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エピローグ

今から僕がここに記すのは、日記や伝記とはちょっと違い、武勇伝というには少しばかり恥ずかしく、また物語と言うにはちょいとできすぎているのかもしれないが、そういった類のものであることをまず、ご理解願いたい。


 まず初めに言っておかなければならないことの1つとして、僕がこいつを書き始めたのにはちゃんと理由があるということだ。何事にも根源は付き物であって、根源こそ、原点である。例えば、数学には証明を、意見には根拠を、結果には経緯を、討論には詭弁を、そして、悪事には言い訳を。

なんせ人は根源を求めてしまう傾向がある。知りたい、分かりたいと思うのは人の常である。僕も同じだ。だから僕も伝えるべき時に伝えよう。僕が書く意味を。伝える意味を。

ただそれは、今ではない。今は、伝えないほうがいい。というより、今は伝えたくないのだ。

要するに、伝えるということに意味があるように、伝えないということにも意味があるということだ。



 次に言うべきことは、僕が今から描こうとしている話の内容である。僕が今から書くのは、黄金卿の話である。黄金卿と聞いて、大抵の人はキンピカの建物のことを想像すると思うが、あえて説明するとすれば、黄金卿とは人間の作り上げた理想の、そして空想上の都のことである。これが前提である。その中にキンピカの建物がある。

何をもってして黄金卿というのかは人それぞれだと僕は思っている。それは、黄金卿が金銀財宝だけの存在ではないということで、一人一人にとっての、いうなれば夢ともいえる黄金卿がそれぞれあるということだ。

ただそれは、結局は人の幻想であり、頭の中に存在するものであって、実在せず、偽物であり、本物ではない。


ただし、本物ではない、実在しないからと言って、黄金卿を否定したいわけではない。人間にとって、理想を、希望を、欲を持つ事は、むしろ、とても素敵な事だ。

だからこの機会に一度、皆さんにとっての黄金卿とは何か、ぜひ考えていただきたい。あなたにとっての夢とは何かを、黄金卿に当てはめてもらいたい。

もう一度いう。黄金卿なんてものはこの世には存在しない。あるのは人間の希望と欲望の混合物によって構築された空想物である。



これを踏まえて、今から1つずつ語り始めようと思う。もしかすると、この本自体が僕の、そして君たち読者の黄金卿となりうるとすれば、僕の被害妄想が現実と同化するとすれば、その時は言わせていただこう。



黄金卿へ、ようこそ。





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