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70話 帰ってきてしまった漫才部

「どうしてわたしたちの出番が二ヶ月以上無かったのかしら?」


「そんな事ボクに言われても困ります」


「だって、後輩くん、この小説を書いてるの一応は後輩くんっていう設定なのよ?」


「設定って口に出さないで下さいよ……」


 でも確かに物凄く久し振りだ。まぁ理由があったといえばあったのだろうけど……。

 ボクと先輩はいつもの通りテーブル越しに向かい合う形で椅子に座っている。どうにもこうにも感覚が戻ってこない。やはり、約二ヶ月のブランクは大きいようだ。

 先輩が難しい顔をして唸り出す。


「やっぱりテンションが上がらないわね。後輩くん、今こそ特技の腹芸を見せる時よ!」


「ボクにそんな特技は無いですって。もう少し真面目に進行しましょうよ。えーと、確か著者の方から手紙を渡されたんですよ。『これを読め』って言われたんですけど、謝罪文でも書いてあるんですかね?」


 ボクはポケットから一枚の紙切れを取り出し、先輩に手渡した。

 それを見た先輩が更に難しい顔になる。


「ん~、今更著者は何を考えているのかしらね? まあわたしの美しい声で音読してあげるわ!」


「なんかそのテンション、他人のラブレターを大勢の前で音読するような感じですね」


「細かい事を気にしたら負けなのよ、後輩くん!」


「は、はぁ……(何に負けなのかな?)」


 よくわからないけど、殴られたくないので納得するボク。暴力が出る前に屈するのが一番。そう痛みの経験が教えてくれた。

 先輩は著者が書いたらしき手紙を早速読み始めた。


「えーと、『拝啓、居るかどうかもわからない読者様方へ』」


「一文目から随分と喧嘩売ってますね」


「とりあえず今はツッコミは控えるのよ後輩くん!」


「は、はい……(あの先輩がツッコミを控えろだって!?)」


 ボクの衝撃は置いておく。今は手紙の方を優先させよう。

 先輩は一度咳払いをすると、真面目な顔になって手紙を読み始めた。


「なになに、『このたびは予告無しの長期の休載を詫びる所存であります。どうして更新しなかったんですか? という質問が多いかと存じますのでまずはその説明を致したいと思いまする』」


 なんか妙に変な日本語だな。テンパっているのだろうか? とりあえずツッコミは控えよう。我慢我慢。ボクにはできる、我慢が上手、我慢が上手。……あんよが上手みたいでちょっとテンションが落ちてきたな。

 先輩の音読はまだまだ続く。


「『まず始めに、「私って受験生だったんだぁ」という呟きが原因です。両親の前で言ってしまったのが運のつきでした。すぐにパソコンの使用禁止令が発令され、我が家が一気にフェイズ5状態。バイオハザードを彷彿とさせる両親の変化、そう鬼人化というべき豹変を遂げ、生き地獄というものを垣間見るという貴重な体験をさせて頂きました。正直、泣けました。もちろんパソコンの使用禁止令に』」


 絶対に反省してないよ、この著者。


「『上記の理由により私は長期間パソコンに触れることすら叶いませんでした。もう禁断症状が出る始末で、何も無い宙をキーボードに見立てて、「いひ、いひひ」と笑っていたくらいです。いえ、こればかりは嘘です。ごめんなさい』」


 やっぱり反省してないな、この著者。


「『何はともあれ、こうして再びパソコンに触れられた事は万感の意を世界中に某掲示板を通して伝えたいくらいです。いえ、やりませんけど。とりあえず、受験はまだ終わっていません。今現在は隠れてこそこそやっています。はい、生きた心地がしません』」


「って許可取ってないでやってるんですか!?」


 思わずボクのツッコミスキル(レベル1)が繰り出される。どうしてレベル1なのか、それに特に意味は無い。


「うるさいわよ後輩くん! 黙って話を聞く! 小学校で習ったでしょう?」


「す、すみません」


 やはり真面目モードらしき先輩は厳しかった。鋭い眼光でボクを射抜く。身が竦む思いをしたが、すぐに視線を逸らしてくれたので助かった。あと少しあの眼光を浴びていれば、ボクは少しだけ非現実へのトリップをしていたところだ。


「さて、続きを読むわよ。『電波を受信する余りに受験勉強へと集中できない、と気付いた私はこうして早速押し入れに隠れて、ノートパソコンのキーを叩いているわけですが、なんともやり辛い。いえ、贅沢は言いません』」


 言ってるじゃないですか。それに電波ってなんですか?


「『話が逸れました。とりあえず、私は今頑張っています。なので、もうしばらくはまともな更新はできないかと。下手をすればもう書けない可能性も……。その時は本当に申し訳ないです。とりあえず浪人にならないように最善を尽くす限りです。以上、どっかの誰かとかふざけた名前の著者より』」


 ふざけている、って自覚はあったんですね。それだけで十分だと思ってしまうボクの妥協は優し過ぎるのかな?


「ふぅ、やっと読み終わったわ。それじゃあ早速後輩くん、時間が余った事だし、得意の腹芸を披露しましょう!」


 一息ついた先輩が突然そんな事を言い出した。

 期待している瞳がキラキラ輝いている。本当にいつの間にボクの特技に腹芸が追加されたのだろう?


「無理ですって。ボクにはそんな特技は本当にありませんから」


「えぇっ!? じゃあわたしに嘘をついたって事? わたし……後輩くんを信じてたのに。信じてたのにぃ……」


 おいおいと泣き出す先輩。

 思わずボクは呟いた。


「どんだけー」


「って古いわよ後輩くんっ! やっぱり二ヶ月のブランクは大きいわね、やっぱり鈍っているんだわ!」


「いえ、元からボクはこんなもんですよ」


 何故か椅子の上に立つ先輩。上から指差ししてくる。やっぱり身長の問題なんだろう。空気を読んでそれを聞かないボクは大人だ。


「いいえ! 後輩くんはもっと暑かったわ!」


「〝あつい〟の字が違いますよ!」


「細かい事はいいのよ! もっと熱くなりなさい!」


「あれ? 字が変わった?」


「だーかーらー! 細かい事はいいの! もうわたしは後輩くんに失望し切ってるわ。どうしてこんなダメダメなの?」


「でもそんなの関係ねぇ!」


 無駄に変な方向へとテンションを上げたボクは、例の芸人の真似をした。すると、先輩の顔が見る見るうちに不機嫌へと早変わり。


「もうテレビにほとんど出ない芸人なんてどうでもいいのよ! どうして売れたのか疑問でしょうがないわ! とにかく今は、後輩くん、熱くなるのよ! これからが重要よ、また長い期間更新が無いかもしれないんだから、とにかく熱くなってテンションをキープよ!」


「ボクは冬眠ならぬ逃避をしたいです」


 正直な気持ちを告白。


「ダメよ! 漫才部は永遠よ! そう、後世へと語り継がれる偉大な日本の文化!」


 ボクの恥ずかしい記録が後世に残る? それこそ末代の恥、生きていけない!


「絶対に嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


 ボクは叫ぶ。力の限りに、それはもう精一杯の思いを込めて。

 先輩はボクを見て綺麗に微笑んだ。見た目のスペックが高いのがこういう時に恨めしい。


「うんうん、やっと熱くなってきたわね後輩くん! その調子よ、ガンガン熱くなりなさい!」


 いい感じに勘違いをしている先輩。一応は助かったらしい。

 これ以上熱くなれ、と言われてもそもそもボクは熱血キャラではない。寧ろ、ドライ系だと思う。いや、それでも今だけは熱くなろう。

 本当に久し振りに先輩と馬鹿をやれたのだから……。


 あれ? なんだか感動的な終わり方だ。未来は本当に予測不可能だな。

ふぅ、とまずは一息。やはり自虐ネタは余り笑えないです。

さてはて、今現在私は本編中で書いたとおり、押入れの中で死闘中であります。

これからどうなるかわかりませんが、出来る事なら続けたいです。なので、待っていてくれる読者が居るのなら、きっと漫才部は帰ってきます……たぶん。


ボクたちの戦いはこれからだ! という感じの急な連載終了にならないようにとにかく頑張ります!

でも今は、懐かしきネットサーフィン! さぁ、電脳世界へダイブ!

(ごめんなさい。やっぱり多少ははしゃぎたいです)



久し振りにパソコンに触れられて気分爽快な今日この頃。。

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