サントの街2
シャドウ達が、兵舎での戦闘を行っている頃、
リリとナディアは、領主の家を目指して走っていた。
その時、盗賊達と正面からぶつかり、戦闘を始めようとした時に
民家の屋根の上から、矢や魔法が降り注いだ。
2人は、完全に囲まれてしまったが、ナディアが魔法を唱えた。
「タイフーン」
すると、ナディア達の周りから広がる様に竜巻が起き、
矢や魔法を反らし、盗賊達の陣形も崩した。
「リリ、今じゃ」
ナディアの合図で2人は、一斉に走り出し、来た道を引き返した。
竜巻が止むと、盗賊達はリリ達を追い始め、屋根の上や地上から探しだした。
りりとナディアは、一旦、民家に隠れ作戦を考えた。
「思った以上に敵が多いですね」
「そうじゃな、これからの事だが、リリは何か方法はあるのか?」
「う~ん、作戦というわけではありませんけど、真っ直ぐ領主の家を目指さず、
色々な所で戦いながら、進むのはどうですか?」
「なんじゃ、それは作戦か?」
「だから、言ったではありませんか、作戦とは言えないと」
「そうじゃな、でも、良いかも知れんのぅ。
真っ直ぐ進めば、すべての盗賊達が集まって来るから、
先に寄り道して潰して回るほうが良いかも知れんのぅ
面白そうじゃ」
「ならば、行きましょう」
「うむ」
リリとナディアは、民家を出て、領主の家と反対方向に進み、盗賊達を倒して行った。
その頃、響子も街中で戦っており、次々に魔法で倒していた。
「サンダースパーク」
近寄って来た盗賊に、電撃を喰らわしてから、次の場所に移動した。
響子は、屋根の上を移動しながら、地上に現れた盗賊を攻撃することで
囲まれない様にしていた。
だが、盗賊達も同じ屋根の上や地上から矢を放ち、接近してこなくなった。
その内に、魔法を使う者達も集まり、響子は一斉攻撃を受ける事になったが
慌てず、魔法を唱えた。
「フライ」
響子は、空に浮かび、そのまま攻撃を始めた。
「アイスエッヂ」
屋根の上にいた盗賊達は氷の刃の餌食になり、次々に地上に落ちていった。
しかし、盗賊達は、攻撃の手を緩めず、響子に集中攻撃を浴びせた。
流石に響子も傷を負い、撤退を考えたが、自身の持つ固有魔法を思い出して唱えた。
「眷属召喚」
響子が魔法を唱え終えると、辺りが光り、次々に武器を持った狐人族が現れ、
響子を囲っていた盗賊をすべて倒してしまった。
響子は、自分で使った魔法に驚いていると、1人の狐人族の男が話しかけて来た。
「響子様、お呼びにより参上致しました。
どうぞ、ご命令を」
「有り難う、ならば、この街の盗賊の殲滅をお願いします」
「畏まりました」
そう言うと、狐人族の男は現れた20名の狐人族に指示を出した。
指示を受けた狐人族達は、グループに別れ、行動を始めた。
指示をだした狐人族の男は、響子の元に戻り、響子に話し掛けた。
「響子様、分隊を作り行動を始めました。
私達は、響子様と行動を共に致しますので宜しくお願い致します」
「わかった。それと、名前を教えてくれるかな」
「はい、私は、ムサシと言います。
狐人族の纏め役をしています。
それと、後ろに控えているのが、オトハ、アルフ、イザヤです」
「皆、狐人族という事は、リリと同族だね」
「はい、リリは、オトハの妹です」
「えーー!」
「リリは姉妹がいたんだ」
「はい、4姉妹ですよ」
「そうなんだ」
響子は、狐人族と話をしながら体を休めてから、動き出した。
「ムサシ、私達の役目は、街の中にいる盗賊達の殲滅です」
「わかりました。
では、参りましょう」
響子達は、盗賊の殲滅に向かった。
その頃、兵舎を守っていたシャドウ達は、盗賊達の数に押され始めていた。
「アロマ、無理になったら下がれ!」
「師匠は、どうするのですか?」
「私は、残る。
ここが、敗れたら中にいる領民達も終りだからな」
「師匠・・・・」
その時、門が破壊され、到頭盗賊達が雪崩れ込んで来たが
後ろの方から、炎が上がり、盗賊達が逃げ始めた。
シャドウは、あっけにとられたが、チャンスと思い、一気に攻め立てた。
盗賊達は、前と後ろから挟み撃ちの形になり、逃げ場を失い殲滅された。
その様子を、屋根の上から見ていた盗賊が逃げようとしたが、
目の前に狐人族の女が現れ、道を防いだ。
「何処にいくの?」
「チッ、此処までか」
盗賊は、剣を抜き、構えたが、狐人族の女は、笑顔を崩さず、言い放った。
「悪あがきをするの?
それとも・・・・」
「貴様は、一体・・・」
「私は、ダッキよ。
宜しくって言っても、直ぐにサヨナラだけどね」
そう言ってから、魔法をはなった。
「スパイラルエッジ」
盗賊の周りに風が吹き、その風の中から沢山の刃が現れ、盗賊を切り刻んだ。
「うげっ、ぎゃぁぁぁぁ!!」
風が止むと、そこには細切れになった肉塊が落ちているだけだった。
「さて、私も、合流しましょうか」
ダッキは、そう言って兵舎に向かって行った。
シャドウは、敵か味方か分からずにいると、戻って来たダッキが話しかけて来た。
「貴方は、響子様の仲間かしら」
「そうだが、貴方は?」
「私は、狐人族のダッキよ。
後、私の後ろにいる子たちは、シンギ、ミハル、ユーリよ。
仲良くしてね」
「こちらこそ、私は、シャドウです。
それから、こちらに向かって来ているのがチャム、アロマ、エイナです」
「ふふっ、宜しくね」
「はい、お願いします!」
挨拶を終え、今後の行動を相談した。
「ダッキさん、この後の事は聞いていますか」
「いいえ、聞いていないけど、ここの人達を、今なら助け出せるわよ」
シャドウは、その言葉に従い、領民を逃がすことにした。
「では、コルトの街に連れて行きます」
「そうね、護衛はいるかしら」
「お願いできますか」
「いいわよ」
シャドウ達とダッキ達は、領民を連れてコルトの街に向かった。
不定期投稿ですが宜しくお願い致します。
暖かい目で見て頂ければ幸いです。