第三十一話 結果発表!
選挙演説の日から、丸一週間が経過した。
特に変わったことのない一週間だったが、裏では壮絶な戦いが繰り広げられていた。
【ビラ配り】【追加演説】などの選挙活動も、盛んに行われてた。
俺たちももちろん、追加演説をしたが、あまり効果は期待できなさそうだ。
重要人物である、美鶴がその日欠席してしまった。
原因は風邪。
38度近くの高熱を出し、ぶっ倒れていた。
「どうだと思う?選挙」
「勝、その話を俺にしたら、心臓が弾け飛んでしまうからやめろと言ったはずだ」
「いやでもさ、本人に聞かないといけないことってあるじゃん?あと、俺新聞部だし。人助けだと思ってさ〜」
「はぁ、、、少しだけだったらいいよ、、、」
「よっしゃー!」
机にうつ伏せになり、寝かかっている俺に対し、いつも通り話しかけてくる勝。
今日も変わらず元気にやっているようだ。
そして【新聞部】とは、活動内容は【号外の作成】【選挙中の中間発表ポスターの作成】【学校ニュース】などの、学校で話題になりそうなものや、なったものを中心に取材し、一週間に一回、ホームルームで配る部活だ。
最近はこんなことがあった、などの自分の周りでは絶対に起きないであろうことなども記事になることが多いので、楽しみに毎週待っている人も多いとか。
今回の新聞の内容はもちろん、選挙活動についてなのだが、なんせ俺以外に取材できるほどの根性の持ち主ではない勝。
とんでもない金持ちに話しかけたら、殺されるとでも思っているのか、と思わせるほどに金持ちに近づかない。
自身でも『生理的に無理』と断言しているほど。
金持ちに近寄りがたいのはわかるが、生理的に無理までは、少し言い過ぎな感じもする。
「結果発表は次の授業の、三時間目四時間目と二時間連続で発表会になりますけど、当選した暁には、皆様の前で言いたいこととは!」
「まぁ、楽しくやろうねって」
「おぉ、和也、俺はお前が生徒会長になることを願うぞ!」
「で、俺を会計として、入れてくれ」
「ただ、生徒会に入って自由にしたいだけだろ!」
「バレた?」
楽しげに笑う勝。
★☆★☆★☆★
「結果発表!!!!!!」
大きな声が響き渡る体育館。
生徒全員がパイプ椅子に座り、司会進行である元会長、副会長の話を聞く。
というか、あの人の声に激似だった。
本人かな?と一瞬疑うほどの声量と、勢いだった。
「というわけで、順をおって順位を発表していきます」
ざわめく体育館、毎年恒例の行事に、ドキドキと期待が抑えられない。
生徒会長は基本、学校行事に親密に関わっていく仕事。
適当な人がやると、体育祭が無駄に長くなったり、短くなったり、競技がオリジナルだったりなどの、意味不明なトラブルが起こる。
校長いわく、過去に適当な人が生徒会長に選ばれて、その一年がとんでもないことになったとか。
「続いては、今年度の経費案です。こちらのグラフ、、、」
そして、会長の完璧と言っていいほどの、司会進行により、お待ちかねの結果発表にどんどん近づいていった。
3、2、1分と迫ってくる時間に、冷や汗をかきながら、プレゼンを聞く。
「では、最後に生徒会選挙の順位発表です」
「きた、、、!」
時の流れが遅く感じた。
ゆっくりと流れていく時を急かすように、俺は祈った。
ーーーいけぇぇぇぇぇ!!!!!
心の中で全力で叫んだ。
「北条と讃良議が同率一位!ということで、再選を行いたいと思います」
「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?!?!?!?!?!?!?!!?」」」」」
前例のない出来事に、これには校長も驚きを隠せず、あたふたしている。
グラフを見ると、しっかりと同率であることを示していた。
なるほど、、、。
選挙はまだまだ続くのであった。
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