新居
朝食を摂った後、今日は、ギルドに寄り、依頼を受けようと考えていた。
「行ってきます」
「響子様、私も行きます」
「あー私も行くわ」
待つのじゃ、わらわも行くぞ」
響子は、4人でギルドに行く事になった。
ギルドに着き、依頼ボードを確認していたが、あまり良い依頼が無く
悩んでいると、見た事のある人物がいた。
その男と目が合うと、響子の所に近寄って来た。
「響子殿、久しぶりだな」
「ええ、マーベリックさんも久しぶりです」
「あの時は、本当に失礼した」
「いえ、もう気にしないで下さい」
響子は、王城での戦いを、思い出し、頭に血が上っていたとはいえ、
少々やり過ぎたと思っていたので、顔を会わせたくない相手だった。
「ところで、マーベリックさんは、ここで、何をしているのですか」
「実は、私の知り合いが、あの戦いで、腕を失くしていてしまい
魔術師団を辞めたのだが、このままでは、良くないと思って
冒険者になる様に勧めていたのだ」
響子は、マーベリックのいた場所を見ると、片腕の女性が座っていた。
「ただ、1人で依頼を受けるのは、まだ、難しいと思って
私が休みの日は、こうして付き合っているのだ」
「そうなんですか」
マーベリックと話していると、片腕の女性も近づいて来た。
「マーベリック、私にも紹介して欲しいのだが」
「そうだな、こちらは、響子殿だ。
お前と同じ魔法使いだ」
「そうか、私はノーラだ。
宜しく頼む」
「こちらこそ、お願いします」
響子は、依頼を受ける事を諦めて、ギルドを出る事にした。
「マーベリックさん、私達は、先に失礼しますね」
「そうか、また会おう」
響子は、マーベリックと挨拶を交わした後、ギルドを後にした。
その後、4人は市場に寄り、食材などを買って帰った。
屋敷に戻り、最近の定番となるリビングのソファーに座り、
カレンの入れてくれたお茶を飲みながらのんびりとした。
それから、数日後、屋敷が完成した。
響子は、新しく増築した場所と会議室を見て回った。
それから、部屋数を数えて見たが、やはり足りなかったので
リックさんに、離れの建築をお願いした。
「リックさん、引き続きお願いしますね」
「ああ、任せてくれ。
それから、他の奴らも、このまま雇ってもいいか」
「構いませんよ。
それから、室内は、キッチンとリビングの他に部屋数は7でお願いします」
「わかった。
それで、設計図を書いてみるぜ」
「お願いします。
それと、今日までの分を払っておきますね」
そう言って、響子は、代金を渡した。
リックは、代金を確かめてから、お礼を言った。
「姉ちゃん、間違いなくあったぞ」
「はい」
「ありがとな」
リックは、挨拶をしてから、帰って行った。
その後、新しく出来た会議場に皆を集めて部屋割りを伝えた。
新しく購入した館の部屋数は響子達のいる屋敷よりも多く、増築した個所の部屋を
加えると、20室になるので狐人族の部屋に丁度良かった。
狐人族達は、自分の部屋を見に行き、必要な物を決めたので、市場に行って
必要な物を買う事にした。
布団や、小物、雑貨、服などを買ってまわり、すべて響子の無限収納に入れた。
20人分だったので、結構な金額になったが、響子は、自分の眷属だからと
割り切り、遠慮なく、購入していった。
各部屋にベッドとタンスは、リックに頼んで付けて貰っているので
思ったよりは、安く済んだ。
その後、屋敷に帰り、皆の購入したものを庭に出して各自で運んでもらった。
皆が掃除や部屋の事をしている間に、響子は、シルベスタに会いに行った。
アスタ邸に着き、シルベスタにメイドの事を聞くと
明日、屋敷に来るようになった。
響子は、お礼を言い、帰ろうと席を立つと、シルベスタから
話があると引き留められた。
「シルベスタ様、どの様な話ですか」
「はい、陛下が、響子様を側近にしようとしているらしいです」
「え?どういう事ですか」
「王族の誰かに仕えさせたいと考えているという事です」
「そうですか・・・」
「近々、王宮からの呼び出しがあるかも知れませんので
先に、お知らせしておこうと思いまして・・・」
「わかりました、有難う御座います」
響子は、お礼を言い、アスタ邸から屋敷に戻った。
屋敷に戻り、自分達の事をする事にした。
響子は、ムサシを呼んだ。
「主様、お呼びでしょうか?」
「うん、まずはこれを渡しておくよ」
響子は、ムサシに金貨を10枚渡した。
「これは一体・・・」
「何かあった時の為と、狐人族達が欲しい物があった時に
ムサシの判断で渡してあげて欲しい」
「わかりました、では、私が管理致します」
「宜しくね」
「はい」
「後、住む事で、問題はない?」
「いえ、満足しております」
「よかった」
響子は、安心した。
翌日、シルベスタの選んだメイド達が響子の屋敷に来た。
「響子様、初めまして、セシルと申します」
「私は、アンリと申します」
「私は、オリビアと申します」
「私は、マリアムと申します」
「うん、私が響子です。宜しく」
響子は、今居るメイド達を呼び、自己紹介をして貰い、
明日から仕事を教えるように頼んだ。
「それから、貴方達の部屋は、今度出来る離れになるから
それまでは、2人部屋で過ごしてね」
「畏まりました」
「じゃぁ行こうか」
「響子様、どちらにお出かけですか」
「市場だよ、これから住むのだから必要な物を買いに行くんだよ。
だから、雑貨や必要な物は遠慮なくいってね」
新人のメイド達は、驚いていた。
「今日は、カレン達も一緒に行こうね」
「「「はい」」」
響子は、メイド達を連れて市場で買い物をしていた。
「ミーナ、ちょっといい?」
「何でしょう」
「うん、妹は?」
響子が尋ねると、ミーナは、1人のメイドに声を掛けた。
「セシル」
「はい」
セシルは響子とミーナの所へ来た。
「響子様、妹のセシルです」
「セシル、宜しくね」
「はい、姉共々宜しくお願い致します」
「ミーナ、良かったね」
「はい、響子様、有難う御座います」
メイド達との買い物を終え、屋敷に戻ると1通の手紙が届いていた。
不定期投稿ですが宜しくお願い致します。
暖かい目で見て頂ければ幸いです。