再会と変化2
「あの、俺じゃ、駄目ですか?」
声を掛けて来たのはヨーデだった。
ザビは、ヨーデを見ながら言った。
「別に駄目ではないな。
確かに、戦闘も出来るし、仕事も知っている。
なにより、響子さんにボコられた内の1人だしな」
「はい、・・・覚えています。
あの、圧倒的な強さを・・・」
「ただ、何故、行きたいかという事ははっきりして欲しい。
そうでないと、お前を推薦できん」
「そうですね、俺は、もっと何か出来るような気がするんです。
今でも、この街で商人や護衛、盗賊狩りなどしていますが
ほかにも、何かあるのではないかと・・・・」
「シャドウ、どうする?」
「ザビは、連れて行っていいのか?」
「俺は、構わない。
この店の手伝いも、希望者が多すぎて当番制にしたぐらいだしな」
「そうか、ならばヨーデ、王都に来るか?
ただ、先に言っておく。
この街と違って、貴族や商人も多い。規模も違う。
響子さんも、今は屋敷に住んでいるし、他に仲間もいる。
お前は、その中でやって行く自信はあるか」
「あります。
やらせてください!」
「わかった。
連れて行こう」
「有り難う御座います」
ヨーデの王都行きが決まり、明日、ギルバートに会うだけで出発出来る事になり、
シャドウも安心した。
「ヨーデ、明日、ギルバートの所に案内しろ、その足で王都に向かうぞ」
「はい!」
ヨーデは、返事をして、ギルバートの所に行ってこようと思い、席を立つと
背中からターニャに服を持たれた。
「ねえ、王都に行くの?」
「ああ・・・」
「私も行っていいかな?」
「えっ!」
「だ・か・ら、あたしも行くの!」
「えーー!」
「ちょっと待ってよ。
ターニャさん、聞いてました?
遊びに行く訳ではありませんよ」
「知ってる・・・」
「なら」
「知ってるって言ってるでしょ!」
「えーー」
「えーえーうるさい!!
あたしも行くって決めたのわかった!」
ヨーデは、困り果ててカレンを見た。
カレンはザビに振った。
ザビは、シャドウを見ようとするとシャドウに顔を逸らせれた。
「どうすんだよ・・・」
その日の話し合いは、平行線で纏まらなかった為に、翌日の午前中に話し合う事にした。
ただ、話し合いが纏まらなかったら、ヨーデの王都行きは、無しにする事をシャドウは告げた。
そして翌日、ターニャとヨーデの話合いは終わった。
そもそも、ターニャがヨーデに惚れていて、王都に1人で行かせたくなかった事が判明したからだ。
なので、ヨーデがターニャを守る事が条件で王都行きが決まった。
そして、このは亭を去る時にシャドウは、ザビと挨拶を交わし、
ターニャはカレンに幸せになってねと告げ、ギルバートの所に行こうとしたら
リュックを背負ったルビが付いて来た。
驚いたヨーデは、取り敢えずルビに聞いてみた。
「ルビさん、何処に行こうとしているのですか」
「王都」
「え?」
「時間ない、早く!」
「あの、お姉さんはここに残っていますよ」
「知ってる。
新婚さんは二人きりです。
早く出発です!」
そう言ってルビは走りだした。
ルビの言葉を聞き、ザビとカレンはお互いの顔を見合わせた。
「ルビ・・・」
「シャドウ、どうするんだ」
「知らん、時間が無いんだ」
そんな時、ターニャが、皆に言った。
「ヨーデが見るから連れて行くよ」
「えっ!」
「うるさい!わかった!」
「・・・・はい」
「じゃぁ、お姉ちゃん、行ってきます!
早く、子供つくってね!」
「ターニャ!」
カレンはターニャとルビの気持ちを知り、涙がこぼれそうになった。
その時、ザビがカレンの肩を抱いて慰めにきた。
「ターニャ、ルビ、元気でね!」
カレンは、精一杯の声で姉妹に別れの挨拶をした。
その後、シャドウ達は、ギルバートの所に行き、
事情を説明すると
「本当ですか!
行きます!行かせてください!」
興奮状態で返事をするギルバートに、今から出発だと告げ、
ついでに馬車の手配もさせた。
ギルバートは、急いで旅支度を整え、馬車に荷物を積み込んだ。
「お待たせしました。
王都の響子様の元に行きましょう!」
こうして、シャドウは、人を連れて王都に戻る事になったが
響子になんと言ったらいいか悩んだ。
王都までの御者は、ヨーデとギルバートが務めた。
また、ターニャとルビは、休憩の合間にシャドウから剣の使い方などを学んだ。
元々、ターニャは冒険者になりたいと思っていたが
家の事もあり、誰にも告げずにいたので、シャドウから剣の稽古をつけて貰える事に
喜んでいた。
途中で、魔獣が出たりしたが、シャドウが倒して、皆の食事になった。
夕食の時、魔獣と戦うシャドウを思い出して、ヨーデがシャドウに話しかけた。
「シャドウさんは、前よりも強くなったのですね」
「当り前だ!響子さんといてみろ、強くなかったら死ぬぞ」
「そうなんですか」
「ああ、でも、もっと驚く事があるぞ、
それは、響子さんと一緒にいる仲間の最年少は5歳だ」
「は?5歳・・・本当ですか?」
「本当だ、出会った時は4歳だったがすぐに誕生日が来てな5歳になった」
「強いですか」
「亜人の子だが、ある程度はこなすぞ。
それに、何度も、戦闘を経験している」
「えっと・・・殺しも?」
「ああ、狙って来る者もいるからな。
自分の身を守れないで響子さんの傍にいることは自殺行為だ」
ヨーデは、シャドウの話を聞き、自分自身を鍛えることを決意し、シャドウにお願いをした。
「シャドウさん、私にも、稽古をつけて貰えませんか?」
「稽古か、私は、今、3人に教えているので、そいつらと一緒に訓練すればいい」
「有り難うございます」
「ああ、それと分からない事は、そいつらに聞いてもいいぞ」
「わかりました。他に仲間がいるなんていいですね。
それに、シャドウさんの弟子としてはその方達が先輩ですから、兄弟子になるのですね」
「そうだな、ちなみにそいつらの年齢は5歳、6歳、7歳だ。
勿論、実戦経験もあるし、闇ギルドのメンバーも1対1で倒しているぞ」
「え・・・・・・」
ヨーデは、自分の年齢の半分位しかない子の方が強いかもしれないと思うと
複雑な気持ちになった。
そして、数日が過ぎ、シャドウ達は王都ドランに到着した。
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