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第三十四話 天才配信者、自覚なし。

自分が天才と言われ始めたのは、アカウントを作ってから。

【歌ってみた】系列の動画に興味があり、必要最低限の機材を購入し、配信サイトに投稿すると、大反響を得た。


正直、ただ歌って動画を上げただけ。

自分の歌を聴いても、何が心に刺さる声なのかはわからない。

というか、自分の声を聞くことに不快感を覚えてしまうほど、自分の声は嫌いだ。


現在のフォロワー40万人のメインアカウントを作ったのが、今から1年前。

【八剣 健斗】として、活動を休止した一週間後だった。


《自分の在り方》に不安を感じ、休憩期間としてとった、活動休止期間。

しかし、それでもインターネットという娯楽だけは手放せず、結局アカウントを作ってしまった。


作った当初から、フォロワーは1万人ほどいて、一部層では人気を集めていた。


しかし、人気になればなるほど、活動に気に食わない人も出てくるのが事実。

一時期は【アンチコメント】に悩まされ、本気で精神的に病んだことがある。


そんな時、俺は夏美と付き合うことになった。

楽しい毎日を送り、なんとなくだった高校生活、青春を謳歌しているようだった。


『オタク無理!』


脳にはあの時の記憶が蘇る。

頭が痛い、思い出したくない。

脳がそう、直接訴えかけているかのように、頭痛が生じた。


もう、考えたくない。


そして、俺は現実逃避した。




★☆★☆★☆★




「あ!そのキーホルダーって健斗くんのじゃん!限定品で昔持ってたんだ〜」


「あ、そうなの?これ、交差点でぶつかった人が持ってて、鞄から落ちたから、拾って届けようとした時にはもういなくてさ。ずっと、持ってるんだよ」


「へぇ〜」


「そういえば、愛実も持ってたよね?」


「もちろん!5個ぐらい持ってる!」


「なぜそんなに、、、」


「その時あるお小遣いを全部使って、買ったから!健斗くん大好きだし(ニヤニヤ)」


「そのニヤニヤやめい」


1年前、天才と呼ばれた彼の現在を知っているのは、母と妹、従兄弟。

つまり、身内だけということだ。


他の誰にも話さない、絶対的な秘密。

そんな秘密を告白してしまったのは、俺もちょっとやりすぎた感があった。


しかし、あの時の顔を見ると、もう一回やってしまうかもしれない。

何もかもが信じられなくなった瞬間の顔。


浮気した罰とでも言っておいた方がいいのか。


「まぁ、今は健斗じゃないんだけどね、、、」


「あ、ごめん」


「ごめんね〜」


俺は別に天才ではない。

俺には才能なんて何もない。

しかし、周りは俺のことを評価し、天才と称賛する。


あのアカウントでは、人と普通に接せない。

【天才】と周りから、崇められてしまう。


「もう、インターネットに居場所ないてないんだよ」


「、、、」


俺は普通に色々な人と仲良くなりたいだけなのに。

贅沢な悩みだということは理解している。

理解しているからこその悩みからかもしれないけど。

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