再会と変化
シャドウは、響子から指示で、コパの街を目指していた。
元々、シャドウも闇ギルドの一員だったが、響子が壊滅に追い込み
自分の物にしてしまい、何故か響子の近くに居るようになり、
今では、チャム達の師匠になってしまっている。
そして、今回は、コパの街の仲間の中から、王都で活動する者を連れて帰る事。
責任の重い仕事だが、シャドウは、何故か嬉しく思えた。
それだけ、響子に信用をされている事が、主な原因だがそれ以上に
また、新しい事が始まるという気持ちだった。
コパの街までの数日を、シャドウは駆け抜けた。
勿論、休憩と仮眠もしたが、コパの街に早く着きたいと思う気持ちから
殆ど、取らなかった。
そして、コパの街に到着すると、このは亭を訪ねた。
このは亭に入ると、カレンが酒場のテーブルを拭いていた。
「すいません、今はまだ準備が出来ていないのです」
「あ、いや、構わない。
それよりも、ザビはいないのか?」
「ザビさんは、仕入れに行っています」
「仕入れ?」
「はい、仕入れです」
その時、2階から男が下りて来た。
「姉さん、部屋の掃除、終わりました」
すると、その男の後ろから声が聞こえて来た。
「ちょっと、きちんと掃除道具片付けなさいよ!」
「ごめん・・・」
2階から下りて来た男を見て、シャドウが声を掛ける。
「ヨーデ!」
ヨーデは、呼ばれた方に振り向いた。
「シャドウさん!えっ何故ここに・・・」
「ああ、ザビに用事があってな」
「マスターなら仕入れですよ」
「聞いたよ、お前はここで何をしているんだ」
「はい・・・えっと・・」
その時、ヨーデの背中を思いっ切り叩く女の子がいた。
「あんた、しっかりしなさいよ!
それより、この人誰よ」
「ターニャさん、痛いですよ。
それに、この人は、シャドウさんと言って闇ギルドのメンバーですよ」
「そうなんだ・・それで、何の用なの」
「話は、ザビが帰って来てからするよ。
それと、今晩の宿を頼む」
シャドウは、このは亭に宿を取り、ザビの帰りを待った。
暫くして、ザビが仕入れから戻って来た。
ザビが戻って来ると、カレンがザビの元に寄って行き、声を掛けた。
「お帰りなさい、ザビさん、お客様だよ」
「ただいま、客?」
そう言って、1人、席に座っていた女の方を向いた。
「シャドウか、久しぶりだな。
突然、どうしたんだ」
「ああ、実は、響子さんが王都の闇ギルドを潰すらしい」
その話を聞いた途端、ザビの顔色が青くなったいった。
「それ、本当か」
「事実だ。
ザビよ、そんな顔をするな、顔色も無くなっているぞ」
「それは、あんな経験すれば誰だってそうなるよ。
あの威圧感、人間じゃねえ」
「伝えておこう」
「ばかっ!やめろ、シャレにならねえ」
「冗談だ、それよりも響子さんからの伝言だ。
この街から、王都のギルドを任せられる奴を送れとの事だ」
「なんだそりゃ」
「潰して、この街みたいに自分の物にする気らしい」
「・・・・・」
「なんとか言えよ」
「いや、王都の奴らもエライ人に目を付けられたなと思ったのさ」
「それには、同意するが、時間があまり無いんだ。
響子さんは、もう行動しているんだ」
「えっ!」
「私が、この街に向かう時には、既に突撃前だったからな」
「そうか・・・・」
「任せられる人物は、いるのか」
「いるよ」
店でこの話を聞いていたカレンが、心配そうな顔をしながらザビに話し掛けた。
「ザビさん、行くの?」
シャドウは、2人の雰囲気に疑問を抱き、聞いてみた。
「ザビよ、お前、1人者か?
それとも、好きな女でも出来たか?」
「・・・・・・」
「ザビさん・・・」
ザビは、カレンに背中を押され話だした。
「わかった、言うよ。
俺は、カレンと一緒になろうと思っている。
勿論、ギルマスの仕事も続けるが、頃合いが来たら引退して、この店だけに集中するつもりだ。
だから、悪いが俺は王都には行けない・・・・すまん」
「何を言っているんだ。
お前を連れて行く気はないぞ」
「えっ」
「あの出来事の後も、皆を見て来たお前の推薦を貰える奴を紹介してくれたらいい。
それだけだ」
早とちりをした、ザビとカレンの顔が赤くなった。
「そ、そうか、ハハハ」
「まぁ、良い事を聞いたから、響子さんに報告しておくよ」
ザビは、覚悟を決めてシャドウに答えた。
「ああ、頼む。
その内、挨拶に行こうと思っていたんだ」
「そうか、良かったな」
「ありがとう」
「それで、推薦できる奴はいるのか?」
「いるよ、ギルバートだ。
アイツなら、響子さんの意思を汲めると思うぞ」
「ギルバートか、良い人選だな。元々、闇ギルド向きではなかったしな。
でも、抜けても大丈夫なのか」
「それは、問題ない。
あいつは、自分の代わりを沢山作っていたからな」
「どういう事だ」
「なに、アイツは響子さんに付いて行きたかったらしい。
だが、行けなかった。戦闘に向いてないしな。
それで、いつか役に立つ為に努力していたんだよ」
「そうか、でも、響子さんとアイツは面識ないだろ」
「いや、1度だけあるんだよ、思い出したくはないが
響子さんが乗り込んできて、俺達全員をボコった中にアイツもいたんだよ。
それで、その強さと性格に惚れたんだとよ」
「そいつ、頭、大丈夫か?」
「言ってやるな。
本人はいたって真剣なんだ」
「響子さんが振り向くとは思えないが・・・」
「本人も分かっているよ。ただ、役に立ちたいんだとよ」
「そういう事なら、了解した。
それから、後、何人か欲しいのだが」
「ああ、明日、聞いて見るよ」
そう言って、席を立とうとした時に突然呼び止められた。
ブックマーク登録をして頂き、有難う御座います。
不定期投稿ですが宜しくお願い致します。