色に溢れた鮮やかな世界に
色で溢れかえった世界だ
十人十色で収まらないほどに
一人がいくつもの色を持っていて
世界には無限大の色が跳ね回る時代で
人の瞳はその色を識別できる
他の人の色を目敏く見抜いて
全てを受容しようとする良い時代だった
善意や理解を裏切る人が来て
気付けば自分の色をぶつけ合って
他人に押し付けて潰し合うような
愚かで醜い時代になっていた
色で溢れかえった世界から
抜け出そうと溺れる人もいて
色に狂わされた人の残骸で
無かったはずの汚い色ができていた