表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/81

65話 まぁ京○ニの作品はクオリティ高いけどね

「やったわっ! 後輩くん、遂にわたしはやり遂げたわよぉ!!」


 部室にて、夏休みの宿題と凌ぎを削る死闘を繰り広げていると、喧しい蝉なんてどうでもよくなるほどのハイテンションな先輩が、四回転ジャンプを決めて、部室に現れた。

 氷の上なら高得点だなぁ、とボンヤリと考えつつ、ボクは自分の席へと移動する先輩に目を向ける。


「今度は何をやらかしたんですか?」


 ボクは、荷物を置き終わり、席についた先輩に尋ねた。


「やらかした、って後輩くん! 今日も今日とて先輩への敬いが足りないわよっ!」


 眉根を寄せて、うぅぅ、と獰猛な獣のように唸る先輩。

 獣に敬いは必要だろうか? と真剣に考えそうになるも、どんな命でも重さは同じ、という言葉を思い出して、先輩にも礼儀正しく接する事を改めて胸へと刻む。そうでもしないと、最近では素の自分を出しそうになってしまう……。


「すみません……。それで、何をやり遂げたんですか?」


 よろしい、と先輩は答え、椅子から勢い良く立ち上がった。そして、達成感に満ち溢れた表情で説明を始めた。


「昨日、正確には今日、わたしはエン○レスエイトをリアルタイムで見きったわっ! 8話にも続く、あの作品内のキャラと視聴者への限りない拷問を耐え切ったのよっ!!」


「えーと……ああ! ハ○ヒの第二期の事ですか。ボクは3話目で諦めましたよ。昨日でエンド○スエイトは終わったみたいですね」


「そうっ! それを、わたしは夜中まで起きて、すべて見たのよ!」


「先輩、尊敬しますよ」


 正直に先輩を尊敬したのは、本当に久しい。しかし、尊敬すべき内容がなんとも情けない。いや、これが先輩か……。

 ボクが軽く凹んでいると、先輩は怒りのオーラを周囲へと放出し始めた。先輩の周りの空気が、ぴしぴしと音を立てる。

 ……先輩って、格ゲーの登場キャラになれるだろうなぁ。


「わたしは、自分を自分で褒めちぎりたいわっ! 本当に、京○ニはやる事がえげつない……。まさか、8話も消化するとは思わなかったわ……。更に、次回予告が無いせいで終わるかどうかの予想も不可っ! あぁぁ……わたし、本当によくやったわ」


 自己陶酔に溺れた先輩は放置しておき、ボクはニ○ニコにうpされていたデ○ノートのMADを思い出していた。

 ……いや、これはマイナー過ぎるネタか。

 ボクは即刻その思考を排除し、まだ自分の世界に入り込んだ先輩に声を掛ける。


「先輩、もういい加減に帰ってきて下さい」


「ん? あ、後輩くん、レディーの楽しみを――」


 レディーね……。


「レディーと自分で言い張るぐらいなら、自分に酔いしれて、人前でぐへぐへ言ってないで下さい」


「言ってないわよっ! そんな、ぐへぐへなんて!」


「そうですか。では、いいです。知る事で後悔する現実もありますものね。ええ、ボクはもう何も言いません」


「えぇ!? こ、後輩くん!? 待って、わたしを見捨てないで!」


 先輩から目を外して黄昏れる。すると、先輩がテーブルに身を乗り上げ、必死な様子でボクに迫った。

 さっきのぐへぐへは冗談だったのにな。やっぱり、先輩って変な所で純粋だ。いや、だからからかったのだが。

 いじめ過ぎても後が厄介なので、ボクは先輩に向き直った。


「大丈夫ですよ、先輩。見捨てませんから。ボクが見捨てたら、先輩がなにをやらかすか不安でしょうがないですから」


 ボクは満面の笑みを浮かべて先輩に本心を伝えてあげた。

 見捨てない、とわかって先輩は落ち着きを取り戻して淡い笑みを浮かべた。


「うんうん、後輩くん、漫才部存続のためにも…………って、最後の方、馬鹿にしてるわよね!? 後輩くん、今日という日は、京都アニ○ーション的に許さないんだからねっ!」


 しまった! 先輩が怒ってる!?

 そ、そうか……本音を伝えてしまったからか……。

 先輩が、腰を沈めて、例の技を使おうと構えた。


「か〜め〜か〜め〜……」


「ちょっと! 先輩、流石にそれは!」


 ボクはすぐさま席を立って避難しようとした。しかし、部室から逃げ出そうとすると、ドアが自動ドアの如く見事なタイミングでひとりでに閉まった。

 もうホラー映画だよ!?


 恐怖で引き攣る顔で、ボクは先輩を見る。

 先輩はチャージが終わった状態で、邪悪に表情を歪めていた。


「後輩くぅん……この、わたしを怒らせたわねっ! この、ドラゴ○ボールZの再放送がされれば全話見直すわたしを……」


「が、頑張り過ぎですよ!」


「怒らせたわねぇ、この、ガン○ム……もちろんファーストの再放送がされた時、毎回すべて見るわたしを……」


「どれだけアニ○ックスに噛り付いているんですか!?」


「もう、黙りなさい後輩くん……。これ以上、生き恥を晒す意味なんて無いわ」


 増大していくパワー、光り輝くエネルギー体、狂気に満ちた先輩の表情。


「や、やめ……せ、先輩、そ、そそそそれ、し、死にますって! 流石にギャグじゃ済みませんよ!?」


「大丈夫……。死んだら、ギャグも何も、無いから♪」


 絶望に打ちひしがれたボクが最後に見たのは、先輩の笑顔だった……。

 ってあれ? また、ボクって死ぬの!?

 不思議な言葉だけど、もう死ぬのは飽きたよ……。

はっはっはっはっは…………はぁ〜〜。

はい、私はエンドレスを頑張って見た内の一人です。

そのせいか、寝不足が……もう限界に来てます。


毎度、毎度更新が遅くて申し訳ないです。


では、消失には期待する今日この頃。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ