第8話 護衛は彼女にするよ
瞬間。僕の中に電撃が走ったかのような衝撃を受けました。なぜなら…
その姿があまりにも異様な姿をしていたのです。
頭には謎の枷?のような物をつけていて、腕は金属製の物で覆われていながら鎖で繋がれており、足も同様に覆われていて、その胴体の部分は赤い………コア?のような物が付いていて、やはり何か禍々しい金属で覆われていました。。どう見ても人間の姿ではないけれど…長く黒い髪がはみ出ているので恐らく女性…なのだと思いました。
「あの……すみません!」
兄達は驚いてるようでした。人見知りの僕が自ら声をかけるなんて事今までに何回あったでしょうか。
「はい、何か問題でもありましたかね?坊ちゃん。」
「この人は……?」
「あぁ、なんでか同業者に押し付けられまして。けれど飯は食わず…というより食えず、人間かもわからず、何せこんな不気味な姿をしているものですから中々売れないんですよ。」
「………これにしてもいいですか?兄さん。」
「え、いや…でもなぁ…この奴隷が強いかもわかってないのに。」
「いえ、僕はこの人がいいです。お願いします。」
ペコリ、と頭を下げた。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜‼︎‼︎‼︎」
姉様が悶えている。……何かもうなれてしまった。
「そこまでして意見をだしたのは珍しいな……。そっか。そんなにこいつが良いのか。良いよ。買おうか。店主。お代は?」
「ああ、譲り受けたものですし…ここは二百ギャリーにしておきましょう。」
「幾ら何でも安すぎないか⁉︎」
「いえ、こちらの厄介物になっていた物です。これくらいは当然でしょう。」
「あぁ、これからも贔屓にさせてもらうよ。」
「ありがとうございました。」
__________帰宅中_________________________
「で、何を企んでる?デコル。」
「僕が彼女を『分解』します。」
「………やっぱりか…。」
「ではもうやっていきますよ…。分解!」
僕が分解すると鎧がどんどん剥がれて分解されていくとそこには……。
「肌しっろほっそか弱そいや魔力高ぁ⁉︎」
綺麗な人が出てきた。あと姉様が凄くうるさい。
「………ここは…?私は…何故あの呪いを……え?ここに落ちてあるものってまさかとは思いますが……。ッッッッッ⁉︎あの呪いは私の受けた運命だったはず。あのまま永遠に苦痛を味わって朽ちるだけだったはず……だれがこれを…?」
「あの…僕…です。はい。何か…悪いことでもありましたか?もしあったなら…ごめんなさい。」
「いいえ、悪いことではありません。むしろ喜ぶべきことです。ありがとうございます。もしあのままであれば私は……。この度は誠にありがとうございました。」
そういって彼女は深々と礼をしてきた。
「あなたの名前は?」
「申し遅れました。私の名前は……。」
「どうしたの?忘れちゃった?」
「いえ、なんでもありません。私の名前はエルブラスト・グリードと申します。」
「「「「は⁉︎」」」」
「本当ですか⁉︎グリードってあのグリード家⁉︎」
「あのランクス帝国の名家の⁉︎」
「軍部が強化されたのもグリード家が絡んでいるとは聞いたことがあったぞ!」
「そんな凄い人だったの⁉︎」
「いえ、今の私はただのエルブラストでした。」
「え、何でですか?」
「今の私に祖国への忠誠はないので包み隠さずお教えしましょう。」
彼女は、それまでのことを語ってくれた。
最初は自分の国も、家族も大好きだった。いつも自分も役に立ちたいと思っていた。ある時、魔力の量が膨大であることが判明した。これで役に立てる、そう思ったそうでした。けれどそれが、地獄の始まりでした。グリード家はその名の通り、強欲な一族。さらなる名声を高めようと、ある悪魔に交渉を持ちかけました。それは自分の娘はくれてやる。だからもっと我が一族に富と名声をもたらして欲しい、と。悪魔はそれを承諾し、自分の物にするために三日はかかるのでそれまで待っておけ、との事でした。その次の日、私は天使にも売られました。悪魔の契約が発動する前に私の体天使との契約をつけ、二つの契約をかけられました。そうすれば当然怒りを買う。それはそうだ。だから悪魔と天使はこうした。この娘に“枷”をつけた。
これが彼女の経歴だった。
「……酷いね。ここまで腐っていたとは思ってもみなかったよ。」
「うん、許せないね。僕、ここまで呆れたの初めてだよ。」
「今までよく耐えたな。」
「これからはそんな事させないですからね!」
「ありがとうございます。皆様に会えた事、とても嬉しく思います。」
彼女は凄く綺麗な所作でお辞儀をしました。
けど……なんか様子がおかしいような……気の所為かなぁ?