第三十三話 大切な人
ピーンポーン。
「は〜い」
日曜日の昼ごろ。
突然、家のインターホンが鳴った。
現在、家にいるのは俺だけ。
他は外に遊びに行った。
そっとドアをあげると、そこには一人の女性が。
黒髪ロング、容姿は整っており、胸はそこそこ。
青く輝く虹彩をしており、その輝きには、思わず目を奪われるほど。
「かずくん。遊びに来たよっ!」
「ゆなちゃん!」
【伊藤 由奈】。
幼少期の時に、親の都合で海外へ。
最後に「また会おうね」といった、俺の大切な人であり、俺の人生を変えてくれた人でもある。
海外に移住したはずの、彼女がなぜここに、、、?
喜びと疑問が入り混じった。
そして、由奈を家に入れた。
「久しぶりだな〜」
「十数年ぶりでしょ」
「そのぐらいになるね」
ゆっくりと、部屋を見渡す由奈。
ダイニングテーブルに誘導し、俺は由奈の反対側の席に座った。
「コーヒー飲める?」
「ブレンドがいいかな」
「了解」
手抜きコーヒーこと、コーヒーメーカーで手抜きの割にはめちゃくちゃ美味しいコーヒーをいれ、出した。
俺はもちろん、ブラックコーヒー。
つい最近、飲めるようになった。
「かずくん、成長したね〜。昔と比べると、全然違うよ〜」
「そうかな、そういえば、今何歳?」
「20かな」
「わお、大学生じゃん」
「大学は向こうで行ってて、中退してきた」
「そうなんだ」
たわいもない話をしながら、コーヒーを飲んでいた。
久しぶりに会う、友人との話に花を咲かせている時。
ある事件が起きた。
「ただいま〜!」
「おかえり〜」
「おかえりなさいませ〜」
「え!?お兄様が浮気、、、!?け、警察呼ばないと、、、!」
「違うから!」
「かずくんは、付き合ってるの?」
「まぁ、一応」
「え〜うそ〜」
「本当だから(笑)」
そして、奥から続々とリビングに入ってくる。
1番後ろにいた、美鶴が入り終わったあと。
「ねぇ、和也くん。浮気?」
「だから、違うって!」
「幼馴染です〜」
「あぁ、由奈ちゃん来てたんだ。いらっしゃい」
「え?木葉さん、知ってたの?」
「もちろん、兄ちゃんの幼馴染だし」
「なるほど」と言わんばかりの表情を浮かべる皆。
とりあえず、全員、後片付けを済ませたあと、席に着いた。
「じゃあ、これからどうするの?」
「私は、、、」
★☆★☆★☆★
赤く染まる街。
あの、握手会の差し入れあと、美鶴といった場所。
あの日の10年前、俺は同じところにいた。
どうしても、叶えたい夢があって、倉見神社に来たのを今でも覚えている。
「「あのね、私、どうしても叶えたい夢があるんだ」」
今年の記憶と10年前の記憶がリンクする。
ゆっくりと流れる時間の緊迫感があいまって、俺は10年前と同じ行動をとった。
謎の自信があったのかもしれない。
しかし、成功体験ゆえの行動だったということはわかる。
人は違えど、人間は人間。
この言葉に救われる人は何人もいる。
そう思い、発した言葉。
「「みんなが笑顔溢れるような、仕事につきたい」」
「その夢、俺は陰ながら応援するね」
「「ありがと」」
じんわりと人がっていく笑み。
俺も微笑み返した。
いつまでも、大切な人に、笑っていてほしいから。
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