表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/81

69話 見てたけど映画を見に行く気力は無い

「なんなのよぉぉぉぉぉっ!!」


 先輩が吠える。どうしていつもこう、部室に入って来る時は、やたらとテンションが高いのだろう? 日々を元気良く方法を是非ご教授願いたいが、きっと常人には不可能な方法を説明されるに違いない。

 だからボクは、今日も今日とて気だるげに過ごすのだ。


 先輩はわざと大きな足音を立てて、いつもの椅子に腰掛けた。

 大変ご立腹らしく、頬を可愛らしくぷくっと膨らませている。やっぱり、変人でなければ、先輩はきっとよくもてるのだろうな。

 眉を吊り上げてジッとボクを睨んでくるので、ボクはそれを言葉を待っている、と解釈し仕方なく先輩に声を掛けた。


「なにをそんなに怒っているんですか?」


「仮面ラ○ダーのオチよ」


「ライ○ー? オチってなんの話ですか?」


 ボクがそう言うと、先輩は何故か憐憫の眼差しを向けてきた。

 そんな眼で見られてもボクは首を傾げるしかない。


「はぁ〜ダメね。全然ダメね後輩くん。わたしが言いたいのは、」


 先輩は右手をギュッと握り、強固な拳を作り上げ、テーブルを叩いた。


「ディ○イドの終わり方、あれ、どこのコー○ギアス!? わたし、ビックリよ!」


「あ、ああ……ディケ○ドですか……。ボクは先輩がまだ仮面○イダーシリーズを見ていた事にビックリですよ」


 ガンッ! ともう一度先輩がテーブルを叩いた。


「何を言ってるのよ後輩くんっ! ジェシカが前に言ってたでしょう? 最近のラ○ダーは大人向けだってね」


「言ってましたね(その時、先輩って部室に居たっけ?)」


「そんな細かい事はいいのよっ!」


「ってあれ!? ボクの心、読まないで下さいよっ!」


 先輩が自分の身体をキュッと、自分自身で抱き締めた。


「酷いわ後輩くん……。この、心を読む能力を得た時から、わたしの世界は変わってしま――」


「はいはい、変な設定は出さないでいいですから。それで、ディ○イドのオチがどうしたんですか?」


 あ、そうだったわ! と先輩は仕切りなおした。多分、忘れていたのだろう。


「終わり方がね、もう反逆のルルちゃんの一期と同じなのよ!」


「ルル○シュを馬鹿にし過ぎですよ……。まぁいですけど。終わり方が一緒、ということは、銃声響いて、終わりですか?」


 先輩がテーブルに身を乗り出した。


「そうなのよっ! どんだけって、感じでしょ? 続きはWebで、ならぬ、続きは劇場で! なのよ。もう、どこのガン○ムOOって感じもするわ」


「確かにそれはせこいですよね」


「という事で、後輩くん、映画を見に行くわよっ!」


「……はいっ!? あれ? 見に行かない、という方向の話では無かったんですか!?」


 馬鹿を見るような眼でボクを見てから、先輩は椅子に座り直した。


「何を言ってるの後輩くん。イィ〜〜!! って懐かしいでしょ? シ○ッカーよ、ショ○カー!」


「えと、ショッ○ー!? 初代じゃないですか。なんで知ってるんですか?」


「V3が最強っ! あ、でもライ○ーマンも捨てがたい……」


 うむむ、と唸る先輩。

 先輩って本当は何歳ですか? というか、女の子ですよね? どれだけ仮面ラ○ダーにはまってるんですか? 親が泣きますよ。


「あ〜でも、シリーズでいったら、やっぱりRXが一番よねっ! あ! ガ○ダムじゃないわよ! そういえば、ア○ロが乗ってるのはね、R○−78−2といって、二号機なんだけど……あ、試作二号機、サイサリスじゃないわよ! え〜とね――」


 ダメだ。先輩についていけない。いや、行きたくないのかもしれない。

 どうしようか。先輩ってきっと、ウル○ラマンシリーズなんかも、ウ○トラQから見てそうだな。

 ん〜でも待てよ。先輩が知っているイコール、著者が知っているという事だ。著者、本当に中学生か!? まさかの年齢詐称!? それに何の意味が?


「あれ? 後輩くん? ちゃんと聞いてる? 今ね、ちょうどいいところよ。日本在住の――」


「っていつの間に、誰の話ですか!?(日本在住ってなんか聞いたことがあるような気が……)」


「それは秘密」


「何でですか!?」


「それは秘密」


「どこの知弦さんですかっ!? なんでラジオのネタぱくってるんですか!?」


「それは秘密」


「というか、知弦さんって言って読者に伝わるんですか!?」


「それは秘密」


「ボク、主人公ですよね!? 教えてくれたっていいじゃないですか!」


「それは秘密」


「うがぁぁぁぁっ!!」


 ボクの本能が目覚めた。目の前に居る人間を狩れ、と唸りを上げている。

 しかし、ボクが先輩に勝てる訳がなく、どこぞのロ○ット団のごとく、青空の先まで吹っ飛んで、キランと輝いた。

本当に残念な感じでした。でも、ショッカーが出るのか……見たいな。


あ、私、中学生ですから! え? 信じられないですか? いや、信じてくださいよ! はい? あ、ああ……はい、はい、ええ、まあそうですね。え〜と、その件については、え!? いや、だから私は未成年で、そんな梅酒の良さなんて……。


(私が壊れた今日この頃)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ