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39話 釣り合い

「なんか、難しい顔をしているな」


 昼休み。

 クラスメイトで友達でもある真司と一緒に学食で昼を食べていると、ふと、そんなことを言われた。


「やっぱ、愛しの彼女が一緒じゃないから元気がないのか?」

「天宮が一緒じゃないのは、確かに寂しいな」

「ぐっ……堂々と惚気やがって。からかえないじゃないか」

「からかおうとするな」

「彼女持ちはからかわれるのが運命なんだよ」

「なら、俺も真司をからかっていいな?」

「いいよー、あたしが許可する!」


 適当な話をしていると、ふと、第三者の声が割り込んできた。

 振り返ると、サイドテールが特徴的な女の子の姿が。


 笑顔が似合う女の子で、そこにいるだけで周囲を元気にしてくれる。

 一緒に話をすると、さらに元気は倍増だ。


 綺麗というよりは可愛い、という感じ。

 やや童顔ではあるものの、活力にあふれているのが一目でわかり、その笑顔に誰もが惹きつけられるだろう。


 背は低く、体も小さい。

 制服を着ていなければ中学生と間違えてしまうかもしれない。

 事実、そんなことがいくらかあったと聞いている。


 七塚雫。


 天宮と同じ、2-Bの生徒だ。

 ついでに言うと、ここにいる悪友の彼女だったりする。


「お? 雫じゃねえか。どうしたんだ? 今日は友達と食べるんだろ?」

「ちょっと話しておきたいことがあってね」

「なんだ? 俺のことが大好きでたまらないって、改めて告白したいのか?」

「はっ」

「鼻で笑うのはやめてくれよ……」


 仲が良いのか悪いのかわからない恋人だな。


「あたしが話したいのは進藤くんなの」

「俺?」


 意外なところで名前が上がり、首を傾げてします。


「とりあえず、お邪魔するねー」


 ドリンクを片手に、七塚は空いている席に座る。


「……どうして俺の隣なんだ?」

「んー、あたしじゃ嫌?」

「嫌というか、普通、真司の隣では?」

「ヤキモチ妬かせてやろうかな、って」

「本人の前で言うなよ」

「本人の前だからこそ、効果があるんじゃん」

「まあ、真司は単純だからな」

「そそ、単純バカだからねー」

「お前ら……本人の前で言いたい放題すぎだろ」

「ま、それはともかく」


 一言で片付けられてしまい、真司はがくりと肩を落としていた。


「ちょっと進藤くんに伝えておいた方がいいかなー、って思う話があって」


 わりと真面目な話らしく、七塚の顔から笑みが消えた。


「進藤くん、天宮さんと付き合い始めたでしょう? それで、ちょっとした噂……ううん、噂っていうのとは違うかな? ちょっとした話をみんながしているの」


 もしかして、一緒に暮らしていることがもうバレたのだろうか?


「……その話、っていうのは?」

「んー……これ、あたしが言ったんじゃないからね?」


 微妙な内容らしく、七塚はちょっと眉をたわめた。


「実は……」




――――――――――




「進藤くん、今日の夕飯はなににしましょうか? なにかリクエストがあれば、なんでも受け付けますよ」

「……」

「進藤くん?」

「……あ」


 天宮に呼びかけられて我に返る。


「ごめん、ちょっとぼーっとしてた」

「大丈夫ですか? もしかして、風邪とか……」

「いや、大丈夫。体調不良とか、そういうわけじゃないから」

「では……なにか悩み事とか?」

「……そういうわけでもないよ」

「むぅ」


 拗ねられてしまう。


 天宮は聡い。

 今、俺が嘘を吐いたことに気づいただろう。

 だからこその反応だ。


 ただ……


 本当のことを話すのは、少々、ためらわれる。

 昼、七塚から聞いた話。

 俺と天宮は釣り合っていないだろう、という話があちらこちらで流れているらしい。


 もちろん、俺の方が足りていない、という感じだ。


 天宮は『姫様』と呼ばれているほどの美少女で、さらに性格も良い。

 運動も勉強もできて、家事全般も得意。

 気遣いもできて……欠点らしい欠点がない、完璧な存在だ。


 一方の俺は、ただの平凡な学生。

 勉学も運動も平均的。

 釣り合わないと言われても仕方ないだろう。


 とはいえ、そこで落ち込んだり自虐的になっても仕方ない。

 そんなつまらない真似をしているくらいなら、自分を磨いた方がいい。


 そして、周囲に認めさせるのだ。

 天宮の彼氏は俺がふさわしい……と。


「でも……」


 どうしたものかな?

 自分磨きをするにしても、方法がさっぱりわからない。

 なにせ、おしゃれなど、そういう方面はまったく勉強していないからな……


 天宮を見る。


「どうしたんですか?」


 輝くような髪。

 張りのある肌。

 宝石のように綺麗な瞳。


 生まれ持った要素も大きいだろうが、でも、それだけではここまでのものを維持できないと思う。

 たぶん、色々な努力をしているんだろう。


 天宮に聞けば、色々と教えてくれることは間違いない。

 レベルアップは間違いないのだけど……


(天宮のことだから、自分のせいだ、って妙な責任を負いそうなんだよな。それと、できるなら驚かせてみたい、っていう気持ちもある)


 さて、どうするべきか?

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
別の新作を書いてみました。
【堕ちた聖女は復讐の刃を胸に抱く】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。

【ネットゲームのオフ会をしたら小学生がやってきた。事案ですか……?】
こちらもよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
[良い点] 己を磨くところはユスティーナサイドのアルトの序盤を彷彿としますね。
[一言] 完璧超人の彼女に惚れられた時点で 凄いと思うのです どんな解決策?になるか楽しみです
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