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62話 世界に名作は数あれど、万人が認めるものは少ない


「あ〜ち〜ち〜萌えているんだろうか〜♪」


「暑さで変になってるのか、それともボケなのかはわかりませんが、一応ツッコミを入れますね。萌えじゃなくて、燃えだと思いますよ」


「そんなことはどうでもいいのよっ! どうして、この部室には冷房がついてないの!?」


 額に汗を滲ませながら先輩は、本来なら学校側へと向けられる怒りをボクにぶつけてきた。


「それは、やっぱり部室の数が尋常では無いからではないですか? 部室棟と呼ばれる、この建物が作られるぐらいですから。その部室一つ一つに冷房を付けたら、それこそ学校関係者が火を噴きますよ」


「真面目に答えないでよっ!!」


「ぐべらっ!」


 久しぶりに先輩のストレートパンチを受けた気がする。ってそんなことはどうでもいいんだ。ボクの体は、床で二、三度バウンドしてからうつ伏せで転げた。

 床は少しだけ冷たくて、気持ちいい。


「もう、後輩くんは頭が固くてダメね。そんなんだから、柔軟なツッコミができないのよ! 修行も合わせて、罰として今回のネタを考えなさい!」


「え!? まだ決まって無かったんですか!?」


「そうよっ!」


 いや、だからそのタイミングで胸を張るタイミングがわからないです。

 席について、えっへん、と踏ん反りがえっている先輩を放っておき、ボクは現実逃避を決行する事にした。

 ターミ○ーターの世界や、最終○器彼女の世界の未来より、この小説の未来は、ある意味真っ暗だ。だって、ネタが無い=連載終了という式が成り立つからである。


 そこから、連載終了=作品の世界消滅=ボクの消滅。とまぁなるわけで、ネタが無い=ボクの消滅に繋がったり繋がらなかったり……。

 ああ、だったらいっそ滅びてしまおうか。

 ボクは破滅願望を抱いた。


「疲れたよ、パト○ッシュ……。もう、休んでいいよね」


 床に額を当て、ボクは世界から逃げ、床と一体化する。

 しかし、そんなボクへと先輩の言葉が降り注いだ。


「流石は後輩くんねっ! 最近、マニアックなネタに走っていたこの作品を有名なネタに軌道修正するなんて。やっぱり、わたしの教えは正しかったわ」


 先輩の教え? あの、やたらとアニメや漫画、ゲームを強制的にやらせる事だろうか? 確かに知識量は増えた。ある方面のみ……。

 自分を誇って更につけ上げる先輩を見上げつつ、ボクは、またスカートの中が見えそうなことに気付いて、すぐに体を起こした。そのまま自分の席に座る。

 ボクが席につくのを認め、先輩は、上機嫌な笑顔を見せてきた。


「では、今日は世界○作劇場について語り合いましょう」


「世界迷作○場ですか?」


「違うわ。世○名作劇場よっ!」


「ああ、そうですか……って、伏字が意味をなしてないです」


「ダメね後輩くん。そこは、ツッコミを入れたら負けよ! 覚えておきなさい」


「……わかりました」


「さて、それじゃあ〜、まずは好きな作品のタイトルを言いましょう。わたしは、『あらえるよマラカス』が好きだわ」


「なんですかその珍妙なタイトル?」


「あ、間違えちゃった。『あらいぐまオ○カル』だった!」


「間違えすぎですよ! というか、オス○ルじゃなくて、ラスカ○ですよ!」


「間違えちった、テヘッ」


 先輩が舌をペ○ちゃんのように出して、左手で自分の頭をコツンと叩く。


「可愛く言ってもダメです」


「はぅ……後輩くん、夏なのに冷たいわ。もう絶対零度だわ」


 酷い、と繰り返す先輩を見て、ボクは溜息をつく。


「はいはい、それはいいですから。それより、話を戻しましょうよ」


「あっ、そうだった。えっとね、他に好きな作品は、『フラダンする犬』かな」


「どう、発音すればいいんですか? フラダン、する犬? フラダンす、る犬?」


「あ、間違えた、『フランソワーズの犬』だった!」


「また間違えたんですか! というか、フランソワーズ誰です!? フラ○ダースじゃないんですか!?」


「それよ! そうそう、うん。なーんかシックリこなかったの。ありがとう、後輩くん」


 ……わざとなのかな?

 最近気付いたけど、先輩って天然な所もある。だから、判断がつけにくい。

 ボクは先輩の顔を盗み見たが、のほほんと笑っているだけだ。


「さて、気を取り直して次行くわよ!」


「はい」


「他に好きな作品はね、『母をたずねて三軒目』」


「随分と楽なお使いですね。母をたずねるなら、せめて三千里は歩きましょうよ」


「他には、『血染めのアン』」


「怖いですって! どこのスプラッタ映画ですか!?」


「え〜と、『わたしのインターネット』とかも」


「なんですか、その授業で見そうな教育ビデオ!」


「あっ、『トム・リドルの冒険』も」


「ポッターさんとコラボレーション!?」


「そういえば! 『七つの星のティコ』も捨てがたい」


「規模でかいですね!? もう宇宙進出!?」


「『小公女セーラームーン』なんていうのもあったわね」


「余計なものがついてる!? 小公女、一体なにをするつもりなんです!?」


「でも、やっぱり、『私のくびながおじさん』が一番かしら!」


「くびなが!? 妖怪ですか、そのおじさん!」


「もう、どうして後輩くんは、そうやってわたしの好きなものにケチつけるの! だったら、わたしも後輩くんの好きなものにケチをつけるんだからっ!」


「え? ボクの好きな作品を言えってことですか」


 怖い顔をして頷く先輩。

 どうしようか。ここは、苦手なネタを入れて、逃げようかな? ……よし、そうしよう。


「ボクが好きな作品は――――――」




 三分後、部室の片隅で、先輩は精一杯に体を小さく丸めていた。現実から逃げているのだ。

 ボクの言葉は余りに刺激が強過ぎたようだ。といっても、一般人なら別に軽く流せるレベルだと…………思う。


「お嫁にいけなぃぃ」


 先輩が壁に向かってぶつぶつ言っている。

 さて、これからの対処も大変だ。


「はぁ」


 ボクは息をついて、先輩の小さな背中を見る。あんな小さな体のどこにあれだけのパワーがつまっているのだろう? 本当に不思議でならない。

 そろそろ先輩をどうにかしないと。



 ボクが先輩になんと言ったか? それに関しては、いつぞやみたく、黙秘権の力を借りる事にする。だから、永遠に謎のままだ。

ふにゃぬらにぃ。はい、壊れてます。

暑さに負けました。宿題に負けました。現実に負けました。人生に負けました。もう色々と負けてます。


さて、言い訳をします。暑くてネタが浮かばないぃぃいぃぃぃ!! 更に、パソコンが暑さでにぶいぃぃぃぃぃっ!!


はぁ……。夜は涼しくていいです。

夏場は更新遅くなりますが、勘弁を。というか、学校に居る時……人に囲まれている時のがネタが浮かびます。夏休みはやっぱり嬉しいですが、学校の日々を楽しいんだな、としみじみ思います。


っと長くなりましたぁ。申し訳ないです。


日食の存在を今更思い出した今日この頃。

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