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第二十二話 あ、バレた。

「配信スタート!」


小さなマウスのクリック音と同時に開始された。

同接は一気に増え、一気に十万人程度にはなった。


『こんばんは〜』


配信タイトルは【重大発表】。

それだけを書いていると、なんだか釣りにも見えるが、今回に限っては大型企画らしいので、前々からのお知らせが必要らしい。

「正直、私はやりたくない」と強く言っていたが、企画内容を知らない俺にとっては一視聴者として聞くことしか出来ない。


俺の予想通り『どうせ、釣りだろ?』なんてコメントが少しずつ出てきた所で、俺の仕事は開始した。

高速で流れるコメントを一つ一つ対処する。


最近、高速で流れるコメントに翻弄されない能力を身につけた。

あと、普通の配信者さんのコメント欄とかを見ていても、迷惑コメントなどを消したい気持ちが、前よりも強くなった。


これが、職業病というやつなのだろうか。


『今日は重大発表があります!』


そう言葉を放った瞬間、コメント欄は今世紀最大の盛り上がりを見せた。

握手会の発表の時よりもコメントの量が多く、なおかつ高速で流れていった。

投げ銭の量はいつもの5倍以上といったところ。


イベントに参加するために、お金が必要だというのに、ここで上限投げ銭したらダメでしょ、、、。


心の中で、そう呆れる俺に、隣ではその応援コメントに目を輝かせる人がいた。

コメントは一つ一つ丁寧に返してゆき、要望には的確にとらえる。


『まぁ、、、運営がやるって決めて、、、私は本当はやりたくないんだけどね、、、!でも、ファンの方と沢山交流もしたいし!』


『偉い』『偉すぎる』『今日が命日かもしれない』『明日、交通事故で死ぬかも』などの、後になればなるほど、不謹慎な笑えるコメントが寄せられた。


俺も作業をしながら、ドキドキしながら、その時を待っていた。

必死に鼻息をこらえ、なるべくわかりやすく表現したい。


『第一回!体育祭を開催します!』


「え?」


『え?さっきの声誰?』『男?』『彼氏?』


思わず普通の声量で声を出してしまった。

瞬く間にコメント欄は荒れた。

高速で土下座、反省の意を全力で示した。


「(どうするの!?)」


「(ごめん!続けて!)」


『ごめんね〜実家住みだから、弟が入ってきちゃって〜』


完璧な誤魔化しで回避する。


『弟!そこ変われ!』『俺もみっちゃんの弟に生まれたかったぜ、、、』


心臓が止まるところだった。




★☆★☆★☆★




「七香ちゃん!どうするの!?勘がいい人たちは絶対に気づいてるよ!」


「美鶴さん、静かにしてください。あと、私じゃなくて和也くんの方へ」


「サーセン、、、」


配信を終えた、次の日。

俺の反省会とこれからのことについて話し合うらしく、近くの喫茶店に集まった。


和也、美鶴はアメリカン、有闇はブラックを注文。


ブラック飲めるなんて、大人だな〜。なんて、呑気なことを考えていた。


「和也くん、配信者になるっていう手はどうですか?」


「なぜ!?」


「今のTmitterのフォロワーを見ている限り、絶対に有名になりますし、美鶴さんとコラボでもしたら、登録者爆あがり。そして、収入もそこそこもらえる」


「まぁ、ありかもですけど、、、」


「え?なにそれ、和也くんとコラボ配信とか絶対にしたいんだけど」


【コラボ】!

動画配信者などの有名人同士が、各自のチャンネルに出演し、動画を撮ること。

コラボをしたことがなく、目の前の超有名人に、動画内や配信内で変なことをいうと、すぐにネットで『コラボ初心者』扱いを受ける。


「実際そうなんですけどね」と諦める人と「何これ?」と若干裏で切れる人がいると聞いたことがある。


「明日までに考えをまとめておきます」


「じゃあ、よろしくね〜」


「七香ちゃん、ばいば〜い」


今日は眠につけそうになかった。

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