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第十話 初夢、思い出せない大切な人でした。

夢の話だ。


「君に会える日はいつ来るのかな?」


「え?なんの話?わかんないよ!待って!」


彼女の背中を必死に追いかけたあの少年時代。

当時彼女は11歳だったはず、子役として活動していて、結構売れている方だった。

容姿はしっかり整っており、メディアなどでは《1000年に一度の絶世の美少女!》なんて騒がれていたのを覚えている。


今では彼女が何をしているのかも、名前も忘れてしまった。


うっすらと見える少女をただひたすらに追いかけた。

だが、いつまで経っても追いつかない。


あぁ、こんなのだったな。


そう、これは夢の中だ。あの日を完全に再現した。


夢は神様からのお告げだとどこかで聞いたことがある。

あぁ、それも彼女が教えてくれたことだっけな。


これ以上は、もう何も思い出せなくなってしまった。


「これからも頑張ってね」


そういって、どこかへ行ってしまった彼女は、それ以降目にすることはなかった。


俺の目の前から姿を消して3日が経った頃だろうか。

彼女をメディアで見ることがなくなってしまった。


インターネットで調べても出てこない。

いや、これは夢だ。そう仕込まれているのだ。


そして、夢は朦朧としたまま、何もない世界へと変化していった。






★☆★☆★☆★





ーーー1月1日。

今日は、握手会前日ということで、スタッフの人が新年早々頑張ってくれているみたいなので、そこに差し入れを持って行こうという話だ。

意外と気の利く、人気配信者美鶴と共に、俺は朝から家を出た。


俺と美鶴が付き合っていることは、スタッフや事務所には言っていないらしく、俺は従兄弟というていでついて行くということになっている。


「くれぐれも、厄介なことにならないように!」と出る前に注意されたが、俺以上に問題ばかり起こしている美鶴の口から言えたものじゃなかった。


「ここから30分ぐらいの場所にお店があって、そこからドームまでが1時間だから、、、帰ってくるのは15時ぐらいになるかな。あぁ、あと帰りに行きたい場所あるから付き合ってね〜」


「あ〜い」


なんとなく言った返事は後々己に跳ね返ってくることも知らず、俺はなんとなく美鶴についていった。

電車に乗り、二人で並んで座る。

反対側の席に座るおばあちゃんが、こっちを見てニコニコしている。


いや、そうなんですけど、違うんです(?)


全くそういう関係になっていないというか、もはや最近裏方作業しかやっていない、ビジネスパートナー的な存在になりかけてる俺に、そんな目線を向けないでくれと心の底から思ってしまう自分がいた。


腕が少しあたり、俺は少し右にずれた。

すると、美鶴も右にずれた。


こっちを見て、ニコーっとした表情を見せる。


今は公衆の面前だからそういうのは、、、ダメだから、、、!


もちろん心の声が届くわけもなく、30分間、美鶴に遊ばれるだけの時間だった。


※顔が赤くなりすぎて心配された。






★☆★☆★☆★






電車を降りた俺たちは、駅から徒歩10分の高級和菓子店に入った。

厨房で一つづつ手作業で作るらしい。


もなか10個入りで2000円を10個。

2万円のお支払いだ。


「学生にとって2万円は、超高額、、、!それを最も簡単に、、、!」


「配信者となったら別ってやつ!有名人はそうでもしないとやっていけないからね〜」


「そうなんだ、、、」


住んでいる世界が違うとはまさにこのこと。

少し俺は尊敬の眼差しをこっそりと送った。

まさに、こういう時こそ思いは届く。


何かを感じ取った美鶴は、後ろを振り向いて、キラキラした目でこちらを見てくる。


え、、、?なに、、、?


すると突然、俺の手を握った。


「なんだか、知らないけど今すごく感動した、、、!ありがと、、、!!!」


「あ、、、うん、、、美鶴ちゃん、、、?早く行かなきゃなんでしょ、、、?」


「そだね!早く行かないと間に合わなくなっちゃう!」


そこから、近くの直通のバスに乗って、1時間。

バスの中では、ずっとスマホをいじっていた。


ドームが見えた頃、俺はスマホを閉じて、降りる準備をしていると、青いスタジャンを着た男性が忙しそうに、荷物を運んでいた。


「着いたから降りるよ」


「あ〜い」


「公共の場でそういうのはやめといた方がいいと思う、、、!」


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