最後の、先輩との会話だった。



★☆★☆★☆★



放課後、俺は生徒会室に優斗と一緒に来た。

新学期が始まる前に、生徒会室を一度清掃しておこうという話になった。


春休みは、生徒会全員で新学期準備を進めなければいけないため、春休み中は時間がない。

勝にも、声をかけたが「予定がある」と言い、そそくさと帰って行ってしまった。


どうせ、ゲームだろう。だって今日イベント初日だし。


ーーーあ、バレている気がする。


電車の中で冷や汗をかく勝であった。


「よし、頑張って掃除するか」


「だね」


まずは、去年そこまで使っていなかった棚を雑巾で拭く。

中の隅までしっかりと、拭いた。


次は椅子の清掃。

解体して、つけおき洗いをする。

ギリギリ生徒会室にあった洗剤を使った。


「買ってこないと、覚えてたら買お。覚えていたら」


「スマホのメモアプリ使おうよ!」


「めんどくさい」


「現代人だね〜」


次はキーボードの清掃。

キーキャップを取り外し、キーキャップはつけ置き洗い。

そして本体は、スライムのようなキーボードクリーナーで隙間のゴミを取り除く。


噂ではキーボードはトイレよりも汚いとか、、、。


「和也、手慣れてる〜」


「まぁ、月一で自分の洗ってるし」


「そんな頻度多いの?」


「まぁ、綺麗好きなんで」


「意外」


後は部屋の床の清掃をして、終了。

この時ばかりは、お掃除ロボット的なものを買ってしまおうかなと思った。



★☆★☆★☆★



「正直、配信する気あるでしょ?」


「ないよ」


家に帰って一発目に美鶴にそのようなことを言われた。


「みんな、帰ってきて欲しいって言ってるよ!」


「俺には向いていない、配信者なんて」


「そんなことないよ!天才配信者って呼ばれたぐらいなんだから!」


「天才なんかじゃないよ、本当に」


自室で着替え、そのまま風呂に入った。

忙しすぎて、最近はまともに風呂にすら入っていない。

俺が忙しい時には、春人に配信の裏方をやってもらっている。


そのせいか、最近二人の仲が急激に良くなった気がする。


「付き合って間もない彼氏がこんなんって、普通に考えて酷いよな、、、」


湯船に浸かりながら、一人反省会をする俺であった。

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