46話 どうしよう?
歩と六花は食事を終えた後、二人でのんびりとテレビを見た。
お笑い芸人がMCを務めるクイズ番組で、若手とベテラン分かれて対決が行われる。
二人はお笑い芸人が特別好きというわけではないが、楽しそうに、今の答えはアレだコレだと言いつつ、笑って鑑賞した。
テレビの内容はあまり関係ない。
二人で過ごす時間がなによりも大事で、それさえあればいいのだ。
ほどなくしていい時間となり、六花が先に風呂へ入ることに。
部屋とキッチンを区切る戸を閉める。
それから服を脱いでいくのだけど……
「うぅ……やっぱり、まだ慣れません」
間に戸があるものの……
その一枚向こうに歩がいると思うと、とても落ち着かない。
こんなところで裸になると思うと、やはり、とても落ち着かない。
歩は紳士だ。
覗くなんてこと絶対にしないだろう。
でも、それはそれ。これはこれ。
年頃の乙女として、好きな人の近くで裸になるというのは、とても恥ずかしいことなのだ。
「ふぅ」
無事に衣服を脱いだ。
下着も脱いで、生まれたままの姿になる六花。
そして、風呂に入ろうとして……
「あれ?」
――――――――――
「……あの、進藤君」
天宮に勧められて始めたソーシャルゲームで遊んでいると、ふと、戸越しに声をかけられた。
「どうかした?」
「あっ、待ってください! こっちに来たらダメです。私、今……な、なにも着ていないので……」
「ご、ごめん」
慌てて引き返した。
「その……お風呂の電気が点かないのですが、心当たりはありますか?」
「電気が? えっと……」
……そういえば、長く交換していなかった気がする。
そして、風呂の明かりはLEDではなかったはず。
「交換しないとダメかもしれない」
「予備はありますか?」
「ごめん、買ってない」
そうそう切れることはないだろうと、買い置きはしていなかった。
「明かりがないと厳しいよな?」
「ちょっと……」
「……風呂の扉を開けて入る?」
「そ、それは……」
「いや、ごめん。バカなことを言った」
間が戸で仕切られているとはいえ、風呂の扉を開けて入るなんて恥ずかしいに決まっている。
「アリですね!」
「アリなのか!?」
予想外の返答が返ってきて驚いてしまう。
「ただ、それでもちょっと暗そうですね……」
「銭湯が近くにあればいいんだけどな」
「ないんですか?」
「自転車で30分くらいの距離?」
「それは……厳しいですね」
今日は我慢する、という選択肢もあるだろうけど……
汗もかいているだろうし、天宮には酷な選択かもしれない。
「……やっぱり、扉を開けて入るしか」
「大丈夫か? 無理はしなくても……」
「大丈夫です。ただ……ちょっと怖いので、進藤君、そこにいてもらってもいいですか?」
「え?」
「お話しながらなら大丈夫かな……と」
いや、でも……
それはアリなのか?
天宮は恥ずかしくないのか?
というか、俺の方が恥ずかしいことになりそうなのだけど?
「お願いできますか?」
「えっと……いいけど」
「ありがとうございます」
本当にこれでいいのだろうか?
え、本当に?
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