第三十二話 童貞?→もちろん
「どしたの?」
「引っ叩かれた、、、」
「なぜ?」
「裸見ちゃったから、、、」
「え!?」
とある休日の昼下がりだった。
落ち込んでいる、春人に話しかけると、意外なコメントが返ってきて、俺までも状況が整理できなくなった。
「誰の?」
「み、美鶴さんの、、、」
「俺だって見てないのに、、、」
「ご、ごめん、、、」
突然、気まずい空気に包まれる二人。
普通、誰かの彼女の裸見ちゃったら凹む。というか、普通見たらちょっと凹む。
罪悪感のせいか、春人の頭がどんどん下に下がっていってきる気がした。
「まぁ、見ちゃったんならしょうがないよ。事故でしょ?」
「もちろん、事故に決まってる」
「そうなった経緯を教えて」
大きなため息をつき、話し始める春人。
「まぁ、帰ってきた時、リビングに入ったら、裸の美鶴さんがいて、危険察知機能が働いたのか、すぐにドアを閉めたけど、時すでにお寿司」
「ドンマイ」
叩かれたであろう、赤くなっている右頬を押さえていた。
うわぁ、、、痛そ、、、。
かなりしっかりついている手の跡が、その衝撃を物語っていた。
「美鶴ちゃんは?」
「今はお風呂にいる」
「彼氏だから、行ってきていい?」
「ダメでしょ。まぁ、現行犯逮捕の覚悟があるなら行ってみてもいいと思うけど」
「あははっ。そんなことしたら、俺の臓器全てが微塵切りにされちまう」
「確かに」
苦笑いを浮かべる二人。
本当にそうなると、予想がつくからこそ、笑えない。
「でも、高校生だったら、やるでしょ」
「何を?」
「アレ」
「あぁ、アレね」
春人の口元のニヤけで察し、それ以上は何も言わなかった。
「シたの?」
「してない」
「童貞?」
「もちろん、春人は童貞?」
「さぁ」
「その濁し方ずるい!あと、この話の流れだったら、もうアレじゃん!」
謎に包まれる、春人童貞問題なのであった。
★☆★☆★☆★
「春人は童貞。春人は童貞。春人は童貞、、、」
「お、お兄様が劇的に気持ち悪くなってる、、、!」
現在の時刻は夜の7時。
俺は軽く凹んでいた。
なぜか、男として負けているという、劣等感があった。
「そんな、メンタルだったら、選挙なんて勝てないよ!」
「美鶴ちゃん、、、」
「そうだよ、お兄様!」
「でも、この件については相当なことだから」
「私が聞いてあげるから」
「俺が童貞って話」
「え?」
固まる二人。
そして、再び凹む俺。
凹み度が重度だったゆえ、言っていいことと、悪いことの判断がつかなくなっていた。
「じゃあ、私が卒業させてあげようか、、、?」
ゆっくりと、Tシャツを捲りだす美鶴。
「ストーップ!高校生はそんなことしたらダメです!」
「でも、和也くんが」
「ダメです!!!!!!!!!!」
そして、これ以上、この話をすることはなかった。
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