報告
ゴブリン達を倒し、広場を抜けて行くと、魔物はゴブリンだけではなく、
オークやオーガが現れた。
魔物を倒しながら、さらに進むと下に進む階段があった。
「下層があるみたいだね」
「ここは、ただのゴブリンの巣とは思えませんね」
「そうだね、取り敢えず先に行ってみよう」
響子は、階段を下りて行き、次の階に着いた。
着いた階層にはゴブリンの姿は無く、スケルトンやゾンビが溢れていた。
「これって、ダンジョン?」
「間違いないでしょう」
「話が違うんですけど・・・・」
「響子様、ギルドに報告した方が良いと思いますが」
「そうだな、わらわもリリの意見に賛成じゃ」
「わかった。
一旦、引き揚げよう」
響子達は、階段を上り、洞窟を抜けて王都に戻った。
王都に戻ると、響子達はギルドに行き、
受付で、今回のゴブリンの巣盗伐について報告した。
「え、ダンジョンですか」
「はい、ゴブリン達はすべて倒したのですが
奥に進むと階段があり、下りていくと、次の階層がありました。
その階層の魔物はアンデットばかりでした」
「そんな・・・・・・」
「間違いなく、ダンジョンです」
「王都の近くにダンジョンがあるなんて知りませんでした。
すぐ上に報告しないといけないのでこれで失礼します」
「あの、今回の依頼はどうなりますか?」
「ゴブリン達を倒して頂けたので報酬は支払いますよ」
「わかりました」
受付の職員は、響子に報酬を払うと、すぐに報告の為に席を立った。
響子達がギルドを去った後、ギルドの上層部では、
ダンジョン発見の報告について話し合っていた。
「こんなに近くにダンジョンがあったとは・・・」
「だが、階層ごとに魔物が違う事などを考えると
ダンジョンで間違いないと思うが、深さが問題だな」
「それもあるが、ゴブリンが表層の外にいた事を考えると
既に魔物が溢れかえっている可能性が高いと思うが・・・」
「スタンビートか!!」
「ええ、最悪在りうるかと・・・」
「一度、Aランクの冒険者チームを何組か偵察に行ってもらうのが
一番良い考えだと思うが、どうだろうか」
「そうだな、その報告を待ってから対応を考えよう」
ギルドは、3組のAランク冒険者に指名依頼を出した。
翌日、Aランクの冒険者チーム3組(16名)が王都を出発し、ダンジョンに向かった。
冒険者達が、ダンジョンに向かってから数日後、
偵察に向かったAランク冒険者の2名が、瀕死の状態で戻って来た。
彼らは、ギルドで治療を受けながら、偵察の内容を伝えたが
もたらされた内容は、最悪の内容だった。
彼らによると、洞窟に向かう迄の間にも魔物が多く、
やっとの思いで洞窟に到着し、入って行ったが、思った以上に魔物が溢れかえっていた。
魔物自体は、強くないが数が異常に多く、中々前に進むことが出来なかった。
その内に挟みこまれて逃げ道が無くなってしまい、次々に仲間達が死んでいき、
残った者達で退路を作り、脱出を試みたが、上手く脱出できたのは4人だけだった。
だが、残った4人も、森の中で出会った魔物達に殺され、何とか逃げ帰ったのは2人だけだった。
この報告を受けたギルドは、スタンビートの可能性が高まったと考え、
王宮に報告を上げる事にした。
王宮に向かったギルドマスターは、早急の要件として王に謁見を申し込み、場内で待機した。
暫くすると、宰相がやって来て、今回の要件を聞いた。
宰相は、王に伝えると、直ぐに謁見が許された。
「ニコルと申したか、この度の事、まことか」
「はい、事が事だけに陛下にご報告させて頂きました」
「そうか、エリクよ、王都が襲撃を受ける可能性はあるのか」
「陛下、報告の通りでしたら、王都は多大な被害を受けると思われます」
「ならば、放っておく訳にはならぬな」
「はい」
「この度の件、ギルドはこの後、どう動くのだ」
「はい、王命に従います」
「ならば、我が国の大事と捉え、騎士団と魔法騎士団の出動を命じる。
それと、上位ランクの冒険者も動員せよ」
「はっ、陛下のお心のままに」
「ならば、至急準備を整えよ」
「畏まりました」
ギルドマスターのニコルは、ギルドに戻り、
AランクとBランクの冒険者達に指名依頼を送った。
ニコルが帰った後、王は、騎士団長のマーベリックと魔法騎士団長のノーラを呼んだ。
「陛下、お呼びにより、馳せ参じました」
「うむ、マーベリック、ノーラよ、良く来た。
この度は、急を要する事ゆえ、話を端的に申す」
「「はっ!」」
「王都近くにダンジョンが発見された。
そのダンジョンは、スタンビートの可能性が高いようだ。
そこで、貴殿らの騎士団を用いてこの大事を収めよ。
良いな」
「畏まりました。騎士団の名に懸けて必ず成し遂げて参ります」
「良い報告を期待しておるぞ」
「「はっ!」」
騎士団長のマーベリックとノーラは、謁見の間を退出した後、宰相のエリクと話し合っていた。
「宰相殿、この度の事、どれ位の人数を考えておいでか?」
「階層の深さも分かっておらぬゆえ、判断が付けにくいのだ」
「そうですか、少しでも情報が欲しかったのですが・・・」
「それから、ギルドからもAランクとBランクの冒険者が盗伐に向かうそうだ。
騎士団長に任せるので上手く使ってくれると有難い」
「分かりました。
そちらは、問題ありません」
「頼んだぞ」
マーベリックは、ノーラと2人で人数を調整し、50人ずつで100名の兵を送る事にした。
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