54話 ロリコン?
神神楽と別れた後、駅前にあるファーストフード店へ。
そこで、結果を伝えるために天宮達と待ち合わせをしている。
三人を見つけることは簡単だ。
すぐ合流できて、神神楽から告白されたことを正直に話したのだけど……
真司と七塚が声を揃えて言う。
「「ロリコン……?」」
「違う」
こういう時、二人の息はぴったりだ。
本当、お似合いだよ。
ついついため息をこぼしてしまう。
「もしかして、進藤君は……」
「お願いだから、天宮まで信じないで」
「そ、そうですよね。ごめんなさい。えっと……私もランドセルを背負った方がいいですか?」
天宮が壊れた。
「はっ!? す、すみません……今の発言は、その、なかったことにしていただけると」
「了解」
「うぅ……」
すぐに我に返ったらしく、天宮はとても恥ずかしそうにしていた。
気持ちはわからなくないのだけど……
だからといって、小学生に小学生らしく対抗しようとしないでほしい。
「……でも、少し残念だ。ランドセルは、それはそれで似合うと思う。そうだ。二人きりの時、俺だけに見せていてぇ!?」
「勝手に変なモノローグを追加するな」
テーブルの下で真司の足を蹴っておいた。
「まったく……こんなことなら真司達には話すんじゃなかった」
「悪かった、謝るから。ほら。予想外すぎる展開に、俺もちょっと混乱していたんだよ」
「あたしも。進藤君、イメチェンに大成功したから、告白されるかなー? なんて予想はしてたけど、まさか小学生とはねえ」
「えっと……私、黄色い帽子を被った方がいいですか?」
天宮はまだ混乱していた。
「とりあえず、落ち着いてくれ」
「は、はい……すみません」
「告白は断ったんだよね?」
「それが……」
神神楽の対応を説明すると、七塚は難しい表情に。
「その子、やるね……現時点で振られることは確定。だから、すぐに勝負を決めようとしない。なかなかの策士だよ」
「ってか、本当に小学生か? 小学生が……ってか、俺らだって、恋愛は告白をしたらそこで即決着、みたいなこと考えるだろ? 告白を最初のステップにして、そこから距離を詰めることを考えるなんて、なかなかできないだろ」
真司の言う通り、神神楽は小学生離れしている。
あんな風に計算高く恋愛をできる小学生なんて、今まで見たことも聞いたこともない。
それとも、最近の子はこれが普通で、俺がなにも知らないだけなのだろうか?
「これ、どうしたらいいんだろうな……?」
「「……」」
真司と七塚は困り、言葉に迷っている様子だ。
それもそうだ。
あの調子では、ちゃんと告白を断ったとしても神神楽は諦めないだろう。
今は時期ではないみたいですね、とか笑顔で言って、また攻撃の機会を伺うだろう。
正攻法ではダメ。
かといって、うまい絡め手は簡単には思いつかない。
どうすればいいんだ?
「えっと……私は、今まで通りで、特になにかする必要はないと思います」
「え?」
天宮が意外なことを言う。
「なにもしないと、神神楽がグイグイ来ると思うんだけど……」
「それはもうどうしようもないので、好きにさせるしかないと思います。好きな人に振り向いてほしいという気持ちは、同じ女性としてわかるので。好きになったらダメ。アピールしたらダメ。そんな決まりありません」
「そう言われると……そうなのか?」
「私達が……というよりは、私がやるべきことは、しっかりと進藤君の気持ちを繋ぎ止めておくことです」
そう言って、天宮はこちらに笑みを向けてきた。
優しくて、そして甘い笑顔だ。
「いつでもどんな時でも、進藤君の心をがっちりと掴んでおく。それが大切なことなのではないかな、って」
「……そうだな」
天宮の言う通りだ。
予想外すぎる展開に混乱していたが、でも、本質を見失ってはいけない。
天宮に対する想いをしっかりと持ち続ける。
ただ、それだけのことでいい。
それだけのことで全部解決するだろう。
「ありがとう。天宮のおかげで、俺、どうすればいいかわかったよ」
「えっと、大したことはできていませんけど……でも、私も混乱してばかりはいられません。なんといっても、その……私、進藤君の彼女ですから」
「……っ……」
「進藤君?」
思わず口ごもる俺を見て、天宮が不思議そうな顔をするが……
でも、仕方ないだろう?
こんなにも誇らしく。
そして、嬉しそうに語るものだから……
見惚れてしまうのは当然だと思う。仕方ない。
「天宮が隣にいてくれてよかった」
「私の指定席ですから」
「ずっと、天宮のために空けておくよ」
「はい、ずっとずっとお願いします」
俺と天宮は笑みを交わして……
「甘い、めっちゃ甘いわ、この空間……」
「俺、ブラックコーヒー頼むわ……」
なぜか真司と七塚がぐったりした様子だった。
次回更新は16日(金)になります。
詳細は活動報告にて。




