陰謀2
翌日、トスマは、金で雇った者達を執事の元に連れて行った。
「セント様、20人集めました」
「そうか、それで相手の居場所は掴んだか」
「はい、このみ亭に泊まっています」
「ならば、見張りを付け、人気のない場所で実行しろ。良いな」
「はい」
トスマは、セントと別れ、行動を開始した。
その頃、響子達は屋台で食事を摂り、市場を散策し、欲しい物を購入していた。
「必要な物があったら遠慮なく言ってね。
それからこれを渡しておくよ」
響子は、全員に金貨を配り、欲しい物があったら買うように伝えた。
暫く、皆で市場を回っていると、ナディアが怪しい気配に気付いた。
「響子よ、なにやらネズミがいるようじゃ」
「えーまたですか。
面倒くさいですね」
「まぁ、そうだがのぅ」
「一応、全員に伝えておきますね」
「それで良いじゃろ」
響子は、皆に伝え、買い物を続けた。
尾行は、しっかりと付いて来ていたので、この辺りで手を打つことにした。
「そろそろ、人気のない場所に行こう!」
「響子様、散歩にでも行く感じですね・・・」
「ハハハ・・・」
響子達は、空き地に向かい歩き出した。
「響子よ、この間の場所に行くのか」
「そうです。そこしか知りませんから」
「そうじゃのぅ」
話をしていると空き地に到着した。
すると、男達がゾロゾロと現れたが、尾行していた者は出てこなかったので
シャドウに話し掛けた。
「シャドウ、ずっと尾行していた者は、まだ隠れているから
もし、出て来なかったら後を付けてよ」
「了解した」
響子とシャドウが話をしていると、男達は剣を構えて襲って来た。
「皆、怪我をしないようにね」
「はーい」
響子達の中で、シャドウだけが戦いには参加せず、尾行していた男を見張っていた。
襲ってきた男達は、チャム達に倒されていった。
「なんだこのガキは!ちょこまかと動きやがって」
「ぎゃぁぁぁぁ!」
響子とナディアは、戦いには参加せず見学していた。
初めは、全員で戦う予定だったが、チャム達がやりたいと言って来たので
危なくなるまでは、手を出さない事に決まった。
「ひぃぃぃぃ!」
1人、また1人と数を減らしていった。
チャムは、単独で倒し、アロマとエイナは2人で連携を取りながら倒した。
後2人となった所で、男達は武器を放り投げ、両手を挙げて降参をアピールした。
「もう、止めてくれ!」
「済まない、降参だ!命だけは助けてくれ」
「えっ、襲って来たのはそっちだよ」
「分かっている。
だが、俺たちは降参したのだから、もういいだろ!」
「勝手だね。
私達が、降参していても連れて行ったでしょ」
「・・・・・」
「貴方達は、金で雇われたの?それとも、私達に恨みでもあったの?」
「金だ」
「なら、その金が貴方達の価値だよ、諦めてね」
そう言うと、響子は、無限牢獄に放り込んだ。
その後、生きている者は無限牢獄に放り込み、死んだ者は無限収納に入れた。
この様子を見ていたトスマは、驚きながらもブガートに伝える為に
館に向かって走りだした。
館に到着し、辺りを見渡してから館に入っていった。
その様子を、シャドウがしっかりと見ていた。
そしてそのまま、館を見張った。
館に戻って来たトスマの報告を受け、ブガートは激怒した。
「どういうことだ!」
「はい、私が見ていたら、女が近寄ると男達が消えてしまいました」
「それは誠か?」
「はい、間違いありません。
この目で、しっかりと確認しました」
ブガートは、少し考えてからセントに指示をだした。
「セント、私兵に伝え、女共の泊まる宿に行き、誘拐の容疑で捕らえてくるのだ。
よいか、抵抗も考慮し、大人数で行け、必ず捕らえるのだ!」
「畏まりました。必ず捕まえて来ます」
セントは、私兵に伝える為に部屋をでて、訓練場に向かった。
訓練場で、セントはブガートの指示を伝え、兵を宿屋に向かわせた。
その様子を、見ていたシャドウは、急ぎ宿に戻り、響子達に伝えた。
「もう、仕方ないよね。出来るだけ死人を出さない様に思っていたけど
無理みたいだから、皆も遠慮しなくていいよ」
「そうじゃのぅ。残念な事じゃ」
「チャム、アロマ、エイナ、3人で組んで戦うようにな」
「はい、師匠も頑張って!」
「了解だ」
響子達は、宿の中では狭いので、兵が来るのを宿の入り口で待っていると
左右から現れ、響子達を包囲した。
「貴様らには、誘拐の嫌疑が掛かっている。
大人しく連行されよ」
「あの、誘拐とかしてませんけど。
それより、この街に来て、既に2回も襲われたのですが
何とかなりませんか」
「そのような事は知らん、貴様の戯言であろう。
それよりも誘拐の件で来ているのだ。
わかったら大人しく捕まるのだ」
「え、嫌ですけど」
「ならば、力ずくで取り押さえてやる」
そう言うと、兵は動き出し、一気に響子達に向かってなだれ込んで来た。
響子は、慌てず魔法を唱えた。
「サンダーレイン」
響子は、雷の雨を降らせた。
「ギャァァァァ!」
殆どの兵たちは雷に貫かれ、動かなくなった。
「ひぃぃぃぃ!」
怯えた声を上げた兵もいたが、響子達は遠慮なく攻めた。
50人程いた兵士は、ほんの数分で全滅した。
響子は死んだ兵士達を無限収納に入れていった。
片付け終わると響子は、皆に声を掛けた。
「さぁ行こうか」
響子達は、ブガート邸に向けて歩いた。
不定期投稿ですが宜しくお願い致します。
暖かい目で見て頂ければ幸いです。