第十六話 未成年飲酒はダメですよ!
「未成年飲酒は絶対にダメですよ!」
「ちょっとだけならいいじゃない〜」
現在の時刻は21時。
親にも連絡をとっている。
つまり、今夜は大人がたくさんいる中の1人ということで、何時までいても補導されない!
ーーー時を遡ること1時間。
「今日は私の奢りです。好きなだけ飲んでください」
社長の一言から始まったこの飲み会。
スタッフの人や、事務所の有名配信者まで来ていた飲み会は、ごく普通の焼肉店で行われた。
数多くの人が声を上げ、注文をし始める。
社長の総資産は兆を超えているとか超えていないとか。
レベルが違う金持ちがいう、金のかかる話は、しっかりと甘えなさいという、親のしつけのもとの行動なのだ(独自ルール)。
やっぱり、ごく普通の焼肉店と言っても、めちゃくちゃ上手い。
正直、食べ盛りの時期に質を求めるのは邪道だと思っている俺は、少しの遠慮を含め、1番安い肉を大量に食べた。
ちなみに俺の右横に座っているのは、母と風格が少し似ている社長だった。
左隣には、美鶴の熱望により、美鶴が座っている。
「美鶴ちゃん、メニューとって〜」
「は〜い」
目の前には、全員フォロワー50万〜300万のとてつもない有名人ばかりだった。
【葉縫 紗理奈】20歳、フォロワー120万人。
天然キャラで有名な配信者、美鶴と同期。
黒髪ロングの艶やかな髪の毛の持ち主。
配信でキャラを作っている訳でもなく、普通に天然キャラだった。
現在、お酒を3回こぼしている。
【中宮 春菜】21歳、フォロワー80万人。
ネタ系を主に担当している配信者。
配信の切り抜きなどが、よく出回っている配信者で、フォロワーは周りと比べると少ないが、それに反比例しているのか、登録者は400万人を超えている超人気配信者。
【瑠璃星 空海】22歳、フォロワー260万人。
声が可愛くて、行動が可愛い。そう、つまり可愛い系キャラなのである。
とにかく可愛い。歌を歌っている時も、配信の時も、動画の時も。
事務所の配信者の可愛い全てを担っている感じもする配信者であり、人気も高く、必然的にフォロワーや登録者も伸びている。
全員【Vtuber】なので、基本的には顔を公開していない。
しかし、イラストに負けず劣らずの顔をしている。
雑誌でよく見るような顔立ちをしており、別の路線でも食っていけそうな感じがした。
「みっちゃんって、なんで好きになったの?」
「初めは、Tmitterで知って、私が炎上してた時に、本当に1人だけ私のことを応援してくれるような呟きをしていたからっていうか、やっぱり人間性だね〜」
「でも、よく顔も知らない人を好きになれるね〜!」
「顔は元か、、、いや、やっぱりなんでもない」
あれ、、、?
今凄く気になることを言っていたような。
トイレから帰ってきた俺は最後の方だけ聞こえた言葉に引っかかる。
過去に何かあったのかな、、、?
心当たりのない疑問に対し、なおも疑問が浮かび上がる。
過去があるとするならば、繋がりがる、つまり、会っている可能性が、、、。
しかし、美鶴が家に入ったことはない。
和也と美鶴が会うことはそうそうないということだ。
「俺たち何かあったっけ?」
「何もないよ」
「隠さないで」
「ないよ」
「だから、隠さないでって」
「ないよ」
猛烈な圧を感じる顔に俺は圧倒されて、それ以上聞くことはなかった。
それは誰かに相談するしかないのかな、、、。
「和也くんは〜みっちゃんのことどう思ってる〜?」
酔った、春菜が和也に疑問を投げかけた。
二人はその質問に、一瞬驚きを見せたが、突然真顔になり、冷静を装った。
「まぁ、そう、ですね、、、。いい人だなぁって、、、」
「ねぇ、君、童貞でしょ」
空海は酒を吐き出し、むせる。
急いでテーブルを拭いた。
「突然、そんなこと言わないで!心の準備ってものがあるでしょ!」
「空海はピュアな女の子だもんね〜」
「「ね〜」」
「あ、はい、、、そうなんっすね〜、、、」
何やっているんだ俺は!?
隠キャ特有の、質問に対して「あ、はい」か「そうっすね〜」でしか返せないやつになってしまっている!
恥ずかしさのあまり、自分の顔を手で覆い隠した。
耳まで赤くなった、顔を隠しききることはできず、そのまま時間が流れていった。
「俺、トイレ行ってきます」
「5分前に行ったよね!?」
「ジュースの飲み過ぎには気を付けてね〜」
「サーセン、、、」
俺はその後、ダッシュでトイレへ。
やばい!恥ずかしすぎて死ぬ!『恥ずか死ぬ!』。
その後、飲み会が終わるまでトイレから出れなかった、和也であった。
ーーー恥ずか死ぬぅ、、、。
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