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36話 一緒に?

 夕食は天宮にお願いした。

 というよりも、食事は全部天宮にお願いすることにした。


 俺も作れないことはないが……

 チャーハンとか野菜炒めとか、簡単なものばかり。

 しかも、味付けはかなり適当。


 それに比べて、天宮の料理の洗練されたこと。

 俺の作る料理が1としたら、天宮の作る料理は10はある。

 なら、どちらを食べるか考えるまでもないだろう?

 その代わり、俺は他の家事を担当することにした、というわけだ。


 まあ、それはそれとして。


 夕食を食べて、次は風呂という時間になったのだけど……


「進藤くん、お先にどうぞ」

「いや、天宮が」

「そんな。居候の身で先にお風呂をいただくなんて……」

「居候、なのか? その考え方は、ちと寂しいが」

「あう……え、えと……」


 天宮があたふたと慌てた。

 ややあって、頭を下げる。


「ご、ごめんなさい……恥ずかしくて、つい」

「いいよ、気持ちはわかるから」

「……むう」


 なぜか、天宮はどこか拗ねたような顔に。


「天宮?」

「……進藤くん、ずるいです」

「え、なにが?」

「私だけ慌てて、進藤くんは余裕があって……不公平です」


 と、言われても……


「俺、余裕なんてまったくないけど」

「嘘です」

「本当だよ。ほら」

「あ」


 天宮の手を取り、俺の胸に導いた。

 心臓が早く鼓動を打っているのを察した様子で、天宮は小さな声をあげる。


「ドクンドクン、って……は、速いですね」

「緊張しているんだよ、天宮と一緒だから」

「……」

「余裕があるように見えるのは、そう振る舞っているだけ。なんていうか……つまらない男のプライドだよ」

「そ、そうだったんですね……でも、いつも私と一緒にいるのに?」

「こんな時間に家にいるなんて、ないだろう」

「そ、そうですね……私も緊張します」

「……」

「……」


 妙な空気になってしまう。


 でも、居心地が悪いわけじゃなくて……

 温かくて優しいような、どこか落ち着く感じがした。


「えっと……話が逸れたけど、風呂、先にどうぞ」

「でも……いいんですか?」

「いいよ。男が入った後の風呂とか、嫌じゃないか?」

「いいえ、ぜんぜん! むしろ、進藤くんの後ならご褒美です!!!」

「天宮?」

「はっ!?」


 自分はなにを言っているんだ!?

 という感じで、天宮は派手に震えていた。


「す、すみません、今のは、その……聞かなかったことに」

「あ、ああ……了解だ」

「それでは、お先に……」


 天宮は風呂に行こうと立ち上がり、ふと、止まる。


 じっとこちらを見て……


「……一緒に入りますか?」

「なっ」


 とんでもない爆弾を放り投げてきた。


 ただ、それは自分も巻き込む自爆だったらしく、


「ふぁっ!? あっ、あああああ、あのあのあの!? 今のは、なんていうか、その……!!!?」


 ものすごい慌てていた。

 これほど動揺したことはあっただろうか?

 天宮と出会ってから、一番慌てていると断言できる。


「……ごめんなさい、冗談です」


 結局、天宮は耳まで赤くしつつ、消え入りそうな声でそう言った。


「あ、ああ……わかっているよ」


 少し。

 ほんの少しだけ期待したのは秘密だ。


「それじゃあ、その……お先にいただきますね」

「どうぞ」


 天宮はそそくさと、逃げるように部屋とキッチンを区切る戸を締めた。

 脱衣所はないから、こうするしかないんだよな。


 間を仕切る戸は薄い。

 安いアパートなので、その辺りはどうしようもない。


 なので……


 スル……と。

 衣擦れの音が聞こえてくる。

 天宮が服を脱ぐ音が……


「いやいやいや」


 耳を済ませているんじゃない、俺。

 変態か。


 というか、天宮は俺を信じてウチにやってきたんだ。

 それなのに、その信頼を裏切るようなことをしてはいけない。


 俺は慌ててスマホを手に取り、適当な動画を再生し始めた。

※34話から再開しました

 本日3回目の更新です。


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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
別の新作を書いてみました。
【堕ちた聖女は復讐の刃を胸に抱く】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。

【ネットゲームのオフ会をしたら小学生がやってきた。事案ですか……?】
こちらもよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 度々指摘申し訳ない。 日に複数回更新した際の注意書きは、後書きではなく前書きに「本日○度目の更新です」と記載したほうがいいです。 読んだ後に未読があったことに気づいても遅いですし、○話…
[気になる点] 日に複数回更新したときは、注意書きを書き加えないとみんなブックマークの最新話から飛んで一番新しい話から読み始めてしまいますよ。 [一言] 再開やったぜ。
[良い点] 続き書いてくれてありがとうございます。現代の学生ラブコメってただひたすらブラックコーヒー飲みながらニヤニヤしちゃうからほんと大好きです!いきなり同棲は驚きましたがどこまで進藤が理性を保てる…
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